心と体の健康を保つために知っておきたい、アンガーマネジメント

心と体の健康を保つために知っておきたい、アンガーマネジメント

宿題が終わってゲームをしていた子どもに、「宿題終わったの?」と声をかけると、「もう終わってるよ」とイライラした声で答えが返ってくること、ありませんか?

こんなイライラが積み重なると、友だちを殴ったり、ものを壊したり、暴力的なふるまいに発展してしまう可能性が高くなるそうです。では、イライラの積み重なりを防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。

娘(小6)が通う学校で開催された公開講座『アンガーマネジメント はじめの一歩 ~子どもの感情コントロールの力を育てるために』に、娘といっしょに参加しました。そこには、イライラの積み重なりを防ぐためのいろいろなヒントがありました。


児童向けの講座は、ワークシートを使いながら受講。

〝怒り〟や〝不安〟といったネガティブな感情をコントロールするアンガーマネジメント

この日の講師は、一般社団法人アンガーマネジメントジャパンの代表理事で臨床心理士の佐藤恵子さん。“アンガーマネジメント”と聞くとなんだか難しそうですが、ストレスによって起こる“怒り”や“不安”といったネガティブな感情を、自分でコントロールすることを意味しています。

ここで大切なのは、アンガーマネジメントはあくまでも、怒りの感情に上手に対処する方法であって、怒りをなくすための方法ではないということ。人間は、怒りの感情をなくすことは不可能で、もし怒りの感情をなくせたと感じたなら、それは怒りの感情を抑えつけ、がまんすることによって怒りの感情をぬぐい去ったと思い込んでいるにすぎないそうです。

娘は自分を「普段あまりイライラすることはない」と分析したようですが、学校から帰ってきて娘が話すことといったら、男子への愚痴が大半です。

「しっかり削って持って行った鉛筆を、となりの席の男子が勝手に使ってしまう」とか、「図工や音楽の授業になると男子がふざけるので、先生の説教が始まり女子まで怒られる」とか、小さなことばかりなのですが、こういった小さな不満を家で吐き出しているから、娘は「普段あまりイライラすることはない」という心持ちでいられるのかなと、この講座を受けて感じました。

心と体の健康を保つための4つのポイント

講座では心と体の健康を保つためのアンガーマネジメントにおいて、大事なポイントを4つ教わりました。

1.自分の怒りの感情に気づくこと

「今、自分は怒っている、イライラしている」ということに気づき、そのいらだちがたまったときに、自分がどういう状態になるのかを把握しておくことが大事。

例)鼓動が速くなる、胸が苦しくなる、こぶしを握る、お腹が痛くなるなど


イライラがたまったときの表情をイラストで表したワークシート。これを見ながら、自分の体がどのような状態になるかを確認。娘は「こぶしをにぎる」に〇。

2.怒りの感情が大きくなる前に対処できるようになること

ストレスがたまっていると気づいたら、ストレスを軽減させる工夫をする。

  • 10秒呼吸法
    ゆっくり鼻で息を吸いながら5数えて、残り5を数えながらゆっくり息を吐き出す
  • 6秒カウントダウン
    イラッとしてから衝動的な行動が起こるまで6秒かかるという学説から、目をつぶって6からカウントダウンする
  • セルフトーク
    「大丈夫!」や「落ち着こう!」など、自分で自分を励ます言葉がけ
  • 冷水を飲む
    イライラすると脳の水分が減ると言われているので、水分を補うことも効果的

など、各々に合った方法をさがしだしておく。

3.自分の感情や考えを言葉で相手に伝えること

たとえば、友だちが消しゴムを勝手に持って行って返さないときに、「わたしの消しゴム、さっき持って行ったけど、使おうと思っていたから困っているの。持っていくときは、わたしに断ってから持って行ってね。使い終わったら返してね」といったように、自分の気持ちとともにどうしてほしいかを伝えることが大事。自分の気持ちを大切にしないと、友だちの気持ちも大切にできないし、人に合わせてばかりいるとどんどん自分がつらくなってしまう。

4.他者とよりよい関係を築けるようになること

自分の気持ちを大切にしながら、友だちの気持ちも大切にする。

この4つのポイントを教わった娘は、自分の気持ちを押し殺さずに、相手を思いやりながら自分の気持ちを伝えることが大切なのだと、改めて気づいたようです。

子どもを理解するには大人の自己理解から

児童向けに行われた講座に続いて保護者向けに行われた講座では、子どもを理解するためには大人の自己理解がまず大切だという話もありました。自分の気持ちを把握したうえで、自分が何を相手(子ども)に伝えたかったのか、自分が相手(子ども)に何をしてほしかったのか理解し、相手(子ども)はどんな気持ちなのかを聞く。それが子どもの理解へとつながっていくという話に、参加した保護者は真剣に耳を傾けていました。

わが家の娘は、小6になってもおしゃべりで、学校でのできごとや友だちの話などをよくしてくれるのですが、近所のママ友は、「学校のようすを聞きだそうと思っても話してくれない」だとか、「反抗的な態度をとる子どもにいらだちをぶつけてしまう」と悩んでいるようす。そんな悩みを抱えたママ友も、今回アンガーマネジメントの講座に参加したことで、さっそく子どもの気持ちに寄り添う努力をはじめたようです。

思春期を迎えた子どもとのコミュニケーションは難しいもの。今のところ、うちの娘はいろいろと話してくれるので、まだそれほど苦労はしていませんが、これから成長とともに親にないしょにしておきたいことが増え、親に反抗することもあるでしょう。そんなときは、自分の気持ちも大切にしながら、相手を思いやることも忘れずに、子どもと向き合っていきたいと改めて思いました。

取材協力

一般社団法人 アンガーマネジメントジャパン
電話 042-331-7731
FAX 042-331-0882

「アンガーマネジメントジャパン」ホームページ

中森かなめ(なかもりかなめ)
東京都在住・40代
夫と娘(小6)と3人暮らし。
大学卒業後、出版社勤務を経て、渡仏。1年弱遊学した後、フリーランスライターとなる。結婚して出産後、しばらく休業するも、娘が5歳のときに復帰。現在も細々と執筆業に励む。