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第54回 広がる“自画撮り被害”

第54回 広がる“自画撮り被害”

児童ポルノの被害、約6割が中学生以下

今回は、子どもの犯罪被害で増えている“児童ポルノ”“自画撮り被害”についてお伝えします。

これは、児童ポルノ事件の推移を示すグラフです。


平成29年における子供の性被害の状況 児童ポルノ事件(警察庁)

警察庁によると、平成29年に児童ポルノの被害にあった児童(18歳未満)の数は1,216人。過去最多だった平成28年より約100人減ったものの、平成12年以降増加傾向となっています。※1

被害の内訳は高校生が約4割、中学生が4割弱、小学生以下が約2割で、中学生以下の子どもの被害が6割弱を占めています。

法改正後も被害が広がっている

児童ポルノは、児童ポルノ禁止法※2 により、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に性的な部位(性器等若しくはその周辺部,臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」と定義されています(児童ポルノ禁止法第2条第3項)。

同法では、性的好奇心を満たす目的で児童ポルノやデータを保管した者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、盗撮により児童ポルノを製造した者は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金と定められています。

警察庁は子どもの性被害について「児童の心身に有害な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されない。」と厳しく指摘しています。

しかし、児童ポルノ禁止法は平成27年7月から改正法が適用されているものの、その後も被害件数は伸びており、事態は深刻さを増しているといえます。

4割が“自画撮り被害”

児童ポルノ被害のうち約4割が“自画撮り被害”によるものです。

“自画撮り被害”とはなんでしょうか。

“自画撮り被害”とは、だまされたり、脅かされたりして児童(18歳未満)が自分の裸体等を撮影させられたうえ、メールなどで送らされる被害をいいます。スマホのカメラで簡単に自分の写真が撮れ、家族に知られずに相手に送ることができることが背景にあります。

実際の検挙事例や相談事例をみると、SNSで執念深く督促をする、同性になりすまして体の悩み相談を装う、既に手に入れたプロフィールや写真をネットに拡散すると脅す、身体に危害を加えると脅迫する……さまざまな手口で子どもたちを心理的に追い込んでいて、胸が悪くなるようです。

また、女子中高生、未就学の男児や小学生女子など、年代・性別を問わず子どもが犯罪被害にあっていることが報告されています。

さらにみてみると、加害者は、ゲームアプリや友だち募集アプリでの知り合い、SNSでのつながりといったネットでの知り合いだけではありません。同級生や友だち、交際相手といったリアルなつながりから自撮りを強要され、関係性がこわれるのが怖くて写真を送ったという被害も報告されています。被害者と信頼関係性を築いてから犯行を行なう周到さがあり、こうかつです。

ぞっとするような話ばかりですが、どんな保護者も無関心ではいられないことがわかるでしょうか。

写真を送るまえに大人に相談を

ひとたび写真がインターネット上に流出してしまうと、すべて削除することはとても困難です。また、いまネットに出ていなくても、今後どうなるかはわかりません。

お子さんの心身の被害と未来を守るためにも、「うちには関係ないこと」と切り捨ててしまわず、ネットをつかうにあたって最低限知っておくべきこととして、自分の裸を撮ったり送ったりすることがないように、お子さんに伝えていく必要があります。

被害の実態を紹介するマンガをいっしょに見るのもいいでしょう。※3


STOP!自画撮り!(警察庁)

もし写真を送ることを強要されたら、送るまえに保護者や警察などの大人に相談してください。親に知られたくないという子どももいますから、ネットトラブル相談用の専用電話番号をさりげなく渡しておくのも有効でしょう。万が一送ってしまったら、すぐにでも保護者といっしょに警察に相談してください。※4

子どもに性的な写真を送らせようとする人は、知り合いでも友だちでもなく、犯罪者だということ。そして、巻き込まれそうになったら勇気を出して大人に相談することを、お子さんに伝えてほしいと思います。

※1 警察庁 STOP! 子供の性被害

※2 正式名称は「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」

※3 警察庁 「STOP!自画撮り!」

※4 警察庁 支援や相談窓口が掲載されたパンフレット

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)
株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。