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私は現在、昨年11月に発足したばかりの新しい県立子ども病院で働いている。発足4か月目であるが、既に破綻を来し始めており、このことを報告したい。
私は、新しい病院で外来を始めるに当たって、対策をある程度考えたつもりであった。愛知県には、既に県立コロニーという障害児療育の大本山があり、そこには児童精神科医も4人常勤している。新しい子ども病院の担う役割は、子ども虐待への総合的な治療など、県下ではこれまで十分に対応出来ていなかった問題の中核的治療病院となることである。病院である以上、受診してきた患者の拒否は出来ないが、児童青年精神科の初診はとても時間がかかり、自ずから診察可能な人数が限られてくる。精神科医1名(私です)、小児科医1名の体制で、心療科を運営するので、病院の本来の目的が損なわれないようにしたい。そこで、われわれは以下のように曜日ごとに特殊外来を5つ並べるという方法をとった。
月曜日:多動、非行外来
火曜日:やせ症、心身症外来
水曜日:不登校、引きこもり外来
木曜日:育児支援外来(ここが虐待外来である)
金曜日:発達相談外来
さて、ねらいは一応は当たり、待っていられない育児支援外来は2週間以内に診察が可能な状態が現在も保たれている。しかし、それ以外の外来は全て長期の待ち患者を抱えることになってしまった。
2月時点での待機期間は、多動外来が7か月、心身症、不登校がそれぞれ3か月、発達相談に至っては1年3か月である! 心身症や不登校にしても、相対的には待機期間は短いとはいえ、やせ症を3か月待たせたら死んでしまうか、治っているかどちらかである。発達障害はそう簡単には死なないが、3歳児が4歳になってしまうとなると良いことであるはずがない。
さらにこうなると、早く診察を受けさせろという圧力が、様々な所から加わるようになった。病院の他の科に受診し、そこから院内の紹介で受診をもくろむ。「子どもを虐待しそう」とウソを言って育児支援外来に潜り込む(親がこの手を取るのはまだ許せるとして、児童相談所職員がこれをしたときには、本来の虐待への対応が出来なくなったらどうするんだと唖然とした)。面識のない国会議員からの紹介、同じく県議や市議からの紹介、地域の小児科医からの直接電話交渉などなど。
私たちが仕事を怠けているのではない。新患は月100人以上診てきており、このペースでいくと年間新患1400人前後になる。再来率98%を誇っており、既に再来が新患の時間に食い込み始めている。外来は、どの曜日も、1年を待たずパンクするのは目に見えている。さらにわれわれを腐らせるのは、こうして目一杯働いていても、やはり赤字に変わりないということである。発達障害や心身症をきちんと診たいという心ある小児科医はたくさんいるのであるが、それをすると全くの赤字になるので病院が許さないのだ。だからこそ、われわれの病院にそれっとばかりに患者が集中してしまう。
児童青年精神科医は、現在の10倍は必要だと思う。それが可能になるためには、この領域の診療報酬が改善されることが必要不可欠であろう。
入院治療の問題には全く触れなかったが、入院となると、もっと極端な状況となるのである。発達の問題や、子どもの心の問題への対応が、速やかに出来るようになることは、国家レベルの急務ではないかと思うのであるが……。
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