第37回
文楽の技芸員(人形つかい)
吉田勘市(よしだ・かんいち)さん
1 笑いあり涙ありの人形劇

日本に古くから伝わる人形劇「文楽(ぶんらく)」で「人形つかい」をしている吉田勘市(よしだ・かんいち)です。
みなさんも幼いころに人形を使って遊んだ経験があると思いますが、舞台で人形を生きているようにあやつるのは高度な技術が必要です。
今日はぼくら人形つかいがどんなふうに修業しているか、また舞台の裏側についてもお話ししますね!
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日本が世界にほこる伝統芸能

文楽があつかう物語は、泣けるもの、笑えるもの、いさましいもの、おめでたいものなど、じつにさまざまです。
たとえば、ぼくが好きな演目の1つ、『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく) 沼津(ぬまづ)の段』は、生きわかれになった親子が敵同士で再会するという、せつなく悲しい話です。最後に父親は息子の刀で自ら命を絶つのですが、「おやじさま、幼いときに別れた平三郎(へいざぶろう)でございます!」と腹の底からしぼりだすようにさけぶ息子にこたえ、父親は「顔が見たい……」といって息たえる。このシーンはお客さんだけでなく、ぼくら演じ手の心もふるわせます。
また、『生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし) 嶋田宿(しまだのしゅく)笑い薬の段』という話は、おかしさに満ちあふれています。悪だくみをする医者が、しびれ薬をお茶にまぜて侍(さむらい)に飲ませようと計画するのですが、侍の味方がこれを見ぬいて医者のお茶に笑い薬をまぜたから、さあ大変、医者は笑いが止まらなくなって七転八倒。その様子がおもしろくて、会場は笑いにつつまれます。
親子の愛、男女の愛、友情、にくしみ、悲しみ、生きることの楽しさ、つらさ——いろんなものをひっくるめて人間のいとなみをていねいに描く人形劇、それが文楽なんです。
「大夫」「三味線」「人形つかい」で演じる

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