データで読み解く、子どもとスマホ

第12回 コミュニティサイトがきっかけの犯罪被害 その2

コミュニティサイトがきっかけの子どもの犯罪被害。被害にあってしまった子どものスマホには、大切なものが欠けていました。

前回に続き、警察庁の「出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」※1という資料から、18歳未満の児童の犯罪被害とスマホとの関係をみていきます。

前回は、出会い系サイト・コミュニティサイトがきっかけで犯罪被害にあってしまった児童のうち、9割以上がコミュニティサイト(とくにチャットやSNS)を入り口としていること、そしてこれらのコミュニティサイトにアクセスしている端末の9割がスマホであることをお伝えしました。

ここで、こんな疑問をお持ちになったかたもいるかもしれません。

「スマホにフィルタリングをかけていなかったの?」

そうです、18歳未満の子どもがスマホを使うときには、フィルタリングが義務づけられているのです。

「青少年インターネット環境整備法」※2では、フィルタリングに関して次のことが定められています。

  • 携帯電話事業者は、18歳未満の子どもが利用する携帯電話・スマホの契約をする場合、保護者からフィルタリングサービスを不要とする申し出がない限り、フィルタリングサービスを提供することを義務づけられています(第17条1項)。
  • 保護者は、子どもが使う携帯電話・スマホを契約するときには、使用者が子どもであることを携帯電話事業者に申告する義務があります(第17条2項)。

しかし、警察庁のデータは驚くべきものでした。

被害児童の9割以上が「フィルタリングなし」


「平成27年における出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」(警察庁)

なんと、フィルタリングの利用の有無がわかった被害児童のうち、フィルタリングを利用していなかった被害児童が95%をしめていました

一般的な子どものスマホフィルタリング利用率は、内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」※3によると41.4%。決して高いといえる数字ではありませんが、被害児童のスマホフィルタリング利用率5%とは大きな差があります。

だれがフィルタリングを外したのでしょうか。答えはいうまでもなく「保護者」です。

法律の定めにより、フィルタリングを外すには保護者の同意が必要で、署名押印した書類を提出する必要があります。

また、フィルタリングの対象外である保護者の名義で契約して子どもに使わせ、それを黙っているのであれば、申告の義務に違反しています。

子どもたちを守るべき保護者が、フィルタリングを不用意に外したり、法律に違反してまで名義をごまかして契約したりすることが、子どもの未来に取り返しのつかない傷を与えてしまうこともあるのです。

一生苦しむ未来をわが子に歩ませないために


キャプション「平成27年における出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」(警察庁)

スマホが入り口となる犯罪被害の恐ろしいところのひとつに、写真や動画などによる記録性があげられます。

警察庁のデータでは、コミュニティサイト由来の犯罪被害のうち、児童ポルノのしめる割合は3割以上。また、たとえばスマホのチャットアプリで出会ったのであれば、相手の手にもスマホがあるわけですから、写真や動画をとることは簡単なことです。

そして、スマホで性的な画像や動画を撮影され、ネットにアップされてしまったら、それらをネットから削除することは事実上不可能です。

永遠に残る画像や映像に子どもが苦しみ続ける……そんな将来を望む保護者はいないはずです。

警察庁も今後の対策として、「スマートフォンを中心としたフィルタリングの更なる普及促進」をあげています。

後悔してもしきれない、そんなことになる前に、子どものスマホにフィルタリングがかかっているか、確認をしてください。

(おわり)

※1
警察庁サイバー犯罪対策サイト 統計ページ
「平成27年における出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」
※2
正式名称は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」 内閣府 インターネット利用環境整備
総務省 電気通信サービスFAQ(よくある質問)
※3
平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 第2節 子供のインターネット接続機器の利用状況 (5)スマートフォンでのフィルタリングの設定状況
渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)
株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。