子どもの幸福度世界一! オランダの学校教育レポート

ピースフルスクールの教育は、日本の子どもをしあわせにできるか?

オランダの子どもたちに触発され、日本への導入を決意

「こんなにすばらしい子どもたちが育った教育を日本でも展開しよう」

一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 代表理事の熊平美香さんは、2010年にオランダのピースフルスクールを視察したとき、そう決心しました。日本の子どもたちがピースフルスクールのプログラムで学べば、いじめや不登校などの根本的な問題の解決の糸口になるのではないかと考えました。

その後、オランダで開発されたカリキュラム、指導者向けマニュアルをもとに日本語に翻訳し、日本での展開の準備を整えました。2013年から2015年に、幼稚園・保育園、小学校、中学校、高校などで授業をおこない、手ごたえを得ました。

現在、幼稚園・保育園向けと小学校向けの「ピースフルスクールプログラム」を展開しています。プログラムの導入を決めた学校に対して、有償で指導マニュアルを提供し、導入研修をおこなっています。


クマヒラセキュリティ財団 代表理事の熊平美香さん(左)、 福嶋 史さん(右)

日本で同プログラムを展開する中で、
自分の感情を言葉で表現する単元を先に学ぶ、
コミュニケーションの基礎を学ぶ単元をさらに充実させる、
言っても恥ずかしくないことを追加するなど、
日本の子どもの現状に合うようにカスタマイズしています。

家庭でも話し合いの実践へ-佐賀県武雄市立武内小学校

佐賀県武雄市立武内小学校は、2014年度からピースフルスクールプログラムの導入を決めました。同プログラムを通して、同調圧力に負けずに自分の意見を伝え、意見が対立したときは話し合いでより良い答えを探す力を身につけることをめざしています。

武内小学校では、小学1年生から6年生の約130名を対象に、毎月1回ピースフルスクールの授業をおこなっています。

同プログラムを実施した結果、児童が相手の立場になって考えるようになったこと、対立したときでも、話し合ってお互いが納得できる解決ができるようになったことが成果としてあげられています。また、同プログラムが反転授業※1などの話し合いによる学び合いや、アクティブ・ラーニング※2の基礎にも貢献していることがわかりました。

今年は3年目に入り、プログラムについて保護者の関心も高まっています。授業で学んだことを家庭でも実行できるように、保護者会の場などで、保護者もプログラムの内容を学んでいます。

※1    反転授業
講義の映像を家庭で閲覧しておき、学校の授業では話し合いなどをおこなう学習スタイル。
※2    アクティブ・ラーニング
課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(課題解決学習、教室での話し合いなど)。2020年の次期学習指導要領改訂の目玉とされる。

レッスン中の体験活動

導入2年目には、6年生が下級生にピースフルスクールの授業をおこなった。

自分たちで学級の問題を解決、学級をつくりあげていく-お茶の水女子大学附属小学校

お茶の水女子大学附属小学校では、「てつがく」科の創設に向けた研究を進めています。自分の意見を持ち、相手の話を聴くために必要な力を1年生のうちに身につけるため、同プログラムの実施を決めました。児童自身がクラスのいろいろな問題を解決し、自由に発言しあえるクラスをつくる力を育てていくことを目的としています。

2015年10月から2016年3月まで、1年生を対象に週2~3回授業をおこないました。

子どもたちは、目の前でけんかが起きると、「話し合いで解決した方がいいよ」と声をかけて仲裁したり、誰かがけなし言葉を使ったりしていると「その言葉はけなし言葉だから、悲しい気持ちになるよ」「使うのをやめようよ」と声をかけ合っています。 

このように、プログラムが授業の中にとり入れられ、子どもたちの行動が変わってきています。

藤田由美子(ふじたゆみこ)
藤田由美子(ふじたゆみこ)
株式会社ユーミックス代表取締役社長。1993年の創業以来、コンピューターリテラシー教育を数多く手がける。
「生きる力」「社会力」の育成をめざして、子ども向けICT教育のカリキュラム作りにも力をいれており、大手携帯電話会社のケータイ安全教室の企画立ち上げ、ネット安全利用推進プログラムの開発など、実績多数。