シリーズ 専門家にきく!

『インターネットの不安から子どもを守る』フィルタリングの専門家インタビュー 第4回(全4回)

デジタルアーツ株式会社
1995年に設立。主な業務内容は、インターネットセキュリティ関連ソフトウェアおよびアプライアンス製品の企画・開発・販売。インターネットアクセスに伴う危険を未然に防止する「Webフィルタリング」および「電子メールフィルタリング」を中心とする情報セキュリティ事業を、企業・公共(官公庁・学校)・家庭向け市場に対して展開。製品の企画・開発から販売・サポートまでを自社で一貫しておこなっている。東証一部上場。

第4回 フィルタリング卒業に向けて保護者も勉強しよう

――家庭において、親子で話し合うことの重要さがわかりました。自らスマホやインターネットを理解して子どもに教育するというのが理想だとは思いつつ、実際にはなかなかむずかしいのですが、どうすればよいでしょうか。

吉田:子どもにスマホやインターネットのことを聞かれても、正直よくわからないと、保護者のみなさまから相談されます。そうした場合にわたしたちは、「子どもから教わってください」と言っています。常に保護者が子どもを指導するよりも、子どもの側からスマホの話をしてくる環境をつくるほうが大切です。

たとえば子どもが学校のICT教育で教わってきたことを親が教わるということがあってもいいですよね。それが親子の会話にもつながりますし、保護者にとっても知識が増えますから。

わたしたちは保護者学習用のツールを無料で公開していますので、活用していただければと思います。

デジタルアーツが公開している学習資料(無料)

デジタルアーツが公開している学習資料(無料)

  • スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ(無料)
    http://www.daj.jp/cs/sp/app/
    いま世の中で起きている「スマートフォンの利用にともなう被害」を疑似体験することができるアプリ。本アプリのシナリオを用いたPDF形式の学習資料(無料)もある。

 

そのほか、各地で講演などの普及活動もおこなっている。

2016年5月16日、17日 富谷町教育委員会にて

2016年5月16日、17日 富谷町教育委員会にて

普及啓発活動 活動実績一覧
http://www.daj.jp/csr/enlightenment/list/

 

――家庭のルールを決めるにあたり、フィルタリングの設定を“子どもにとってちょうどいい強度”にするコツを教えてください。


図はデジタルアーツ株式会社がWebサイトで公開している「フィルタリング活用講座」より

田中:フィルタリングを使い始める段階では「小学生向け」「中学生向け」といった学齢に応じた推奨設定で使っていただいていいと思います。ただし、これらの設定はあくまでわたしたちが推奨するひとつの目安で“ちょうどいい強度”には個人差があります。そこを知る手だてが、親子の会話です。

親子の会話を通じて、「うちの子どもは小学生だけれど、知識があるからこのカテゴリーはブロックしなくても大丈夫」とか「もう中学生だけれど、この部分はまだ危ない」というふうに、子ども個人に応じて徐々にフィルタリングの設定を解除していくことによって、その子にとって“ちょうどいい強度”になっていきます。

――フィルタリング卒業に向けて、保護者がすべきこと、心がけるべきことについて教えてください。

吉田:ひとつの目安としては、18歳〜20歳くらいまでには、大人と同じような条件で使えるように、先にゴールを設定しておくといいと思います。

とはいえ、フィルタリングで制限のかかった環境から、一気に規制のない世界へ踏み込むのは危険ですので、子どもがリテラシーを身につけられるような情報モラル教育を心がけて欲しいと思います。

あくまでもゴールは子ども自身で対処できるようになることなのですが、子どもの側も一朝一夕にリテラシーが身につくわけではないので、まずはフィルタリングなどの「しくみで守る」ところからスタートして、だんだんとフィルタリングの強度をゆるめていき、「教育で守る」比率を徐々にあげていく。そして最終的には、フィルタリングがなくても、 ネットのトラブルに対処できる知識をきちんと子どもたちが身につけることが情報モラル教育のゴールではないかと思います。そして、高校卒業と同時にフィルタリングも卒業するくらいを目標にして、徐々に家族のルールをゆるめていくのがベストだと考えています。

――ありがとうございます。子ども、保護者ともに自ら問題解決できるリテラシー向上を課題にしつつ、フィルタリングなどのツールを活用して、安全にインターネットを使っていきたいと思います。

吉田さん、田中さん、貴重なお話をありがとうございました。

※デジタルアーツ、i-フィルターはデジタルアーツ株式会社の登録商標です。

第1回 子どもを守るWebフィルタリングのしくみとは?
第2回 いくつものネット端末を使うのが“あたりまえ”な時代、安全なネットの使いかたとは?
第3回 保護者が家庭でできるリテラシー教育の方法とは?
第4回 フィルタリング卒業に向けて保護者も勉強しよう

梅本真由美(うめもとまゆみ)
サイエンスライター。
長野県出身。NTT勤務を経てNTT系列の広告代理店で編集・マーケティング・企業向けWebページの企画制作などを担当。結婚後は専業主婦となる。2002年、 「天文台マダム日記」の公開がきっかけでライターに転身、朝日新聞・天文雑誌などに執筆多数。現在、月刊星ナビにて「天文台マダムがゆく」、国立天文台の公式サイトにて「天文台マダム VERAに夢中!」を連載中。