データで読み解く、子どもとスマホ

第18回 親のICTリテラシー、まずは学校からの配布物から

適切なネットの使い方を子どもに教えることは、保護者の大切な責務です。保護者のICTリテラシーはいまどうなっているのか、読み解きます。

子どもの「ネット力」をやしなうのは保護者の責務

4回にわたってスマホのフィルタリングについてお伝えしてきました。

フィルタリングは、アダルト情報のほか、犯罪や暴力、コミュニケーションサービス(SNSを含む)へのアクセスを防ぐことで、有害情報への接触を防ぐためのしかけのひとつ。とても有効なサービスではありますが、万能ではありませんし、ご紹介してきたとおり抜け穴もあります。

いろいろなモノがネットに接続していくIoT(Internet of Things、モノのインターネット)の時代、フィルタリングだけに頼って子どもの安全なネット利用を実現することは、残念ながら難しいと言わざるを得ません。

また、規制をかいくぐって目的を達成しようという、子どもの筋違いな「熱意」もまたあなどれません。

フィルタリングのかからないWi-Fi環境を求めて、駅やコンビニなどでネット利用する。規制がゆるい友だちの家でネットをしたり、端末を借りる。フィルタリングの抜け穴になっている端末を隠れてこっそり使う。医療用語や外国語、隠語や略語を使って有害画像を検索する……。

こんなふうに、子ども自らネットの危険地帯に飛び込んで行ってしまっては、フィルタリングや保護者による保護装置が働かなくなり、その結果、子どもたちの心身が傷ついてしまうことだってあります。

フィルタリングを使うことも大切ですが、子どもたちに適切なネット利用方法を啓発すること、いわば心のフィルタイリング意識をやしなうことも同じくらい大切なことで、これも保護者の重要な役割なのです。

実はこれらのことは、青少年インターネット環境整備法※1で保護者の責務として定められているのです。少し長いのですが引用します。

「『青少年インターネット環境整備法』
(保護者の責務) 第六条 保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努めるものとする。」

保護者のみなさん、この努力義務をご存じでしたか? いままで果たしてきていますか?

9割超の保護者がネットに関する啓発や学習経験があるが……

ではここで、保護者がどのようにして適切なネット利用の方法やネットトラブルへの対処法を知っているのか、みてみましょう。

内閣府の調査によると、9割を超える保護者がなんらかの形でネットに関する啓発や学習の経験があると答えています。


インターネットに関する啓発や学習の経験 平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査より 複数回答

インターネットに関する啓発や学習の経験で、上位3つは次のとおりです。※2

1位 学校から配布された啓発資料などで知った 61.2%
2位 学校の保護者会やPTAの会合などで説明を受けた 57.5%
3位 テレビや本・パンフレットなどで知った 49.5%

学校から配布された啓発資料や学校からの説明で知ったという回答がそれぞれ6割前後。子どもがいる家庭ですから、学校からのメッセージが伝わりやすいのは自然なことです。しかし、4割ほどの保護者には響いていないというのも事実です。

また、小学生の保護者では「学校からの啓発資料」(52.9%)や「学校からの説明」(43.5%)の回答が全体平均よりも低くなっているのも気がかりです。

小学生でも携帯ゲーム機などでネットができるのはお伝えしてきたとおり。保護者が知識を得るのに早すぎるということはありません。

学校からのネット利用情報をキャッチし、ときに学校やPTAの講演会などに足を運び、本やネットで情報を補足し、それをわが子の成長度合いに応じて伝えていく。

そんな保護者の行動が子どもの心のフィルタリング意識をやしなう第一歩になります。ネットのことはよくわからないから……と逃げ腰になってしまわずに、努力義務を負った保護者として、子どもとネットのかかわりを注視していきましょう。

学校から配布される啓発資料には、地域のルールがわかりやすく示されていたり(例:SNS東京ルール ※3)、家庭のルールづくりのひな形があるものも(例:広島県廿日市市 ※4)。学校やPTAが行なう講演会の開催情報もあるかもしれません。

まずは学校からの配布物、要チェックです。

※1 正式名称は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」
内閣府 インターネット利用環境整備

※2 平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 (概要)

※3 SNS東京ルール

※4 広島県廿日市市
「家庭でつくろう!子どもを守る携帯・スマホルール」

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)
株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。