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Case 18 実名アカウント・複数アカウント(1)/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 18 実名アカウント・複数アカウント(1)/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

実名と匿名でSNSの複数アカウントを使い分けるユカ。複数が必要な理由と使い分け方は?

裏アカウントはいくつある?

少し前にネットで「教師が生徒のSNSの内容をチェックして、生徒のアカウントは裏(秘密)のアカウントまで全部はあくしている」という話題を見かけました。この「生徒」は高校生で、スマホやパソコンを自分の責任で使うようになる年ごろです。学校が生徒のSNSの内容を気にかけるのは当然と思いますが、本当に裏アカウントを全部さがしたなら、たいそうな労力だと同情してしまいます。

というのも、いまTwitterで複数のアカウントを持つのはごく普通のことになっているからです。最近ではInstagramでも複数アカウントが持てるようになり、本人でさえ裏アカウントをはあくしきれていないかもしれません。

今回は、そんな複数アカウントについて、娘のユカの使いかたをご紹介します。

実名アカウントデビューと複数アカウント

ユカ(大学生)は、Facebookは実名アカウントを一つだけ、TwitterとInstagramは実名のアカウントと複数の別アカウントを持っています。

実名のアカウントは「かぎアカ」(非公開アカウント。承認した人以外には見られない)です。これは出身学校名やサークルなども明かして、ユカを検索したらたどりつく、いわば「表玄関」です。リアルで知りあった人に教えるのもこのアカウントです。

別アカウントでは実名などの個人情報を出しません。ユカはTwitterではアイドルのことをつぶやいて仲間を増やすアカウント、高校の部活の仲間とフォローしあうアカウント、思う存分ぐちを書くアカウントなどをつくっています。

ユカによれば、わたしに実名を禁止されていた高校時代より、実名アカウントを持った大学生になってからのほうが、個人情報を管理しやすくなったと言います。

「実名アカウントのないときは、実名でSNSをやっているリアルの友だちとどうつながるかが難しかったんだ。
いまは知りあいならだれでも知っていい情報だけのかぎ付き実名アカウントでつながるから、簡単だよ」

つまり「表玄関」は、子ども自身が「公開していい情報とその相手(範囲)」をしっかり自覚していないと使いこなせません。ネットで知り合った相手と「なかよくなったから」とそのアカウントでつながると、自分だけでなく友だちの個人情報も危険になりかねないからです。
やはりある程度以上の(わたしは最低でも高校生くらいだと思います)年齢になるまでは実名は禁止するべきでしょう。

お子さんがSNSを使い始めるのであれば、まずは見るだけ、次はかぎアカでリアルな友人とコミュニケーション、その次にネットで知り合った人とも……といった段階を踏んで、情報のコントロールになれてきてからアカウントを作るのが妥当な順番のように思います。

別アカウントの宿命、キャラ化

複数アカウントは便利な一方で、困ったことも起こります。

ユカは、アイドルファンで、京都が好きで、大喜利が好きな人間ですが、SNSでは一つにしぼって強調したほうが仲間を見つけたり交流しやすくなります。これがアカウントが複数になる理由のひとつですが、本当の性格には多面性があるのにSNS上では方向性の決まった「キャラ」化してしまいます。

一方で実生活では、SNS的に強調されたその「キャラ」として周囲から扱われるのは、プレッシャーに感じるようです。そのため、そのアカウントは公開アカウントなのに、実生活から切り離したい気持ちも出てきます。

複数アカウントとキャラ化が引き起こすトラブルには、どんなものがあるでしょう。

次回に続きます。

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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