データで読み解く、子どもとスマホ

第10回 0歳児からのスマホ生活

スマホのある時代にうまれた子どもたち。いまや、赤ちゃんのころからスマホとふれあう子も珍しくありません。幼い子どもとスマホの関係を読み解きます。

初代iPhone が米国で発表されたのは2007年です。それから10年たらずでスマホは急速に普及し、日本では2016年に世帯普及率でガラケーを上回りました。※1

うまれて間もない乳幼児も大人と同じ「スマホのある」環境で暮らしているわけですから、子育てのシーンにスマホが入り込んでくるのは、必然的な流れといえるでしょう。

幼い子どものネット利用について、総務省が平成27年に調査を実施しています。※2

調査によれば、スマホ・タブレット・パソコンなど情報通信端末の利用率は、0歳児・1歳児は10%台、2歳児・3歳児は30%台となっています。また、0歳〜3歳児の使っている情報通信端末は約7割がスマホです。


「未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書 概要版」(総務省情報通信政策研究所)より

民間企業の調査結果では、乳幼児のスマホ利用率はもう少し高いものになっています。

NHKエデュケーショナルの子育て支援サイト「すくこむ」が平成28年1月に発表した調査では、0歳児・1歳児のスマホ使用率は約70%、2歳児・3歳児は80%超となっています。※3

いずれも、幼い子どもたちがスマホとともに育っているようすがうかがえる調査結果といえます。

0歳から3歳、一番人気は動画の閲覧

幼い子どもたちはスマホでどんなことをしているのでしょう。総務省の調査では0〜3歳でスマホを使っている乳幼児が利用するサービスの1位は「動画閲覧」。7割超が使っているとの結果が出ています。NHKエデュケーショナルの調査でも同様の値です。


「未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書 概要版」(総務省情報通信政策研究所)より

スマホをTVがわりに使っているのかとまゆをひそめる向きもあるでしょうが、総務省の調査を細かく調べると、保護者の皆さんの苦労がみえてきます。

総務省の調査では、0〜6歳の未就学児の利用シーンは「保護者が家事等で手が離せないとき」が6割、「外出しているとき(待ち時間や移動時間)」が4割となっています。調査報告書では「保護者側の事情と考えられるシーン」と指摘していますが、これらが日々の子育てに無数にある小さな難所だということは容易に想像できます。

幼い子どもを育てている若い保護者が、場の状況でやむなくスマホを子どもに使わせているのだとしたら、保護者の事情と切って捨てるのも気の毒なことだとわたしは考えます。

現時点では、スマホが幼児に与える影響はまだはっきりとはわかっておらず、いろいろな団体や個人がそれぞれ論を展開しています。日本小児科医会が「スマホに子守りをさせないで」と題する提言を発表して話題になったことを覚えていらっしゃるかたもいるでしょう。※4

定まったガイドラインがあるわけではないので、幼い子どもとスマホをどうつきあわせていくかは、それぞれの家庭で子どものようすをみながら、ほどよい落としどころを探していくほかないという状況にあります。まさに過渡期といえますが、すでに乳幼児の手もとにもスマホがあるということは確かです。

スマホは直感的に操作ができます。フィルタリングソフトのしにせ、デジタルアーツ(株)の調査では、0〜3歳児の想定外の使い方として「動画を見ていた・カメラアプリを起動していた・サイトを見ていた・電話が発信されていた」などの数値が高くなっています。※5

スマホで子どもが不適切な動画やサイトをみてしまわないよう、幼い子どもが使う可能性があるスマホではフィルタリングのアプリを入れるか、YouTubeの制限つきモードとGoogleのセーフサーチをオンにしておきましょう。音声入力もオフにしておきましょう。もちろん、使い過ぎには十分な配慮が必要です。

手がはなせない状態であっても心ははなさず、声がけやスキンシップでよりそいながら、子どもといっしょに、ゆっくりとスマホとつきあっていきましょう。

※1
内閣府 消費動向調査
連載第8回もご参照ください。
※2
「未就学児等のICT利活用に係る保護者の意識に関する調査報告書 概要版」(総務省情報通信政策研究所)平成27年
※3
「乳幼児とデジタルメディア」(NHKエデュケーショナル スクコム)平成28年1月
※4
「スマホに子守りをさせないで」(公益社団法人日本小児科医会)
※5
「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(デジタルアーツ株式会社)平成28年2月
渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)
株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。