子どもが伸びる親力

子どもの愚痴を共感的に聞くとすべてがうまく回り始める。親子関係もよくなる

子どもの愚痴を共感的に聞くとすべてがうまく回り始める。親子関係もよくなる

共感できる人はよい人間関係をつくれる

職場の同僚が次のように言ったとします。

「ホントに仕事が多すぎよね。課長ったら、アンケートのまとめも私にやれって言うのよ。これ以上できるわけないじゃない。暑いし…。あ~、やる気が出ない」

これを聞いたあなたは何と答えるでしょうか?
次のAとBのどちらに近いですか?


「何言ってるのよ。仕事なんだから仕方ないでしょ。お給料もらってるんだから、文句なんか言ってないでちゃんとやらなきゃダメよ」


「ホントにそうだよね。やることが多すぎるよ。今でもたくさん抱えてるのに、これ以上は無理よね。おまけにこの暑さ。私もやる気ゼロ。あなたも大変だね」

ほとんどの人はBに近いと思います。

Aは百パーセント正論で共感がゼロです。
いつもAのように答えていたら、同僚とよい人間関係を築くことはできません。

Bは同僚の愚痴を共感的に聞いています。
日ごろからこのような答え方が多い人は、同僚とよい人間関係をつくっていくことができます。

ほとんどの親は子どもの愚痴に共感できない

では、子どもが次のように言ったらどうでしょう?

「宿題が多すぎだよ。うちのクラスの先生、たくさん出し過ぎ。こんなにできるわけないじゃん。暑いし…。あ~、やる気出ない」

これを聞いたあなたは何と答えるでしょうか?
次のAとBのどちらに近いですか?


「何言ってるのよ。宿題なんだから仕方ないでしょ。それが子どもの仕事なんだから、文句なんか言ってないでちゃんとやらなきゃダメよ」


「ホントにそうだよね。宿題が多すぎるよね。他にもやることがたくさんあるのに、これ以上は無理よね。おまけにこの暑さ。子どもも大変だね」

今度は、ほとんどの人がAに近いと思います。

Aは百パーセント正論で共感がゼロです。
いつもAのように答えていたら、子どもとよい人間関係を築くことはできません。

Bは子どもの愚痴を共感的に聞いています。
日ごろからこのような答え方が多い人は、子どもとよい人間関係をつくっていくことができます。

子どもこそが一番よい人間関係をつくるべき相手

職場でも家庭でも、それ以外のどこにおいても、人間関係をよくすることは本当に大切です。

人間関係がよければ大概のことはうまくいきます。
人間関係がよいことが人生の幸せに直結するのです。

そして、人間関係をよくする上で一番大切なのが相手の話を共感的に聞くということです。共感力のある人はどこでもよい人間関係をつくれるのです。

ところが、ほとんどの人は職場の同僚には共感できるのに、子どもには共感できません。その一つ理由は、前回も書いたように、圧倒的な権力者である親という立場にアグラをかいているからです。

もう一つは、「しつけなければ。指導しなければ」という気持ちが優先されるからです。

でも、本当は子どもこそが一番よい人間関係をつくるべき相手なのです。職場の同僚よりもはるかに大切な相手です。

ですから、これからはもっと子どもに共感してあげてください。

子どもの愚痴を共感的に聞いてあげよう

子どもも「絶対に宿題なんかやらない」と言っているわけではありません。やらなければならないことはわかっているのですが、ただ愚痴を言いたいだけなのです。

愚痴を共感的に聞いてあげると、子どもは「ぼくの大変さをわかってもらえた。ぼくがどんなに大変かわかってもらえた。あ~、よかった」と感じて、気持ちが楽になります。

同時に、自分の大変さをわかってくれた親に対する信頼感が高まります。

そして、しばらく頃合いを見計らってから、「そうは言っても、全然やらないわけにいかないから、ちょっとだけやってみようか」と言ってみます。

あるいは、「1問だけやってみようよ」とか「今のうちに半分だけやっておこうよ」などでもいいです。

または、「手伝ってあげるから、ちょっとだけやってみようか」「お母さんが問題を読んであげるから一緒にやってみよう」なども効果的です。

とにかく、取りかかりのハードルを下げてあげるのです。

はじめに愚痴を共感的に聞いてもらえたことで、子どもは「大変さがわかってもらえた」と感じて、親に対して素直な気持ちになっています。

ですから、こういう声かけに対しても素直に応じることができやすいのです。それに、子どもも「そうは言ってもやらなければ」という気持ちは充分持っていますので。

しつけや指導よりも、常に共感を優先

宿題のことに限らず、子どもは毎日いろいろな愚痴を言います。それに対して、しつけや指導よりも、常に共感を優先してください。

まずは共感的にたっぷり聞いてあげて、どうしても言うべきことがある場合は、その後で言うようにします。

そのようにしていれば、すべてがうまく回り始めます。子どもとの人間関係もよくなり、それが親子に幸せをもたらします。

温かい親子関係の中で幸せに生きられる子は、内側によいものがたくさん育まれていきます。

親野智可等(おやのちから)
教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/