![]() |
![]() |
|
もともとその地域に生息していないのに、人間の活動によって連れて来られた生物を「外来生物」という。日本でも、もともといなかった外国の生きものが見られ、生態系や人間に被害が出ている例もある。外来生物について調べてみよう。 |
身近な生き物が、実は外来生物
学校や家で、ミドリガメを飼ったことはないかな? 顔の周りにある黄色や赤の模様が特徴的なカメだけれど、実は、昔から日本にいる「在来生物」をおびやかしかねない外来生物だ。
ミドリガメは正式には「ミシシッピアカミミガメ」といい、環境省が定める「要注意外来生物」に指定されている。環境省は、日本固有の生物に悪いえいきょうをあたえる生物の輸入や飼育、野外へ放すことなどを禁止する「外来生物法」を定め、特定の外来生物が外国から入ってきたり、野生化したりするのを防いでいる。ミシシッピアカミミガメは、外来生物法で規制される一歩手前の生物だ。
外来生物とは、本来はいなかった地域に、人間が持ちこんだ生物だ。外国から入ってきた生物だけが外来生物ではなく、国内でも本来いなかった場所に持ちこまれた場合も外来生物という。外来生物は、ペットや家畜として、また、害虫駆除などを目的に連れて来られたり、人間や物が移動する際に偶然くっついて持ちこまれる場合がある。
外来生物としてあつかわれる生物。
出典:「しってるかな?外来生物」-環境省こどものページ-
このように、外来生物が野生化すると、もともと日本にいた生物を食べてしまったり、すみかや食料をめぐってきそい合いが起こることがある。また、在来生物との間に子どもができ、生態系を変えてしまうおそれもある。たとえば、ミシシッピアカミミガメが野生化したことによって、もともといたニッポンイシガメやクサガメの食料やすみかがうばわれているといわれている。
各地で確認されている外来生物による被害
すでに日本国内では、野生化した外来生物が原因となった個体数の減少や生態系への影響が確認されている。滋賀県にある日本最大の湖「琵琶湖」では、スポーツフィッシングの対象として人気のブラックバスやブルーギルが増えて、琵琶湖に生息する固有種のニゴロブナやホンモロコの卵や稚魚を食べてしまい、ニゴロブナやホンモロコが急げきに数を減らしてしまった。特にニゴロブナは、1988年には漁獲量が200トン近くあったのに、1997年には18トンにまで減ってしまった。全長18cm以下のニゴロブナの漁獲禁止など、漁業者の取り組みによって、2005年には40トンにまで回復したが、2007年には絶滅危惧種に指定されており、まだ安心できない。
外来生物のなかには生態系を変えるだけでなく、人間に被害をあたえるものもいる。
カミツキガメやワニガメは、怪獣のような姿がめずらしく、ペットとして海外から輸入された。だが、あごの力が強く、かまれると大けがをする危険があるため、手におえなくなったかい主が捨てて野生化している例がある。ワニガメは、2005年に特定外来生物に指定され、無許可での飼育が禁止されたが、今も無許可で飼っている人がいるといわれる。
大きく口を開けたカミツキガメ。
提供:横浜市立野毛山動物園
動物だけでなく、外来植物による生態系への影響もある。北アメリカやヨーロッパ、アフリカなどが原産のウリ科の「アレチウリ」は、成長が早く、長さ最大十数メートルにもなるつる性の植物だ。日本へは、アメリカやカナダから輸入される大豆に混じって入ってきたといわれている。アレチウリは、日光を好むため、ほかの植物におおいかぶさるように成長し、その植物の成長をさまたげてしまう。アレチウリが大量に確認された長野県の千曲川付近では、ほかの植物が生育していないことがわかっている。生息する植物が変わると、植物を食料としている小動物や、すみかとしている昆虫などの生態にも影響をあたえることになる。
日本の生きものを守れ
環境省が定める「外来生物法」では、2008年1月現在で約80種類の生物を特定外来生物として規制の対象としている。しかし、これから輸入されてくる特定外来生物を防ぐことはできても、すでに飼われている特定外来生物や外来生物が放されるのを防ぐことは難しい。どうすれば、日本の在来生物や生態系を守れるだろうか。
特定外来生物で規制される事項。
出典:「外来生物法」-環境省-
ペットショップでは、外国から輸入されためずらしい生きものが売られている。もちろん、規制されている特定外来生物ではないけれど、野外に放たれた場合、在来生物に悪い影響をあたえるかもしれない。今後、外来生物から在来生物や生態系を守るには、外来生物のかい主が自覚を持ち、最後まで責任をもって飼育することが必要なんだよ。
「電子図鑑」のページでは、滋賀県に生息している魚やトンボを見ることができる。琵琶湖の固有種ニゴロブナやホンモロコも写真付きで掲載されている。
WWFジャパン野生生物の保護や地球温暖化などの環境問題に取り組む自然環境保護団体の日本サイト。外来生物問題や、絶滅の危機にある野生生物の問題が紹介されている。
(環境省こどものページ)
外来生物の問題や、生きものを飼う時の注意が紹介されているよ。「外来種図鑑」のページでは、日本国内で問題になっている外来生物が写真付きで解説されている。
外来生物法-特定外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律-
外来生物の被害予防や、これまでに特定外来生物に指定されている生きものの一覧、まだ規制されていない「要注意外来生物」の一覧が公開されている。



![[ニューワイド学研の図鑑] 生き物のくらし](images/book/book0803.jpg)