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ネット依存にNO! 子どもとネットのかっこいいつきあい方 ネット依存アドバイザー 遠藤 美季さんインタビュー 第2回(全6回)

遠藤美季(えんどうみき)
任意団体エンジェルズアイズ主宰、情報教育アドバイザー・ネット依存アドバイザー。保護者・学校関係者に対し子どものネット依存の問題の啓発活動を展開するため、2002年にエンジェルズアイズを設立。学校講演、Web上での普及啓発活動、メールによる相談活動などをおこなっている。著書に『子どものネット依存 小学生からの予防と対策』(かもがわ出版)、『ネット依存から子どもを救え』(墨岡孝氏との共著、光文社)など。

第2回 ネット依存、その実態とは

前回は遠藤さんのもとに寄せられるさまざまな相談の中身をうかがいました。そのなかから今回はネット依存について掘りさげたいと思います。

――ネット依存とは具体的にどのような症状をさすのでしょうか。


ネット依存とは、ネットをやめたいのにやめられないという状態のことです。具体的には、ネットを使ってはいけない場所でがまんができなかったり、利用を禁止したり制限すると禁断症状が出たり、家族や周囲にかくれてネットをしたりする状態です。ひどい場合だと、家族に暴力をふるうなど、子どもが別人のようになることもあります。

アルコールやニコチンなど、ほかの依存症と照らし合わせてみるとわかりやすいと思います。

また過度のネット利用が原因で、心身の健康を害したり、社会生活において失敗したり、ネット以外のことに全く関心がなくなってしまうような状態になると、自分自身の問題だけでなく家族を巻き込んだり社会活動にも影響が出てしまうため、その前に兆候をとらえて予防したいところです。

――どのような兆候があるのでしょうか。

子どもの場合は、保護者から「ネットやりすぎじゃない?」と言われたときに、子どもが笑って「ああ、そうだよね」と言えない状態になったら、ちょっと注意深く見てあげたほうがいいと思います。

とくに子どもがむきになって言い訳したり、逆ギレして感情的になったりしたら、「ちょっとおかしいな」と気づいて欲しいです。

親にかくれてスマホを使っていると気づいた場合も依存を気にしてみましょう。

参考:ネット依存度チェック!
ひとつでも当てはまったら、ネットの使い方を見直そう。

◯ 家族や友だちといるよりネットをしているほうが楽しい
◯ 気がつくといつもネットをしている
◯ ネットをしないように心がけても、ついつなげてしまう
◯ 家族や友だちにかくれてネットをする
◯ ネットに費やす時間をほかのことで埋められない
◯ ネットをやめるように言われると腹が立つ
◯ ネットをしていないときでもネットのことが頭から離れない
◯ することがあってもまずネットにつないでしまう
◯ ネットをしてから自分が変わったと思う
◯ 最近性格が変わったね、と人から言われた
◯ ネットで知り合った人のほうが現実の友だちより大事
◯ ネット以外のことに興味がない
◯ ネットで使うアバター人格の自分が好き
◯ ネットの相手を挑発したくなる
◯ 幻覚が見えたり、幻聴が聞こえる
◯ うつ状態になることがある
◯ ネットがないと生きていけない

出典:『子どものネット依存 小学生からの予防と対策』遠藤美季著  かもがわ出版

ただ気をつけたいのは、単に毎日ネットを使っているから、たまに長時間利用しているからといって、すぐに「依存」を疑うというわけではないんです。

自分の将来に必要な勉強に使うなど、その時間が有益なものだったり、現実の生活とバランスがとれていて、自分でオンオフを切りかえられる状況であれば、毎日や長時間の利用であっても依存とは言えません。

ただ視力や成績がさがったり、心身の健康に影響が出るほど度を越して利用しているようなら問題と考えてください。

おとなのアルコールも夕食のときに晩しゃくを楽しんだり、たまに飲み会で楽しく夜中までお酒を飲んだりしても、それをアルコール依存とは言わないですよね。それと同じです。


エンジェルズアイズの相談事例からも、単に長時間ネットを利用しているイコール「依存」ではないことがわかります。スマホやネットはあくまでも道具ですから。道具の時間だけに注目して制限しても、根本的な解決や予防にはつながりません。

――なるほど、ネットやスマホはあくまでも道具であって、道具の使い方を制限するだけでは、依存の本質にたどりつかないということなのですね。次回はネット依存のなかでもとくに依存性が高いアダルトサイト依存の問題をとりあげます。

第1回 ネットトラブルの悲鳴 エンジェルズアイズに寄せられる相談
第2回 ネット依存、その実態とは
第3回 アダルトサイト依存から子どもを守るには
第4回 依存するには理由がある
第5回 本気で脱ネット依存! 子ども・保護者それぞれができること ~保護者編
第6回 本気で脱ネット依存! 子ども・保護者それぞれができること ~子ども編~

梅本真由美(うめもとまゆみ)
サイエンスライター。
長野県出身。NTT勤務を経てNTT系列の広告代理店で編集・マーケティング・企業向けWebページの企画制作などを担当。結婚後は専業主婦となる。2002年、 「天文台マダム日記」の公開がきっかけでライターに転身、朝日新聞・天文雑誌などに執筆多数。現在、月刊星ナビにて「天文台マダムがゆく」、国立天文台の公式サイトにて「天文台マダム VERAに夢中!」を連載中。