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地上と宇宙をつないで、人や物が行き来できる「宇宙エレベーター」。SF小説やアニメなど、空想世界だけの技術だと思うのは大まちがい。実現可能な技術として、注目されている。宇宙エレベーターのしくみや、実現に向けた活動について調べてみよう。 |
宇宙エレベーターって何?
人類が初めて宇宙に行ったのは、1961年のこと。近年は、宇宙飛行士だけでなく、一般の人も宇宙へ行くことができる「宇宙旅行」も実現されている。しかし、宇宙旅行は、まだまだすごく高価で「だれでも気軽に」というわけにはいかない。また、宇宙ステーションなどに物資を運ぶには、スペースシャトルなどに積んで運ぶしかなく、いつでもというわけにはいかない。そこで、宇宙への移動手段として期待されているのが「宇宙エレベーター」だ。
提供:NASA
宇宙エレベーターは、1970年代にSF小説に登場したことで有名になった。その原理は、赤道上の高度3万6000kmにある宇宙ステーションから、地上へケーブルを下ろし、そのケーブルに、地上と宇宙を行き来するエレベーターを設置するというものだ。これだけ聞くと、とても実現できる技術には思えないかもしれない。当時も、宇宙エレベーターは空想世界だけの技術で、実現できないと考えられていた。例えば、長いうどんをはしで高く持ち上げると、うどんは、うどん自身の重さを支えられなくなり、ちぎれてしまう。宇宙エレベーターもこれと同じように、3万6000kmものケーブルがそれ自体の重みにたえられないと思われていた。それほどじょうぶなケーブルをつくれる素材はなかったからだ。計算上、宇宙エレベーターのケーブルをつくるには、強度(その素材が破壊に耐えられる最大の力)が鉄の100倍以上の素材が必要だといわれている。
カーボンナノチューブが宇宙エレベーターを実現させる!?
だが、1991年に、ケーブルに必要な軽さや強度を実現できるかもしれない、カーボンナノチューブという素材が見つかった。カーボンナノチューブというのは、炭素でできた素材で、とても軽く、同じ重さの鉄の100〜150倍の強度にできると考えられている。2007年には、イギリスで、鉄の20倍の強度にすることに成功した。日本でも2025年までに鉄の100倍の強度にすることをめざして研究が進められている。この発見により、宇宙エレベーターは、空想の技術から、実現できる技術になったのだ。
リニアモーター式のエレベーター
ふだん、わたしたちが利用しているエレベーターは、ケーブルを巻き上げたりのばしたりして、上下に移動している。だが、宇宙エレベーターは、自らの動力でケーブルを伝って上り下りする。人や物が乗るかごの部分は、はじめは小さいが、じょじょに大きくできると考えられている。最終的には列車のように複数の車両がつながったもので、たくさんの人や物を運べるようになるかもしれない。宇宙エレベーターが動くしくみは、いろいろ考えられていて、リニアモーターカーと同じで、磁石が引き合ったり、反発したりする力で動くリニアモーターカーと同じしくみも検討されている。このようなエレベーターを、リニアエレベーターというよ。
宇宙で止まっているしくみ
宇宙エレベーターを造るための宇宙ステーションが、赤道上の高度3万6000kmにあるのには大きな理由がある。地球の周りを回っている人工衛星の中には、静止衛星と呼ばれるものがある。静止衛星は、地球の自転と同じ速度で回っているので、地上からは宇宙に止まっているように見える。人工衛星を赤道上の3万6000kmの高さに打ち上げると、静止衛星になる。宇宙エレベーターを造るための宇宙ステーションも、ケーブルを地上にまっすぐのばすために、静止衛星と同じように赤道上の3万6000kmの高さに建設されるのだ。ただ、宇宙エレベーターを建設するためには、これだけではじゅうぶんではない。長いケーブルを下ろすには、宇宙ステーションのバランスをとらなければならない。地上側だけにケーブルをたらすと、その分、地球に引っ張られる力が強くなってしまい、宇宙エレベーターは地球に落ちてきてしまう。そうならないためには、宇宙ステーションから、地上とは反対側にもケーブルをのばしてバランスを保つ必要がある。そのため、宇宙エレベーターの全長は、地上の反対側にのばすケーブルもふくめると、5万〜10万kmと考えられている。これは、地球の直径の4〜8倍の長さになる。
