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「学研ほたるキャンペーン」に寄せて

大場信義 「学研ほたるキャンペーン」に寄せて

 今年度のレポート数は昨年度より少し減りましたが、これは大震災の影響、台風そして水害など自然災害の影響を大きく受けたことも一因として考えられます。このようななかでもレポートを寄せられたことに心強く励まされる思いです。改めて被災された方々に心からお見舞い申し上げますとともに、一刻も早く復興されることをお祈りいたします。

 さて、今回の結果ですが、北海道は市民によりホタルの調査がなされているところが少なからずありますが、このほたるキャンペーンに参画する対象者が少ないために、実情を十分反映していません。同様なことは青森県、鳥取県などでも見られます。秋田県は半数近くの市や町から報告があり、その範囲も広がっています。岩手県内陸の地域、宮城県は被災地にもかかわらずレポートが届きました。

 関東、中部、近畿地方の都市部ではレポート数が多くなっていますが、ホタルの保全や里づくりなどが進み、身近にホタルが見られる機会が増えたことも影響していると思います。特に、中部、近畿地方では、市街地の各地の緑地でヒメボタルが見られることが一因になっているかもしれません。

 一方、全国的な傾向ですが、本来ホタルが見られる地域が空白となっているところがかなりあります。これはホタルがいないということでなく、レポート数が少ないか、レポート者がいなかったということです。ホタルが見られる地域の皆さんからたくさんのレポートが寄せられることを願ってやみません。

 静岡県、岐阜県、富山県、滋賀県、和歌山県、そして山口県などでは各地でホタルが確認され、発生数も多いことがうかがい知れます。この傾向は九州も同様です。宮崎県はレポート者が少なく、実情を反映していないと思います。島根県は沿岸の全ての市町でレポ
ートが届きました。南西諸島からのレポートも多くはありませんが届きました。特に沖縄の都市部ではホタル観察会もなされていますので、関心が広がっている結果と思います。西表島では毎年イリオモテボタルの観察会とモニタリングがなされ、ホタルへの関心が大きくなってきました。今後はこうした島からのレポート数が増加することも大いに期待しています。

 このキャンペーンは今年で15周年を迎え、大きな節目となります。これほど長い間、親子で観察し、その成果が公表されたということは世界でも例がないことです。環境省のモニタリングサイト1000里地でのモニタリングと連携し、さらに大きな輪となることを期待したいと思います。


監修:大場信義 プロフィール

全国ホタル研究会名誉会長・理学博士
発光生物、特にホタルを中心に、日本全国をはじめ、海外でも発光行動や生態を調査し、比較研究している。『ホタルの里』(フレーベル館)『ホタルの木』『ホタルの不思議』(以上、どうぶつ社)など、ホタルに関する著書多数。主任学芸員を務めた横須賀自然・人文博物館を2006年3月に定年退職し、現在は、独立行政法人 産業技術総合研究所客員研究員を務めるかたわら、ホタルについての講演会や、ホタルを呼び戻す取り組みへの指導にも積極的に取り組んでいる。



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