すくすく伸びる子どもたちに、本当に大切なこと

スマホやネット。依存を防ぎうまくつきあうにも「自己肯定感」と「親子の会話」がカギ

スマホやネット。依存を防ぎうまくつきあうにも「自己肯定感」と「親子の会話」がカギ

学研キッズネットfor Parentsの記事からわかった、すくすく伸びる子どもたちのために本当に大切なことをふり返る特集第4回のテーマは「子どもとネット」です。

わたしたち保護者の子どもの頃と今の子どもの環境を比べたとき、もっとも大きな違いは「スマホやパソコンが身近にあるかないか」ではないでしょうか。調べたいことをすぐに検索できる便利さや、遠方に住む人ともネット上で知り合いになれる手軽さがある反面、ネットを通じた深刻なトラブルや犯罪、健康被害も心配です。

子どもにふさわしいスマホやネットとのかかわり方を、専門家の方の言葉をもとに考えていきます。

このページの目次

  1. 小中学生のスマホ利用、増加に伴ってトラブルも! 
  2. 子どもに渡す前に決めたいスマホのルール
  3. 我が子がスマホ依存かなと思ったら
  4. 大切なのは、親子の会話

1.小中学生のスマホ利用、増加に伴ってトラブルも!

スマホの世帯普及率がガラケーを抜いた2016年。それから数年のうちにスマホの普及率はどんどん上がり、多くの子どもたちもスマホを利用する時代になりました。内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」2018年の結果によると、小学生の約3割、中学生の6割弱がスマホを利用しているそう。前年からの小中学生利用率の伸びを考えると、今後もさらに割合が増えていく可能性があります。いまや一番身近なICT機器はスマホかもしれません。

※ICT……Information and Communication Technologyの略。情報通信技術。電話・パソコン・インターネット・携帯電話など,情報処理や情報通信に関わる技術をまとめた呼び名。

スマホでのネット利用の内訳を見ると、動画視聴が伸びています。この動画の閲覧では、年齢区分が厳密になされていないものや、一見子ども向けの動画のようでいて、再生すると子どもにはふさわしくない内容の「エルサゲート」などもあるため、見せっぱなしにしないという親の注意と見守りの姿勢を喚起しているのがコドモットの渡邉純子さんです。

中学生のスマホ利用、6割目前
「データで読み解く、子どもとスマホ」(渡邉純子さん)

スマホの利用率が上がるにつれて、トラブルに遭う子どもの数も増えています。なんらかのトラブルに遭ったことのある子どもは約6人に1人という状況のなか、保護者は子どものトラブルにあまり関知できていないようです。児童ポルノの被害も増加傾向、その4割が自画撮り被害によるもの。犯人は巧みに子どもたちを信頼させ、追い詰めていきます。わたしたちは「うちの子は大丈夫」とは思わずに情報を収集し、万が一のことがあったときに子どもがすぐに相談できるような親子関係を心がける必要がありますね。

子どもの携帯・スマホの使い方にもっと興味を
「データで読み解く、子どもとスマホ」(渡邉純子さん)

広がる“自画撮り被害”
「データで読み解く、子どもとスマホ」(渡邉純子さん)

2.子どもに渡す前に決めたいスマホのルール

進学のお祝いや何かのごほうびに、新調した子ども用のスマホ。楽しくウキウキと買ったのに、それがきっかけで親子の会話が減ったり成績が下がったり睡眠時間が減ったりしたら…。そうならないために、わたしたちはどうしたらよいのでしょう。「使うときは必ず親といっしょに」「どんな目的で使うのかをはっきりさせる」など、手渡す前に明確にしたい事柄を遠藤美季さんが教えます。

スマホ依存予防対策は念入りに 前編
「スマホ依存!」(遠藤美季さん)

スマホなどの機器は、子どもさんの持ち物にはしないでください。」と言うのは高橋大洋さん。たしかに「子どもの所有物」となってしまうと、保護者は口出しがしにくいですね。「親が子どもに貸し出している」というだけで、保護者は子どもの利用について話し合ったり、子どもに今の流行について聞いたりしやすくなります。

あとから厳しくするやり方は、親子ともにくたびれます。保護者が良いお手本を心がけ、子どもとの間に信頼関係が成り立っていれば、子どもがどんなスマホの使い方をしているのか、友だちともめていないかどうかも、保護者にちゃんと伝わってくるんです。」と高橋さん。

情報モラル教育のエキスパートが語る、ネットと子ども、そして保護者の望ましい関係とは ピットクルー株式会社 高橋大洋氏インタビュー第4回

ルールを決めるには、保護者がスマホについて必要な知識を得ておく必要があります。たとえば「SNSの年齢制限」について。保護者世代ではまだメールがコミュニケーションツールとして活躍していますが、子どもたちにとって、ネットでのコミュニケーションの中心はソーシャルメディア(SNS)。でもこのSNS、LINE以外は13歳未満は禁止されています。「小学生のうちはSNSの利用は控え、もしどうしてもする必要があるという場合には、『保護者といっしょに』を徹底」することを渡邉さんはすすめています。

