ネット依存にならない、かっこいいネットとのつきあい方

ネットをするならクールに使うことを意識しよう


ネット依存の現場から見えてきたさまざまな事例をもとに、ネットに振り回されず、クールに使いこなしていくためのノウハウを紹介していきます。

ネット依存の現場から

わたしがエンジェルズアイズという団体を立ち上げ、ネット依存の予防啓発の活動を始めて15年になりますが、ここ数年のネット環境は劇的に変化しています。

家族全員それぞれの携帯端末で楽しむ光景が当たり前となったことで、家族全員が自分たちの依存に気付かず、別々に住むおじいさんから相談されたことがあります。また、スマホの登場で依存に拍車がかかり、ネットに夢中になってスマホが手放せなくなる子どもが一気に増加。かつてはゲームによる深刻な引きこもりの相談が中心だったのですが、最近では動画やSNSに関する相談が追加され、年齢も下がってきています。

そこでこのコーナーでは、ネットに振り回されず、クールに使いこなしていくためのノウハウを紹介していきます。小学生・中学生のうちに、上手なネットとのつきあい方の知恵を持つことで、依存したりトラブルに巻き込まれずにかっこよくネットを使いこなしていく……そんな成長の手助けになることを願っています。

子どもたちは動画に夢中、大人はSNSのアップに夢中

みなさんは動画サイトをいくつご存知でしょうか。小学生に聞くと『YouTube』と『ニコニコ動画』と答えます。男女ともにゲーム実況や人気ユーチューバーの動画を見ていることが多いようです。

最近では見るだけではなくて、ユーチューバーにあこがれ、自分も実況したり、動画を投稿する小学生が増えています。動画をアップし視聴回数やフォロワーの数字を増やすことにとりつかれる子もいます。クラスや、ネット世界で人気者になることに夢中で親の制止がきかないなんてことも……。

でもわたしたち親だって同じようなことをしているのです。たとえばカフェやレストランで料理を無断で撮影し、SNSへアップすることが「当たり前」になっている姿をよく見かけますよね。内心ギクリとした方もいるのでは?

実は海外では料理を勝手に撮影しSNSなどにアップすることは『フードポルノ』と呼ばれ、マナー違反であり品のない行為とみなされます。さらに知的財産権の侵害の問題点も指摘されています。撮影する際に周囲の人にことわるのは当然のマナーです。恥ずかしくて、ことわりができない場合は撮影を断念し、記憶の中に保存しておくのも一つの選択肢です。

周囲へのことわりといえば、こんなエピソードがあります。先日ある女性とおしゃれなお店に食事に行く機会がありました。出てくる料理はみな美しいものばかり。するといっしょにいた女性が「お行儀が悪くてすみませんが、お料理の写真を撮っても良いですか?」とお店の人に声をかけたのです。ご自身の記録用とのことでしたが、周囲への気遣いがとてもスマートで、わたしは思わず「かっこいい!」と心の中でつぶやきました。

子どもは親を見てなにかを感じ、学んでいる

さて、そんな親の姿を子どもはよく見ています。

実は小学生からは「ぼくよりもお父さんの方がゲームに夢中。いつもスマホいじってるもん!」「夜中、リビングの暗やみでお母さんがスマホでゲームをしていて驚いた(>_<)」という耳の痛い話を聞きます。
そんな親を「スマホマン」と皮肉る小学生がいたり、また「親が自分の写真を撮るたびにSNSにあげないように注意している」という中学生もいます。

親がスマホを使う姿を見て、子どもたちは「なにかを感じ、学んでいる」ということをわたしたち親は忘れてはならないようです。

大人も意識してカッコよく使おう

外食でも家庭でも、人との食事中に無意識にスマホをいじっている人がいます。SNSへのアップだけでなく、LINEや検索、ゲーム・動画などいろいろでしょう。ただいっしょにいる人は『その場』を楽しめないことに不満を抱いているかもしれません。

機会をとらえて「目の前の人を無視してスマホに夢中になる姿はいっしょにいる人に失礼だし、かっこ悪いこと」と子どもに伝えましょう。

もしどうしても使用しなければならないときは、一言ことわって使うことが礼儀で、小さなマナーやその場の会話で食事が楽しくなるということを教えてあげましょう。そこから話をひろげて、食事以外の場所でも勝手に撮影することはNGなんだと伝えられたらさらにいいですね。

そしてもちろん、子どもたちの視線を意識しながら、わたしたち大人もスマホを使いましょう。口やかましく注意をくり返すよりも、子どもたちが『あんな使い方かっこいい』と誇れるような行動を見せて教えることが大切です。

実は先にお話しした女性は2人の子どもがいるお母さん。母親のスマホマナーは、お子さんが素敵な大人に成長するのに必ず一役買うことでしょう。ぜひ真似したいですね。

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遠藤さんプロフィールph
遠藤美季(えんどうみき)
任意団体エンジェルズアイズ主宰、情報教育アドバイザー・ネット依存アドバイザー。保護者・学校関係者に対し子どものネット依存の問題の啓発活動を展開するため、2002年にエンジェルズアイズを設立。学校講演、Web上での普及啓発活動、メールによる相談活動などをおこなっている。著書に『子どものネット依存 小学生からの予防と対策』(かもがわ出版)、『ネット依存から子どもを救え』(墨岡孝氏との共著、光文社)など。