知っているようで知らない、知らないようでやっぱり知らない科学のキーワードを、ニュースの中から選びました。友だちにちょっぴり差をつけ、先生にも思わずじまんしたくなる科学の用語集だよ!
iPS細胞
「iPS細胞」ってなんだろう? なんか難しそうな名前だね。わたしたち生き物の体は、細胞という小さなつぶが集まってできているよ。この「iPS細胞」という小さなつぶは、わたしたちが病気やけがをしたときに、復活させてくれるすごい細胞らしいぞ!
イラスト=ウメゴロー
京都大学がiPS細胞の研究センターを設立
2008年1月22日、京都大学にiPS細胞の研究センターができたよ。世界で初めてiPS細胞をつくった山中伸弥教授がセンター長になって、山中教授のいる京都大学再生医科学研究所のスタッフやわかい研究者が集まったよ。研究センターは、iPS細胞研究の中心的な存在になって、できるだけ早くiPS細胞が実際の病院での治療に役立つことを目指しているよ。そのために、センターでつくったiPS細胞を全国の研究している人たちにもどんどん広めていくことも考えているよ。
「iPS細胞」ってなに?
iPS細胞は、神経や筋肉などいろいろな体の部分になることができる細胞で万能細胞とよばれているよ。
ヒトの皮膚細胞からつくったiPS細胞の顕微鏡写真。
かたまりの中にiPS細胞がふくまれている。
写真=京都大学教授 山中伸弥
たとえば、病気で内臓が悪い人がいたとすると、その人の皮ふから細胞を取り出して、iPS細胞にすれば、そのiPS細胞を内臓の細胞に成長させることができるんだ。手術で、悪くなった内臓の細胞を、iPS細胞でつくった細胞と取りかえれば、病気をなおせるというわけ。今は、病気で内臓が悪い人は、ほかの健康な人の内臓をもらう手術をすることが多いけど、ほかの人の内臓はその人に合わないことがあるし、健康な内臓をわけてくれる人なんてそんなにいない。でも、iPS細胞だったら、もともと自分の細胞だから合わないことはないし、いつでもほしい体の部分の細胞を作り出すことができるんだ。
自分の皮ふの細胞から新しい内臓の細胞をつくれるよ
iPS細胞はどうやってできたの?
生き物は、最初、1つの細胞で、それがどんどん分かれていって、たくさんの細かい細胞が手や足、頭、内臓などになっていき、赤ちゃんになるよ。つまり、赤ちゃんになる前は、いろいろなものになる可能性をもった細胞のかたまりなんだ。そこで、皮ふの細胞を取り出して、その細胞がまだいろいろなものになる可能性があったときのような状態にもどすことのできる遺伝子(体をつくる情報が入っている設計図のようなもの)をさがしたんだよ。そして発見されたのがある4つの遺伝子。それらの遺伝子を皮ふの細胞に入れることで、神経や筋肉などいろいろな体の部分になることができるiPS細胞ができるんだ。
まず、マウスを使った実験は成功したよ。その実験は、マウスのしっぽの皮ふの細胞を、iPS細胞にして成長させた結果、いろいろなものになる可能性を持った細胞に変化したんだって。そして、その細胞をマウスの体に入れて成長させたら、神経や消化管組織、やわらかい骨が入りまじったかたまりに成長して、さらに、ピクピク動く心臓の筋肉や神経の細胞にも変化したそうだよ。そして、人間の皮ふからもマウスのものと同じようなiPS細胞をつくることにも成功したんだ。
iPS細胞を使って、安全に人間の病気やけがをなおすためには、ほしい体の部分にちゃんと成長させたり、勝手に成長しないようにしたりする方法などをしっかりと調べなくちゃいけないなど、さらに研究を続けていくんだ。iPS細胞の研究が進めばきっと、病気やけがでつらい生活をしている多くの人々が助かるぞ!
協力=京都大学 物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所 山中 伸弥教授
関連リンク
山中研究室
日時: 2008年2月29日 18:00 | パーマリンク
