データで読み解く、子どもとスマホ

第51回 読み・書き・ソロバン・ICT

第51回 読み・書き・ソロバン・ICT

掲示板サービスに「何を書いてもよい」と答えた小学生はわずか2%

文部科学省の情報活用能力調査(小中学生、H25年度実施)※1をもとに、子どもたちの情報活用能力について紹介しています。今回は、「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の観点に基づいた調査結果を読み解きます。

情報活用能力とは


出典:情報活用能力調査の結果概要 (平成25年 文部科学省)

まず、情報の科学的な理解についてみてみます。

「情報の科学的な理解」の要素は

  • 自らの情報活用を評価・改善するための理論や方法の理解
  • 情報手段の特性の理解

と整理されています。

これらの観点からの質問に対して、小学生・中学生はどう答えたのでしょうか。公表されている小学生向けの問題を見てみましょう。

情報手段の特性を理解しているどうかを問う問題です。


出典:情報活用能力調査結果第4章

小学生は、電子掲示板における情報の伝わり方や広がり方について理解しています

この問題の正答である選択肢1「たくさんの人と会話することができる」を選んだ子どもは72%。多くの子どもが掲示板の特性を理解していました。また、選択肢4は「何を書いてもよい」と、情報モラル的にNGな内容ですが、これを選んだ子どもはわずか2%でした。

一方で、選択肢2「いつでも返信がもらえる」、選択肢3「正しい情報が手に入る」を選んだ子どもは合わせて26%。4人に1人はインターネットの掲示板の特性を正しく理解していないこともわかりました。

実際には、巨大な掲示板サービスであれば、あっという間に返信があったり、専門家が正しい情報を情報源についても示したうえで教えてくれたりすることもありますから、子どもたちがこう考えるのもわかる気がします。
しかし、ネットの情報は内容も反応速度もバラバラだという大原則を、子どもたちには知っておいてほしいですね。

なお、中学生においては、SNSの特性についての理解と、自動制御に関する情報処理手順(フローチャートづくり)の理解に課題が見られることが指摘されています。

通過率(正解と一部正解の合計)が17.9%だった中学生向けの問題を参考として紹介します。フローチャートづくりの問題です。


いまの中学生にはこんな力が求められているのですね。むしろ、6人に1人以上が正解できていることを頼もしく感じるほどです。

自分の個人情報は守れるけれど……

最後に、情報社会に参画する態度について、子どもたちがどのように回答したのか見てみます。

「情報社会に参画する態度」の要素は

  • 望ましい情報社会の創造への参画
  • 情報モラルの必要性、情報に対する責任
  • 情報や情報技術の役割や影響の理解

と整理されています。

公開されている小学生向けの問題では、架空のブログの記事を何ページか見て、個人の特定につながるような部分を見つけ出せるかを問うています。

結果を見ると、自分の個人情報(学校名と出席番号)を書いたページについては、7割強の子どもが問題があるとして選択しています。一方で、個人情報を要求してくるコメント(住所を聞いてくるコメントがある)、知り合いの写真を掲載している書き込みについては、問題があるとして選択した子どもはそれぞれ4割程度でした。

他者とのやりとりでうっかり情報をもらさないこと、また、人の写真をインターネット上に無断公表しないことについては、小学生の理解が不足していました。

子どもでもさまざまな手段で情報発信が可能となった今日、よき情報発信者としての態度は義務教育課程の小学生・中学生にも求められています。自分の権利だけでなく、他者の権利についても意識して情報を発信する、つまり、加害者になってしまわないための意識づけがもうひと押し必要だと感じさせられる結果でした。

情報活用の技能で子ども自身の未来をひらく

子どもたちは、ネットによる情報の受発信があたりまえという時代を生きています。わたしたち保護者世代は、ネット時代に必要な力を早くから身につけなければならない子どもたちを見て、つい「大変だな」と感じてしまいますが、いまさらそれを言ってもはじまりません。

読み・書き・そろばん(計算)・ICTが子どもの基本技能になったということを理解して、その技能で子どもたちがより明るい未来をひらいていけるよう、大人も情報活用の力をみがきながらサポートしていきたいですね。

※1
文部科学省 情報活用能力調査の結果について
渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)
株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。