SNSの年齢制限を知っていますか?
「データで読み解く、子どもとスマホ」(渡邉純子さん)

また、スマホの使い過ぎは深刻な健康被害につながります。「目が悪くなる」可能性は容易に想像がつきますが、同じ姿勢で狭い画面を長時間見ていることによる体のゆがみやあごの未発達、歯並びの乱れといった悪影響は、じわじわ進行するので、気づいたら深刻な事態になっているかもしれません。睡眠不足による集中力の低下、運動不足による体の不具合など一見関係のないような事柄も、じつはネットやスマホの利用と深く関係する場合があると遠藤さん。

健康診断でわかるスマホの悪影響。親子で健康美をとりもどそう
「ネット依存にならない、かっこいいネットとのつきあい方」(遠藤美季さん)

スマホの利用時間と学校の成績との関係も、保護者としては気になるところですね。「ケータイやスマホの使用時間が短い子どもほど正答率が高い」という結果、これには何となくうなずけます。ところが「勉強時間が長くても、ケータイやスマホを長時間使うと、勉強時間が短い生徒より成績が悪くなってしまう」という結果も。さらに「ケータイやスマホの使用をやめると学力が戻り、使用していなかった生徒が使用し始めると学力が低下する」という調査結果があるそうです。

一度や二度、使いすぎて失敗することがあっても、スマホやケータイと粘り強く向き合えば「自制心を育てる絶好の機会」にすることができると説くのは中曽根陽子さんです。

ネット時代に必要なのは、自制心
「AI時代を生き抜くために『失敗力』を育てる6つの栄養素」(中曽根陽子さん)

じつは、保護者側は「ルールを作った」と思っていても、子ども側は認識していなかった、という場合も多いようです。「ルールを作って、スマホを渡して、ひと安心」となってしまいがちですが、スマホを子どもに渡すときは覚悟をもって、渡したあとも情報とルールのアップデートを怠らず、子どもを見守っていきたいものです。

スマホの利用ルール決め根気よく
「データで読み解く、子どもとスマホ」(渡邉純子さん)

3.我が子がスマホ依存かなと思ったら

ルールの大切さは身にしみてわかったけれど、それでももし子どもがスマホやタブレットのゲームにハマってしまったら……?

我が子がスマホを気にしすぎて「なにか変だな」と感じたとき、その直感は、「スマホ依存」のサインに結び付くものかもしれません。「スマホ依存」には原因があり、その原因は一人ひとり違うものだと遠藤美季さんは言います。単にスマホを取り上げようとするのではなく、やめるにやめられない子どもなりの事情を探りながら、スマホとの距離を離していくのが良いようです。「スマホ依存」サインのチェック項目、解決に向けたヒントは心強い味方です。

スマホ依存予防対策は念入りに 後編
「スマホ依存!」(遠藤美季さん)

ここでひとつ実例を見てみましょう。タブレットのゲームにハマってしまった子どもに対し、子どもの特徴を考えて親子でルールをつくり、実行する努力をすることで依存から脱しました。「親子関係や環境づくりなど、ネット以外のところにルールを守るための成功のひけつがある」と遠藤さんは言います。

ルール作りは学びのチャンス
「ネット依存にならない、かっこいいネットとのつきあい方」(遠藤美季さん)

子どもが「スマホ依存」にならないために、親がしてあげられる第一のことは「子どもに『大好きだよ』という気持ちを伝えること」。というのも、自己肯定感の低さと「スマホ依存」とは密接なつながりがあるから。

「親が自分のことを大切にしてくれている、その気持ちが自分自身を大切にする気持ちへと育っていきます。そんなあたりまえのような日常が子どもをネットに依存させないことへの重要な布石になっているのです」

自分自身を大切にする気持ち「自尊感情」が育っていないうちはスマホを持たせない、と保護者が覚悟を決めることも必要になってくるでしょう。

依存経験者から学ぶ ネットに依存させない子育て
「ネット依存にならない、かっこいいネットとのつきあい方」(遠藤美季さん)

スマホ依存予防対策は念入りに 前編
「スマホ依存!」(遠藤美季さん)

4.大切なのは、親子の会話

ネットやスマホについて知れば知るほど恐ろしいものに思え、子どもに触れさせるのが怖くなる、という保護者も多いかもしれません。けれども、子どもたちの学習の場にはICTが浸透しつつありますし、大人の多くがスマホを使うように、子どもたちがスマホやネットを利用する場面もこれからますます増えていくはずです。

ネットを通して国境を越えて情報をやりとりする時代の流れを考えればネット環境から子どもを過度に遠ざけるのはもったいないといえるでしょうし、子どもたちのSNS上のやりとりを逐一チェックするというのも考えものです。

