「賢い子ども」の育て方

子どもがわくわくする算数とは?

子どもがわくわくする算数とは?

「どうして言った通りにできないんだ!」

算数を教えている親がつい言ってしまう一言です。子どものために算数を教え始めたのに、あまりにできないことにイラついて怒鳴ってしまう――。一体なぜこんなことが起きてしまうのでしょうか。

外国語を学び始めるときには覚えないとしょうがないことがたくさんあります。知らない言語の文法や単語なんていくら考えても思いつくわけがありませんからね。時間をかけて繰り返し、覚えるしかないし、慣れるしかありません。基礎的な知識を固めてからでないと考える学習には進めません。

でも、算数の学習はまるで異なります。必要な知識は、たし算、ひき算、かけ算、わり算、整数、分数、小数だけです。あとは組み合わせ方を考えるだけです。この組み合わせ方を教えても意味がありません。

速さの3公式を暗記して、問題を無理やり解いた(解かされた)経験はありませんか?

速さの3公式

  • 速さ=距離÷時間
  • 距離=速さ×時間
  • 時間=距離÷速さ

そして、速さの文章題をどの式にあてはめて解くか悩みませんでしたか?

問題1

時速12㎞の速さで2時間40分走ると何㎞進みますか?

[手順暗記型解法]
数式

速さの問題を初めて解く子ども、つまり速さの概念がまったくない子がこういう解法を思いつくはずがありません。答えの出し方をいくら暗記しても概念は育ちませんし、そもそも楽しくありません。

[試行錯誤型解法]
「時速12kmという速さは1時間で12km進むことを表す。線分図で表すとこうなる。」
数式2

「この図をつかって問題を解いてごらん。」
数式3

最初に線分図を与えれば、初めて速さの問題に取り組む子どもでも自分の頭で考えることができます。算数において解き方を教えるということは、自分の劣化コピーを作ることと同じです。お互いにイライラします。

「どうして言った通りにできないんだ!」

「どうして言われた通りにやらなくちゃいけないんだ! ぼくは自分のやり方で解きたい!」

わたしは「教えない」ので、子どもたちは自分なりに工夫していろいろなことをやります。わたしが作った問題と全力で戦う子どもたちを見ているとわくわくします。

手順暗記型学習と試行錯誤型学習、どちらが楽しそうでしょうか?

手順暗記型人生と試行錯誤型人生、どちらが楽しそうでしょうか?

言われた通りにやってうまくいっても達成感、充足感は得られません。

わたしの教室では、子どもたちはパズルや算数の問題を解きながら、人生そのものを学んでいるのです。

算数で大切なのは、答えを出すことではありません。考える深さなのです。
すぐに答えを出さなくても子どもたちは考えています。その大切な時間を大人が口出しして邪魔することはやめましょう。答えを出さないことに目をつむる勇気を持ってみましょう。

宮本哲也先生
宮本哲也(みやもとてつや)
1959年生まれ。
学生時代に塾業界に足を踏み入れ、大手進学塾講師を経て1993年宮本算数教室を横浜に設立。
「指導なき指導」を授業の柱に「無手勝流算数家元」と自らを名乗る。
無試験先着順の教室ながら、近年卒業生の80%以上が首都圏最難関中学(開成・麻布・栄光・筑駒・フェリス・桜蔭など)に進学する実績をあげている。
2009年、教室を日本橋に移転。2015年、教室をマンハッタンに移転。2017年、教室を中野に移す。

Webサイト http://www.miyamoto-mathematics.com/