提供:JSEA
宇宙エレベーターを造る方法
これだけ大きな建物を宇宙にどのようにして造るのだろう。建設は、まずロケットを打ち上げて、赤道上の高度3万6000kmの地点に宇宙ステーションを造ることから始まる。そして、地上とその反対方向にケーブルをのばす。初めは細いケーブルだけれど、そのケーブルを何度も上り下りして、はばや太さを増していく。そして、はばが1mほどになったら、さらに機材を上げて、何本かはば1mのケーブルを造り、最終的には長いつつ形にする方法も考えられている。
宇宙エレベーターの模型。上から、宇宙ステーション、昇降機(人やものを乗せて移動する部分)、昇降機が発着するターミナル。
ロケットより、安く安全に宇宙へ行ける
現在、宇宙へ行くには、ロケットやスペースシャトルを利用している。ロケットやスペースシャトルは、たくさんの燃料を燃やして宇宙へ向かうための推進力を生み出しているけれど、この方法では多くの費用がかかるし、行ける回数も限られる。一方、宇宙エレベーターは、電気でかごを動かすので、事故の心配は少ない。ロケットで宇宙に行くのにかかる費用の100分の1で宇宙に行けると考えられていている。
また、現在、宇宙に行くには、特別の訓練が必要だが、宇宙エレベーターなら、特別な訓練は必要なく、子どもやお年寄りでも宇宙へ行くことができるようになるだろう。
さらに観光以外にも、宇宙エレベーターは、月や火星などへ向かうための中継基地としての役割も考えられ、宇宙開発にはなくてはならない技術となると期待されている。
実現に向けて行われているさまざまな活動
カーボンナノチューブが発見されたことにより、実現可能な技術として注目を集めている宇宙エレベーター。その実現に向けて、世界でさまざまな活動が行われている。
アメリカやヨーロッパでは、各国の研究者が集まって宇宙エレベーターの国際会議が開かれている。また、アメリカでは、航空宇宙局(NASA)が中心となって、ケーブルを上る機械のスピードを競うコンテストも開催されており、各国から参加者が集まっている。
日本では、2008年4月にJSEA(日本宇宙エレベーター協会)が設立され、国際会議への参加や宇宙エレベーターの情報の発信を行っている。11月には、JSEAが主催となって「第1回日本宇宙エレベーター会議」が開催され、国内外の研究者などが、現状や、実現に向けて解決しなければならない課題を話し合った。また、レゴブロックを使って宇宙エレベーターの機械をつくり、ケーブルを上らせる技術を競う大会が開催された。さらに、2009年には、決められたバッテリーの量で、ケーブルを上らせる大会も予定されている。
日本大学理工学部精密機械工学科のチームが、レゴブロックでつくった宇宙エレベーターのターミナル模型。船の発着場所や、ヘリポート、ホテルなども考えて設計されている。
レゴブロックでつくられた、宇宙エレベーターの昇降機の模型。2008年11月には、ケーブルを上るスピードなどを競う「レゴクライマー大会」が開催された。
すぐに実現はできないけれど、宇宙エレベーターは実現に向けて、少しずつ前進している。近い未来、だれでも宇宙旅行が楽しめる時代がくるといいね。
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「宇宙旅行はエレベーターで」 SF作家のアーサー・C・クラーク氏絶賛の宇宙エレベーター入門書。2030年の実現に向けての具体的な建造計画も説明されており、これ1冊で宇宙エレベーターのすべてがわかる。 |
宇宙エレベーターのしくみや、国際会議のようすなどが紹介されている。宇宙エレベーターについての情報満載のサイトなので、宇宙エレベーターに興味がわいたらチェックしてみよう。
Aoki LAboratory 青木研究室日本大学理工学部の青木義男先生のサイト。同学部の精密機械工学科のチームが、レゴブロックを組み立てて作った宇宙エレベーターの昇降機(※人や物を乗せて移動する部分)の動画を見ることができる。



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