わたしたちは、ICTにどう向き合い、ICT機器を扱う子どもたちをどのような目で見守ればよいのでしょうか。

「学習アプリでもオンライン学習でもなんでもいいので、まずは保護者自身が自分でやってみること、そのうえで、自分がいいと思ったものを子どもといっしょにやってみるという姿勢が大切だと思っています。そして、学んだ 内容をもとにして『これをやってみたらおもしろかったから、あなたもやらない?』というように親子で会話をすることが重要だと思います。」

「オープンなオンライン教育で新しい学びを創造する」株式会社ドコモgacco代表取締役社長 伊能美和子氏インタビュー第4回

子どもたちにとって「スマホ」は道具で、「自分の耳とか口がスマホの先にあって、友だちとつながってくっついちゃっているような感覚」があると言うのは杉本卓先生です。「スマホという道具とのつきあい方にだって、人間の根本的な部分を考える必要があると思うんです。スマホを使うことで、この情報を得ることで、このゲームをすることで、このルールを決めることで、わが子は人として幸せになるのか、ということを保護者は考えて欲しいんです。
近視眼的なレベルではなく、一段高いレベルで(スマホの使い方について)考えましょうということです」

ICTが進化する未来へ、子どもたちはどう育っていくのか 青山学院大学 杉本卓先生インタビュー第4回

ICTの特徴である「わかった気になる」を学びに転換するうえでも、適切な声かけや興味に応じた体験の場を提供するなど保護者のサポートが必要になるでしょう。

「わかった気になる」のではなく「理解を深めるためには、言葉でちゃんと説明できるかどうかが、いまのところ非常に大事だと思います。『知ってるよ』とか『検索すれば出てくるよ』ではなく、自分の言葉でものごとを説明できるところまで理解するということです。」

「いろいろな状況で身体をともなって体験しないと身につかないと思いますし、情報教育とかICTを使うときに、体験をないがしろにして情報を取り扱うだけにしてしまったら、これから必要な教育にはならないだろうと思います。」

ICTが進化する未来へ、子どもたちはどう育っていくのか 青山学院大学 杉本卓先生インタビュー第2回

「保護者には監督官や指揮者のような立場に立つだけでなく、保護者自身がネットとのつき合い方をしっかり見直してほしい」と話すのは高橋大洋さん。

「保護者は知らなきゃいけないことがいっぱいあると思いがちなんですが、実は子どもたちの多くがオンラインコミュニケーションで直面する悩みのほとんどは、人間どうしのコミュニケーション、心理の話です。そんなの、長生きしている大人の方が小学生・中学生より絶対に詳しいんですよ」

「新しいアプリの流行に右往左往するより、根っこにあるネットのしくみや背景を学んだうえで、子どもといっしょに日々試行錯誤していきましょうと伝えたい」

情報モラル教育のエキスパートが語る、ネットと子ども、そして保護者の望ましい関係とは ピットクルー株式会社 高橋大洋氏インタビュー第1回

わが子がまだ言葉を交わせない赤ちゃんだったころ、「だれに教わるでもなく、相手のことを思う一心で、その表情や泣き声、スキンシップという“言語以外”の情報で、目の前の赤ちゃんと気持ちのキャッチボールをしながら、お互いのコミュニケーション能力を育ててきたのです。そして共感、伝える、聞く、思いやり、理解、お互いを認める気持ちなどさまざまな能力を育ててきたのです。」

それと同じことを、友だちとのコミュニケーションに役立てることを親は教えてあげることができるのです。

会話の基本はFTF(Face To Face)
「ネット依存にならない、かっこいいネットとのつきあい方」(遠藤美季さん)

流行の移り変わりは激しいし、子どもたちのゲームやコミュニケーションツールに対する習得の速さは、大人にはとてもついていけず……。子どものスマホ利用を放任する傾向の裏には「知らないものは怖い」という保護者の物怖じもあるように感じます。

けれども時代は変わっても、人間関係を育んでいくうえで大切なことはあまり変わりがないようです。保護者として子どもに「大好き」の気持ちや、スマホを利用するうえでの心配を伝え、子どもから相談があるようなら話を聞き、スマホの新しい機能やアプリについてはときに子どもに教えを請いながら、いっしょに「試行錯誤」していきましょう。

この回の最後に、ネット依存の専門家・遠藤美季さんが、母親として、ネットに関してお子さんとどのようにかかわってきたのかがわかる記事を紹介します。

子どもがネットに依存しなくても済む環境を保護者としてどのよう整えたらよいのかを真剣に考え、「朝は笑顔で送り出す」「家のことを親子でいっしょにする」など小さな心がけを積み重ねてきた遠藤さん。この実践の結果、お子さんがスマホやゲームとどのような関わり方をするようになったのかは、多くの保護者に様々なきっかけを与えてくれるように思います。

デジタルネイティブを育てるpart1
「ネット依存にならない、かっこいいネットとのつきあい方」(遠藤美季さん)

次回は子どもたちに、ときに大きな影響を与えてくれる「ナナメの関係」に焦点をあてていきます!

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)
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