第38回
声優(せいゆう)
佐藤(さとう)ゆうこさん
1 キャラクターになりきって演技する

ひとくちに声優といっても、仕事はいろいろです。アニメのキャラクターの声を演じる以外にも、外国映画の俳優の口の動きに合わせてセリフを言う「ふきかえ」もおこないますし、テレビ番組やコマーシャルのナレーションも担当します。最近では、ゲームのキャラクターの声を演じる機会もふえていますね。
「声」にかんする仕事ならなんでもこなすのが声優ですが、今回はアニメの仕事を中心に紹介(しょうかい)しましょう。
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登場人物の気持ちを声で表現する
アニメのキャラクターを演じるときに大事なのは、「登場人物になりきる」こと。人間以外の動物やロボットの役を演じるときも、「主人公はどんなタイプ?」「ここでは、どんな気持ちで話しているのかな?」とイメージをふくらませ、キャラクターになりきります。
ふつうの役者は、表情や仕草もふくめて体全体で表現できますが、声優は声だけで喜怒哀楽(きどあいらく)を表現しなければなりません。画面の登場人物の口の動きにぴったり合わせてセリフを言うだけでも大変ですが、いろいろな声を使い分けて、シーンに合った感情を表現することが求められます。
そんなふうに役になりきるには、収録前に台本を読みこんで、キャラクターの特徴(とくちょう)やストーリーをしっかりつかんでおく必要があります。これがなかなかむずかしくて……。
たとえば外国映画のふきかえは、事前に完成した映画を見ることができるので、ストーリーの流れもつかめますし、役者さんの表情も読みとれるので、演じやすいほうです。

これに対して、アニメの声の収録は、映像ができあがるまえにおこなわれることがほとんど。台本に書かれているセリフだけを手がかりに、キャラクターの気持ちや場面の状況(じょうきょう)をできるだけこまかいところまでイメージし、そういう想像にもとづいて、セリフを練習しておくしかないんです。
自分以外のだれかになれるのが楽しい
さんざんイメージトレーニングしてからいよいよ、声を録音する「アフレコ」とよばれる作業に入りますが、自分のイメージにこだわりすぎるのも禁物です。収録スタジオでは、ディレクターの指示にしたがって声をふきこんでいくのですが、自分のイメージとディレクターの考えているイメージがちがうこともありますから。
そういうときは、現場ですこしずつイメージを修正します。これがむずかしいんです。ディレクターは自分でセリフを言うわけではありませんから、わたしのセリフに対して、「このキャラクターはもうちょっと明るい感じじゃないかな」などと注文します。ぴったりのイメージをさがしていくのは、時間とエネルギーのかかる作業です。

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