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スポーツ栄養アドバイザー石川三知さんに聞く チャレンジできる体のつくりかた第3回(全4回・レシピあり)

スポーツをしている、ピアノや書道を習っているなど、部活動や習い事の内容が異なると必要な栄養素に違いがあるのでしょうか。それぞれの子どもたち向けの食事や栄養について聞きました。

第3回 わが子に合わせた栄養の摂りかた

――スポーツをやっている子どもにおすすめの食事はありますか?


成長期のお子さんの体は代謝も活発ですし、学校生活や習い事、遊びなどで疲れていますよね。そうなるとハードトレーニングをしているアスリートや高齢者の方と同じ状態なんです。その疲れた体を食事でいたわる工夫が必要だと思います。

――どんな工夫をすればいいのでしょうか?

消化吸収しやすい食事を作ることです。成長期に必要なタンパク質は、消化吸収に時間がかかるので、お肉を塩こうじやヨーグルトに漬けたり、すりおろしたタマネギや果物に漬けたりして、アミノ酸がタンパク質を分解する作用を進めておくといいでしょう。

ハンバーグを作るなら脂の少ない部位にして、水切りした豆腐を加えて豆腐ハンバーグにするのもいいですよね。その中に野菜やうずらの卵を入れたら、いろんな食感が加わるのでかむことの楽しさも増えて、消化がよくなります。野菜をたくさん入れて煮込んだスープも消化にいいのでおすすめです。

逆に、油脂量の多い食事は消化吸収に時間がかかります。お総菜の揚げ物をレンジで温めるのはNG。高温調理して空気にふれた油は酸化しているので、疲れている酸化状態の体にはすごく負荷をかけることになります。

――消化吸収を助ける調理法がポイントですね。それでは、スポーツをしていない子どもにおすすめの食事はありますか?

バイオリンもピアノも、机に向かって勉強をするのも「活動」なので、わたしはスポーツをしているお子さんと同じ食事でよいと思います。

すべてのお子さんに共通して必要な集中力を維持するポイントは、炭水化物の摂りかたにあります。炭水化物を摂るときには、いくつかの食材を組み合わせること。炭水化物を1種類の糖類、とくに単糖類から摂取すると、血糖値が急上昇し、その後は同じようなカーブで下降します。血糖値が上がると集中力が高まりますが、急に下がると集中したいという動きを妨げ、気持ちも不安定になります。ですが、同じ炭水化物でも、穀物、芋類、豆類などの種類で血糖値が上がるスピードが異なるので、それぞれの時間差を利用することができるんです。

芋類や豆類、果物など何種類かの炭水化物を組み合わせて食事をすれば、それぞれのタイミングで血糖値が上がるので、血糖値を高いところで長い時間維持できます。これで、気持ちが安定したまま集中力を持続することができるんです。

――炭水化物というと穀物のイメージが強いのですが、玄米など精白されていないものの方がよいのでしょうか?

たしかに白米よりも玄米の方が栄養豊富です。ですが、玄米や全粒粉などを毎回の食事に取り入れるのが難しいときは、そのままで食べられるシリアルでもOKです。

おやつに玄米フレークやオールブランでチョコレートバーを作るのもいいですし、穀物と同じ炭水化物グループのサツマイモの焼き芋を買ってきて、裏ごしして、ナッツやドライフルーツ、煮豆などを加えて、ラップでギュッとしぼるとスイートポテトのでき上がりです。中身がギュッとつまった食事で、中身がギュッとつまった体をつくってあげてほしいですね。

――塾や習い事の都合で、食事の回数が曜日によって変わることは良くないのでしょうか。


なにより大切なのは、朝・昼・夜の三食を欠かさないこと。それに加えて、おやつも大切です。細胞分裂を続けている体はアミノ酸をほしがりますが、アミノ酸は体に少量しか貯蔵できませんし、アミノ酸のもととなるタンパク質も小腸の容量に上限があるので「食べだめ」ができません。ですから、1回にドーンと食べたからOK、という栄養素じゃないわけです。そうなると、1日3食以外のおやつでもタンパク質が摂れるようなメニューがおすすめです。

――タンパク質が摂れるおやつには、どんなものがありますか?

卵と牛乳でできているプリンもいいですね。おにぎりの中にチーズと枝豆を入れるのもいいと思います。そこにちりめんじゃこを入れれば、よくかむでしょうし、タンパク質といっしょにカルシウムも摂れますよね。

――成長期の子どもたちにとって、食事で気をつけることは共通なんですね。消化吸収を助ける調理、複数の種類の炭水化物が摂れるメニュー、朝・昼・夜の食事とおやつでタンパク質を欠かさない工夫。子どものためのアイデアが、チャレンジできる体づくりにつながることがわかりました。最後は、家庭でできる、もうひと工夫について聞きます。

その前に……「最新版 スポーツ選手のための食事 400レシピ」より、小中学生におすすめのレシピを2つ教えてもらいました。

【石川さんおすすめ】集中力アップのレシピ 2種類

ポテトコーンスープ


撮影:武井メグミ

1人分 192kcal 調理時間 15分

材料(1人分)

  • 玉ねぎ…1/6個
  • じゃがいも…1/2個
  • コーン缶(ホール)…20g
  • コーン缶(クリーム)…50g
  • 牛乳…50mL
  • 塩、胡椒…各少々
  • 卵…1/2個
  • 鶏がらスープの素…小さじ2

作り方

  1. 鍋に水(200mL・分量外)、鶏がらスープの素、薄切りにした玉ねぎ、じゃがいもを入れて火にかける。
  2. じゃがいもがやわらかくなったら、コーン缶、牛乳を加え、塩、胡椒で調味する。溶き卵を流し入れる。

焼きいものスイートポテト


撮影:武井メグミ

1人分 286kcal 調理時間 20分

材料(1人分)

  • ドライフルーツ(レーズン、いちじく、あんずなど)…10g
  • クリームチーズ…15g
  • くるみ…1粒
  • 焼きいも…80g
  • バター…7g
  • 牛乳…大さじ1
  • はちみつ…小さじ1

作り方

  1. ドライフルーツは湯でふやかし、刻む。クリームチーズは室温に戻し、ドライフルーツ、刻んだくるみを混ぜる。
  2. 焼きいもは温め、つぶして、バター、牛乳、はちみつを混ぜる。
  3. 2をラップにのせ、中央に1を入れて包む。

この本にたくさんのレシピが載っています。

『最新版 スポーツ選手のための食事 400レシピ』
石川三知著/学研プラス刊/1,814円

スポーツ選手が強い体をつくり試合に勝つための、食事の知識とレシピを紹介。400レシピという豊富さであきずに毎日使えます。小中学生のスポーツ選手にも対応。またトレーニングやスケジュールに合わせたレシピが選べるつくり。食事の知識もしっかり掲載。

(企画・構成 渡邉純子)

第1回 スポーツ栄養学って、なに?
第2回 成長期の体を支える、食の環境づくり
第3回 わが子に合わせた栄養の摂りかた
第4回 家庭でできる、+1のアイデア

川筋真貴
川筋真貴(かわすじまき)
中学校の国語教員を経てライターに転職。女性向けの媒体での執筆が多く、IT関係からファッション・ペット・インテリアまで、女性のライフスタイルに役立つ記事の作成を得意としている。趣味は長年続けている茶道と御朱印集め。東京都在住。