シリーズ 専門家にきく!

お菓子でプログラミング!? 次世代の遊びで子どもたちの想像力をはぐくむ――玉井博久さんインタビュー 第3回(全4回)

玉井博久(たまい・ひろひさ)
さん
玉井博久(たまい・ひろひさ)
江崎グリコ株式会社 広告部クリエイティブチーム兼アシスタントグローバルブランドマネージャー。リクルートのコピーライターとして200社以上の企業広告に携わる。2012年より江崎グリコ広告部でグリコブランドの広告を担当、ポッキー史上初のグローバル統一キャンペーン「Pocky day」などを手がける。2016年、グリコードの立ち上げを実施。近著に『宣伝担当者バイブル』。

第3回 小学校でグリコード。生で見る子どもたちの反応は?


―グリコードは総務省の平成28年度「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業に指定されました。東京都で実施した内容について教えてください。

 


グリコードを活用した小学校低学年向けのプログラミング体験の授業を小金井市立前原小学校で行ないました。

今回の実証事業は、放課後に希望者をつのるという形で課外授業として行ないました。といっても、実際は対象学年の多くの子どもが参加を希望したので、教室が足りないくらいの人数が集まりました。11コマ実施し、のべ人数で195名の小学生に参加していただきました。

小学校低学年が対象なので、サポートスタッフをかなりつける必要がありました。そこで、実施校である前原小学校の松田孝校長先生にご協力いただき、小学校低学年の担任の先生、PTAの保護者の皆様にお声がけいただいてメンター(指導をサポートする人)を募集しました。

学校内のWi-Fi設備の充実なども、プログラミング教育について大変熱心な取り組みを行なって来られた松田校長先生が強力な推進力となって、短期間にICT教育の環境を整備していただきました。

そして教室には、プログラミングに使うお菓子とタブレットを人数分用意し、子どもたちは自分の机の上にお菓子を並べて、グリコードに取り組みました。


―子どもたちの反応に興味があります。

子どもたちは最初から最後まで、ずっと盛り上がっていましたよ。はじめにお菓子があることによってテンションがあがっていますし、箱をあけてお菓子を出すと、またテンションがあがる。

そして、子どもって、プログラミングを始めたら、夢中でどんどん進んでいくんですよね。先生方が、「はい、次はこのコースです」って言うんですが、もう全く関係なく、自分で勝手にコースを見つけて課題を解決して、どんどん先に行ってしまう。終了のチャイムが鳴っても、だれも終わりにしようとしないんです。それほど夢中になっている姿は印象的でした。


―子どもたちは、一人でステージをクリアしていったのでしょうか?

子どもどうしで教え合っていましたね。「こうやるんだよ」「あ、そっか」というように自然に教え合いが発生するのが非常に良かったです。グリコードではお菓子というリアルなモノが目の前にあるので、教え合いがしやすいという強みがあると思います。

たとえばあるステージをクリアするのに、自分は10本のポッキーを使ったけれど、友だちは3本のポッキーで解けている。そこで「なんでその解き方をしたの?」っていう会話が生まれるんですよ。そうすると「なぜ自分はその解き方を考えつかなかったんだろう、こうやって解けば良かったのかもしれない」って、また考えて発想が生まれますよね。それこそが本当の学習だと感じました。

―前原小学校での取り組みで苦労したことや今後の課題をお聞かせください。

一番の課題は、アレルギー関連です。今回は成分表を見てアレルギーの問題がないか確認してくださいとお伝えし、個別に対応したのですが、今後義務教育で広く展開することを視野に入れるとなるとそうはいきません。

学校に限った話ではなく、アレルギーのある方がご家庭で取り組む場合でも同じことですので、なんとかして対応しなければいけない。そういう意識で、アレルギーがあるお子さんでもグリコードを使えるような取り組みをすでに始めています。

―子どもたちが夢中になって取り組む様子が目にうかぶようです。そしてアレルギーのある子どもにも誠実に対応しようとする姿勢に食品メーカーとしての責任感を感じました。最終回となる次回は、家庭におけるプログラミング学習についてうかがいます。

第1回 お菓子でプログラミングってどういうこと?
第2回 創業者の「食べることと遊ぶことは子どもの二大天職」が開発のルーツ
第3回 小学校でグリコード。生で見る子どもたちの反応は?
第4回 失敗は悪いことではないというメッセージを伝えたい

梅本真由美(うめもとまゆみ)
サイエンスライター。
長野県出身。NTT勤務を経てNTT系列の広告代理店で編集・マーケティング・企業向けWebページの企画制作などを担当。結婚後は専業主婦となる。2002年、 「天文台マダム日記」の公開がきっかけでライターに転身、朝日新聞・天文雑誌などに執筆多数。現在、月刊星ナビにて「天文台マダムがゆく」、国立天文台の公式サイトにて「天文台マダム VERAに夢中!」を連載中。