データで読み解く、子どもとスマホ

第17回 子ども用に格安スマホを検討するなら必ずチェックするべきこと

最近よく耳にする格安スマホ。月々の使用料金の安さから、子ども用に……と考えている方もいるのでは? 今回は格安スマホと子どもの関係を読み解きます。

格安スマホ、1.6倍の伸びで拡大中

格安スマホという言葉をよく耳にするようになりましたね。
格安スマホとは、いわゆる携帯キャリアではなく、MVNO※1が提供するSIMカード(通信用ICチップ)を端末にさして使うタイプのスマホの総称です。

格安スマホは月々の支払い料金が安くなるかわりに、データ通信量や速度の制限が厳しかったり、音声がオプションの場合があったりと、サービスによって機能に制限があります。

そのため、少し前までは初心者は手が出しにくく、スマホやネットに詳しい人が使うものという印象でした。しかし、有償・無償のサービスの充実により、その印象はかわりつつあるようです。
実際に、格安スマホの需要は急速に拡大しています。

MM総研の調査※2によれば、国内の格安スマホ(この調査では「独自サービス型SIM」)の回線数は、2016年3月末で前年比65.5%増の539.4万回線。2018年3月末には1,170万回線に増えると予測しています。

出典:MM総研 (リンク先URL https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=6)

出典:MM総研

格安スマホ、フィルタリングはオプション

さて、内閣府の調査※3によれば、子どもが格安スマホを使っている利用率は1.6%と微々たるものです。増加傾向(昨年度より1ポイント増)にあるとはいえ、現時点で使っている子はほとんどいません。

とはいえ、1人1台のスマホを持つ時代です。家族で複数のスマホを使うとなると、月々の支払い料金がキャリアの提供するスマホよりぐっと安価な格安スマホが保護者の視野に入ってくるのは自然な流れです。子どもに持たせる端末としてはどうなのかと気になっている人もいることでしょう。

ここで保護者のかたによく注意してほしいことがあります。それは、格安スマホでは基本的に「フィルタリングはオプション」ということです。格安スマホの子ども向けサービスは全般的に手薄です。

フィルタリングを提供しているMVNOはありますが、そのほとんどはセキュリティ会社のフィルタリングサービスをオプションとして提供しているものです。無料で提供しているMVNOはごくわずかで、ほとんどが有料です。端末にアプリを入れることで実装するので、回線側で自動的にフィルタリングする既存キャリアのフィルタリングとはしくみが違います。

フィルタリングを提供していないMVNOの場合、自分でフィルタリングのアプリを購入して、スマホにインストールする必要があります。

つまり、格安スマホを子どもに使わせることを検討するのであれば、料金やサービス内容に加え、そのMVNOが子ども向けにフィルタリングサービスを提供しているか、無償か有償か、フィルタリングのアプリでどんな設定ができるのか、というところまで保護者が自分で調べておかないといけないのです。

この点が、契約時に使用者の年齢を申請すれば、無料のフィルタリングを回線側で自動的に提供してくれる既存の携帯キャリアのスマホとは根本的に異なります。

もちろん今後、MVNOが「普通に」フィルタリングを提供することになるかもしれませんし、そうなってほしいとわたしは思っています。しかしながら、現実問題としていまはまだ過渡期にあります。保護者の意識と行動なくして格安スマホにフィルタリングは入らないということを覚えておいてください。

※1
MVNO:Mobile Virtual Network Operator
仮想移動体サービス事業者のこと。無線通信ネットワークを他の通信事業者から借りてサービスを提供する。
※2
国内MVNO市場規模の推移(2016年3月末) 株式会社MM 総研
※3
平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
第2節 子供のインターネット接続機器の利用状況 (1)
渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)
株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。