冬の読書にぴったり! 人生の奥深さを知る、名作本6選

説得力と現実感で迫る異世界ファンタジー『精霊の守り人』

「精霊の守り人」

作:上橋菜穂子 絵:二木真希子/
単行本・価格:1500円(税別)
軽装版・価格:900円(税別)/
偕成社刊

C.S.ルイスの『ナルニア国物語』、トールキンの『ホビットの冒険』『指輪物語』などが大好きなわたし。娘(小6)が小さいときから、こうした異世界ファンタジーの読み聞かせを続けてきました。見返しに絵地図のある本が大好きで、その地図をガイドに、幼い娘と不思議な世界を楽しんできました。

ルイスもトールキンも、いずれも文学や言語学の学者です。学者としての知見は、物語を夢で終わらせない説得力と現実感を与えています。そして日本人ファンタジー作家では、文化人類学者である上橋菜穂子さんがおすすめです。

上橋菜穂子ワールドを映像で再発見

上橋菜穂子さんは、2014年に児童文学のノーベル賞ともいわれる国際アンデルセン賞作家賞を受賞しました。また2016年には、上橋菜穂子さん原作のNHK大河ファンタジー『精霊の守り人』の放映が始まりました。

わが家は母子で上橋菜穂子さんの大ファン。『精霊の守り人』をはじめとする「守り人シリーズ」も大好きで、親子で読んでいます。ドラマ化では、短槍の達人で女用心棒のバルサを綾瀬はるかさんが演じると知り、甘い雰囲気の綾瀬さんにバルサ役は難しいのでは? と心配しましたが、原作を裏切らないかっこよさでびっくり。このドラマで、上橋菜穂子ワールドをテレビで観る楽しみも加わりました。

1月21日(土)にはNHKで「精霊の守り人 シーズン2 悲しき破壊神」が始まります。もし、上橋菜穂子さんの本をまだ読んだことのない方がいらしたら、ぜひ、この1冊から始めてみてはいかがでしょうか。

自らの命をかけて皇子を守る主人公のバルサ

物語は、腕利きの女用心棒バルサが、ひょんなことから新ヨゴ王国の皇子チャグムと旅に出るところから始まります。そのとき皇子は、体内に“得体のしれないもの“を宿しており、それを不吉とする父親から命をねらわれていました。そこで母である妃は皇子の命を救うべく、バルサに息子を託したのです。

皇子の身に宿ったものは果たして何なのか――現実と異世界が交錯する不思議な世界で、父親が放った追手や異界の魔物を相手に、皇子を守ることに命をかけて戦うバルサ。呪術や精霊といった不思議な世界と冒険がクライマックスに向かってスピーディーに語られていきます。

『精霊の守り人』は1文が短く、物語がテンポよく展開していきます。また、情景描写が具体的で臨場感があり、バルサたちが生きている世界に知らず知らずに引き込まれていきます。

主人公が同世代の物語を読むこと

原作の『精霊の守り人』を最初に読んだのは、娘が小学校低学年のとき。このころはまだ自分で本を読まなかった娘に、毎晩1カ月ほどかけて1冊を読み聞かせたことをおぼえています。

そしていま、娘は12歳になり、まさに皇子チャグムと同年齢になりました。

本を読むのに「読み時」というのがあるのかどうかは、わかりませんが、物語の登場人物と同い年のときに、その本を読むことは人生のうちでその時にしかできないこと。読書の効果のひとつに、創造力の育みが言われますが、この「主人公が同世代」であることは、親近感を生み、より物語の世界に感情移入し創造力が刺激されるかもしれません。

と、いうことで、さりげなく娘の机の上に『精霊の守り人』を置いてもう一度読んでもらおうかな?

M.M
東京都在住・40代
夫と娘(13歳)と3人暮らし。
娘と遊ぶのが唯一の趣味。娘が思春期になったら、犬を飼ってさみしさを紛らわすことを計画中。