花はどうして春になって暖かくなるとさくの

花(はな)がさくときは、当然(とうぜん)ですがその前(まえ)につぼみができます。このつぼみのできる仕組(しく)みと、つぼみから花(はな)がさく仕組(しく)みがわかれば、なぜ春(はる)に花(はな)が多(おお)いのかという質問(しつもん)の答(こた)えもわかってきます。
春(はる)に花(はな)がさくものの芽(め)は、いずれも冬(ふゆ)より前(まえ)にできあがっています。ウメもサクラも、前年(ぜんねん)の夏(なつ)には、もうすでに花(はな)の準備(じゅんび)ができています。
このときに、つぼみのもとができているにもかかわらず、花(はな)の方(ほう)はなかなかさきません。これは、葉(は)が花(はな)のさくのを止(と)めているからなのです。葉(は)が、自分(じぶん)が栄養(えいよう)をとって、花(はな)には回(まわ)していないのです。そのために、葉(は)が落(お)ちてしまうと、花(はな)はいつでも開(ひら)くことができるというわけです。
しかし、葉(は)が落(お)ちた後(あと)は、季節(きせつ)は冬(ふゆ)になってしまいます。すると今度(こんど)は、温度(おんど)が低(ひく)くなりすぎて、花(はな)が開(ひら)けないのです。花(はな)は、いくつもの条件(じょうけん)を満(み)たさないと、さくことができません。その条件(じょうけん)を、多(おお)くの植物(しょくぶつ)が、一度(いちど)に満(み)たすことができるのが、春(はる)というわけです。それで、春(はる)になるとあのようにいろいろな花(はな)を見(み)ることができるのです。
ところで、別(べつ)の季節(きせつ)にさく花(はな)もあります。たとえば、スイセンは、冬(ふゆ)の初(はじ)めの寒(さむ)くなるころに花(はな)がさきはじめます。また、ウメも、まだ寒(さむ)い冬(ふゆ)の間(あいだ)にさくものが多(おお)いようですし、ノギクは秋(あき)になりすずしくなると、さき出(だ)します。このようにすべての花(はな)が、春(はる)にさくわけではないこともおぼえておきましょう。