シリーズ 専門家にきく!

『インターネットの不安から子どもを守る』フィルタリングの専門家インタビュー 第3回(全4回)

デジタルアーツ株式会社
1995年に設立。主な業務内容は、インターネットセキュリティ関連ソフトウェアおよびアプライアンス製品の企画・開発・販売。インターネットアクセスに伴う危険を未然に防止する「Webフィルタリング」および「電子メールフィルタリング」を中心とする情報セキュリティ事業を、企業・公共(官公庁・学校)・家庭向け市場に対して展開。製品の企画・開発から販売・サポートまでを自社で一貫しておこなっている。東証一部上場。

第3回 保護者が家庭でできるリテラシー教育の方法とは?

家庭の教育によって、子どもを守るための具体的な方法をお聞きします。

――次々とあらわれるネットのサービスに保護者の知識が追いつかないのですが、どうすれば自分の知らないものから子どもを守れるでしょうか。

吉田:ネットでこんな場面に遭遇したらそれ以上進んではいけないとか、ネットで知り合った人から「会いたい」と言われても会ってはいけない、というような基本的なことを教えるのはもちろんですが、一番大事なことは「なにかあったら必ず親に相談してね」という親子関係をつくっておくことだと思います。

子どもがだれにも相談できずに、ひとりで抱えこんで行動に起こしてしまった結果、被害にあってしまうのが最悪のケースですから、小さいころから、親でもきょうだいでも良いので、家族に相談できる関係をつくっておくことが、まずは大事ですね。

その上で、フィルタリングを設定して「しくみ」で子どもを守ってあげて欲しいです。

――フィルタリングさえ設定しておけば、ひとまず自由にスマホやネットを使わせても大丈夫でしょうか。


吉田:それだとむしろ逆でして、フィルタリングはあくまでツールであって、最低限危険から守れる道具ではありますが、万全なものではありません。フィルタリングに頼りきらずに、ネットの使い方やネット上のモラル、コミュニケーションの取り方を学んでいく必要があります。

田中:じつはわたしたちは、ツールとして使っているフィルタリングを親子のコミュニケーションのツールにも使って欲しいと思っているんです。

――フィルタリングを親子のコミュニケーションのツールに使うというのはどういうことですか?

田中:フィルタリングによってサイトやアプリをブロックされると使いにくいので、「解除して欲しい」と子どもは言ってきます。

そこで、「じゃあ、なんでこのサイトやアプリが止められたと思う?」と保護者が返せば、子どもの側はなにを求めているのか、保護者の側は制限にあたってどう考えているのか、という会話が成り立つので、コミュニケーションがとれますよね。

子どもの側は「サイトやアプリがブロックされた」と思うだけでなく、そこからの会話が大切なことを知ってほしいと思います。

ただ単に「制限されている」という意識が強いと、「フィルタリングは使いにくいから、とにかくはずしてほしい」という気持ちにつながってしまいます。しかし、話し合うことによって「なぜ、このサイトやアプリを使ってはいけないのか」「なぜこのサイトが制限されるんだろうか」ということを子ども自身が考えることになるので、リテラシーが身につきます。

保護者の側も「なにが危険か」「どう対処すればいいか」を考えることによって、知識が増えます。

フィルタリングというツールは、うまく使えば本当にいいものなんです。

――話し合うことで、親子ともにリテラシーを身につけるということですね。

田中:フィルタリングというと未成年向けのサービスと受け取られがちですが、じつは子どもにも大人にも、そして企業でも使える、万人向けのものなのです。

なにを見せて、なにを見せないという設定条件を年齢や立場によって変えて、カスタマイズして使っていただければと考えています。

また、脅威情報系とグロテスクなものだけは、老若男女関係なく制限したほうがいいでしょう。

※脅威情報系とは、不正IT技術、違法ソフト、反社会的行為、クラッシャーサイト(ウェブブラウザや OS の動作に異常を発生させる)、ウイルスに感染するサイトなどを指す。


デジタルアーツ株式会社のフィルタリングソフト「i-フィルター6.0」のフィルター強度設定画面。小学生用の設定ではチェックが多いが、大人用では少ない初期設定になっている。

――親子のコミュニケーションがリテラシー教育につながるのですね。次回はいよいよフィルタリング卒業に向け、保護者がすべきことをうかがいます。

※デジタルアーツ、i-フィルターはデジタルアーツ株式会社の登録商標です。

第1回 子どもを守るWebフィルタリングのしくみとは?
第2回 いくつものネット端末を使うのが“あたりまえ”な時代、安全なネットの使いかたとは?
第3回 保護者が家庭でできるリテラシー教育の方法とは?
第4回 フィルタリング卒業に向けて保護者も勉強しよう

梅本真由美(うめもとまゆみ)
サイエンスライター。
長野県出身。NTT勤務を経てNTT系列の広告代理店で編集・マーケティング・企業向けWebページの企画制作などを担当。結婚後は専業主婦となる。2002年、 「天文台マダム日記」の公開がきっかけでライターに転身、朝日新聞・天文雑誌などに執筆多数。現在、月刊星ナビにて「天文台マダムがゆく」、国立天文台の公式サイトにて「天文台マダム VERAに夢中!」を連載中。