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奈良県(ならけん)明日香村(あすかむら)阿部(あべ)山のキトラ古墳【7世紀末~8世紀初頭】の石室の南壁(なんぺき)に、中国古代の想像上(そうぞうじょう)の動物「四神(しじん)」の一つ朱雀(すざく)が中国、朝鮮(ちょうせん)の古墳の壁画(へきが)にみられない独特(どくとく)の躍動感(やくどうかん)をもって描(えが)かれていることがわかり、今年4月3日に発表された。
キトラ古墳は、1983年のファイバースコープ、98年の超小型(ちょうこがた)カメラなどによる探査(たんさ)で、北・東・西の壁(かべ)に四神のうちの玄武(げんぶ)、青竜(せいりゅう)、白虎(びゃっこ)の三つが描かれていることと、天井(てんじょう)には世界最古の星宿図(せいしゅくず)【または星座図(せいざず)】が確認(かくにん)されていたが、南壁は撮影(とうえい)できなかった。
今回、同古墳の整備(せいび)・保存(ほぞん)に向けて改めて調査(ちょうさ)。墳丘外(ふんきゅうがい)から、石室の盗掘穴(とうくつけつ)【直径15センチ】にデジタルカメラを挿入(そうにゅう)して撮影(さつえい)した。
朱雀は南壁の天井から高さ約4分の1の位置にあった。頭を西に向け、翼(つばさ)を広げていた。石室壁面の寸法(すんぽう)から推定(すいてい)した大きさは高さ約20センチ、幅(はば)60センチ。頭、背(せ)、尾(お)は鮮(あざ)やかな赤色で、胸(むね)が白かった。羽根も細部まで表現(ひょうげん)していた。右足で地面を蹴(け)り、まさに飛び立とうとしている姿(すがた)。これは、正面を向いて動きのない中国・朝鮮の朱雀とは異(こと)なる日本独特の表現ではないかと考えられる。 |
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「キトラ古墳学術(がくじゅつ)調査・整備(せいび)委員会」【委員長、関義清村長】によると、国内の古墳壁画で朱雀を確認したのは初めてのこと。同古墳の約1キロ北の高松塚(たかまつづか)古墳では、極彩色(ごくさいしき)の衣装(いしょう)を着た「飛鳥(あすか)美人」図や、四神のうち三つが描かれていることがわかったが、南壁(なんぺき)が欠けており、朱雀は確認されなかった。
今回の調査で、四神図(しじんず)が天文図(てんもんず)とともに鮮明(せんめい)な写真でとらえられ、古代美術史上(びじゅつしじょう)の貴重(きちょう)な資料(しりょう)となった。また、北、東、西壁(せいへき)で床(ゆか)から高さ約30センチの位置に、ワラビの形に似(に)た赤い線が確認され、人物群像(じんぶつぐんぞう)の一部の可能性(かのうせい)もあるという。一方、壁面の漆喰(しっくい)のはく落なども明らかになり、早急な保存対策(ほぞんたいさく)が求められている。
《参考:朝日新聞、毎日新聞、読売新聞ほか》
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