子どもの幸福度世界一! オランダの学校教育レポート

ピースフルスクール 日本での展開 2

前回は、小学校での展開の状況をレポートしました。今回は、幼児がプログラムを学んでいるようすをご紹介します。

人形劇で幼児も楽しく学ぶ

神奈川県箱根町では、2015年度から幼稚園・保育園向けにピースフルスクールプログラムが始まりました。箱根町教育支援室が町の全小中学生の児童生徒を対象に実施した「学校生活アンケート」を集計した結果、箱根町の子どもたちの自尊感情、自己有用感が低いことがわかりました。

自尊感情が低いと、ねたみやしっとという感情を生みやすく、いじめにつながりやすいと考え、箱根町教育委員会は、幼稚園・保育園・小学校・中学校が連携して、根本的な対策をとることに決めました。ピースフルスクールプログラムを通して、「子どもたちの豊かな人間性、社会性を育み、信頼される人への根っこをつくる」ことを目的に掲げています。

神奈川県箱根町立箱根幼稚園、温泉幼稚園、仙石原幼児学園、湯本幼児学園、宮城野保育園の計5園の幼児(3歳児、4歳児、5歳児)約250名が、同プログラムで学んでいます。

幼児でも楽しく学べるように、工夫が施されています。たとえば、サルとトラの人形(パペット)を使って子どもたちが日常生活の中で体験するけんかや対立を題材にして、保育士が簡単な人形劇をします。子どもたちは、身近な事例が示されるので、自分ごととしてどのようにけんかや対立を解決したらいいかを学びます。


人形を使って身近な事例を紹介する。

ふわふわ言葉とチクチク言葉を例にコミュニケーションの基礎を学ぶ

6月、同プログラムを導入した保育園で4歳児(15人)を対象に、「ほめ言葉とけなし言葉(ふわふわ言葉とチクチク言葉)」をテーマにしたレッスンが開かれました。

展開部分では、保育士がパペットを使ってサルとトラの役を演じ分けます。そして「バカだなー」「早くしろよ」といったチクチク言葉を言われたとき、「やさしいね」「じょうずだね」といったふわふわ言葉を言われたとき、どんな気持ちになったかを問いかけます。

子どもたちは、ふわふわ言葉を言われるとうれしい気持ちになり、チクチク言葉を言われると悲しい気持ちになることを体験し、日常生活の中で、チクチク言葉を言わないようにすることを学びます。このように授業で学んだことを日常生活で実践できるように習慣づけられます。

また保育士は、子どもたちからけなし言葉、ほめ言葉にはどんな言葉があるかをあげさせ、模造紙にはり付けます。


はり付けられた言葉を見て、授業以外の時間でも振り返りができる。

「いやだ、やめて」という

他に幼児向けのブログラムでは、相手から嫌なことをされたとき「いやだ、やめて」と意思を表示することを学びます。嫌なことにきちんと「ノー」という訓練を積んでいきます。そして、相手が嫌だといったら、どんなに楽しくても止めなくてはいけないことも学びます。


ジェスチャーを交えて「やめて」という

幼児でも相手が嫌がることをしない、相手の気持ちを思いやってコミュニケーションする、共感し合うことの大切さを繰り返し学ぶことにより、日常生活の中で実践できるようになります。

「子どもたちは、楽しみながらレッスンを受けています。プログラムの回数を重ねるごとに、相手の話を聴く姿勢ができてきました。以前は、日常生活の中で乱暴な言葉やチクチク言葉が出てしまうことがありましたが、今は言葉づかいがていねいになりました。
同プログラムを導入した保育園の園長先生はいいます。
子どもたちが学ぶ姿を見て、幼児のときから生活習慣として身につけることの大切さを心に刻みました。

(おわり)

ピースフルスクールプログラムについての詳細は、クマヒラセキュリティ財団のWebページに掲載しています。

藤田由美子(ふじたゆみこ)
藤田由美子(ふじたゆみこ)
株式会社ユーミックス代表取締役社長。1993年の創業以来、コンピューターリテラシー教育を数多く手がける。
「生きる力」「社会力」の育成をめざして、子ども向けICT教育のカリキュラム作りにも力をいれており、大手携帯電話会社のケータイ安全教室の企画立ち上げ、ネット安全利用推進プログラムの開発など、実績多数。