学研ほたるキャンペーン 学研ほたるネット

第20回 学研ほたるキャンペーンに寄せて


大場信義 「ほたるキャンペーン2015」考察コメント 大場信義(全国ホタル研究会名誉会長)

ほたるへの関心は高まっている!

今回、応募数は減少したものの、「ほたるを見た」報告の総数は増え、これまで報告数が少なかった地域で増えてきところ(秋田県など)がありました。また、寄せられた情報の中には「ほたるの発生数が多かった」という報告がいくつかあり、この傾向が来年以降も続くことに期待が膨らみます。

このキャンペーンの性格上、年ごとに参加者が入れ替わる中、少子高齢化の影響も受けてか、緩やかな応募数減少が続いています。しかし、人々の関心が薄れたということではなく、ほたるネットの報告などでもかなり詳細な発生状態や、不思議、感動が報告されています。全国を見渡すと、現地でのモニタリングや取り組みが活発であるにもかかわらず、それぞれの対象者と活動の目標が異なっているために本キャンペーン応募には至ってないのですが、潜在的な関心はむしろ強くなっていると思います。

日本列島はほたるに包まれている

年度ごとの分布図では毎回空白地域が見られますが、これは、ほたるがいないということではなく、報告者がいなかったためです。しかし、「今までの調査結果」の地図を見ると分かるように、過去すべての報告を重ね合わせると、ほたるは全国に生息し、日本がほたるにとってすみやすい環境であることが、はっきりと示されています。これは、継続して観測を続けてきたことによる成果で、ほたるキャンペーンが大変意義深い活動ということを示していると思います。第1回目のほたるキャンペーンに参加した子どもたちの多くは、20年を経て、今ではご自分の子どもとともに参加する年齢になっているのではないでしょうか。

ほたるに関わる活動

さて、このキャンペーンのほかに、私が関わっているほたるに関わる活動の中から、ふたつ紹介いたします。

環境省の事業のひとつであるモニタリングサイト1000里地の中で、ほたるのモニタリング調査が全国で継続されています。これらの中でいくつかの場所の結果を解析すると、ゲンジボタルとヘイケボタルはともに全国的に減少している傾向が見られています。今回の学研ほたるキャンペーンでは、ほたるの発生数は多い傾向が見られていますので、それぞれの場所の特殊事情があるのかもしれません。

もうひとつは、東京都皇居外苑の濠にわずかに生息するヘイケボタルは、江戸城築城時から奇跡的に生き延びてきたと考えられ、環境省の要請もありその保全再生に関わっています。今年は「国際ホタルシンポジウム」が台湾において開催予定で、ほたるへの関心は世界に広がっています。

こうした活動を振り返る中、日本の誇れるほたるを通した自然観を、ぜひ皆様とともに次の世代へと伝えて行けますことを願うばかりです。

来年度で学研ほたるキャンペーンは20周年を迎えます。これほど長期にわたり親子でほたるを見守ってきた事例は世界でもありません。ほたるを通して身近な環境を見守ることは、日本の素晴らしい自然を将来に伝えて行く上で大切な活動ということ。皆様がその活動の一端を担ってくださるとうれしいです。

(注1)2008年度に応募数が増えたのは、ほたるキャンペーン参加の幼児誌が1誌増えた影響が大きい。2010年度以降は、参加幼児誌が1誌減ったことや東日本大震災の影響もある。


監修:大場信義 プロフィール

大場蛍研究所所長、全国ホタル研究会名誉会長・理学博士
発光生物、特にホタルを中心に、日本全国をはじめ、海外でも発光行動や生態を調査し、比較研究している。『ホタルの里』(フレーベル館)『ホタルの木』『ホタルの不思議』(以上、どうぶつ社)など、ホタルに関する著書多数。主任学芸員を務めた横須賀自然・人文博物館を2006年3月に定年退職し、現在は、神奈川大学総合理学研究所客員教授、横須賀市長井海の手公園ソレイユの丘「ホタル館」顧問を務める。ホタルについての講演会や、ホタルを呼び戻す取り組みへの指導にも積極的に取り組んでいる。



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