くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て

今日から始めましょう! 子どもの、そして自分の「良いところさがし」

今日から始めましょう! 子どもの、そして自分の「良いところさがし」

子育て講座で行うワークが好評です

わたしが開催している子育て講座で、よく行なっているワークがあります。
それは、「わが子の良いところをたくさん書き出す」と言うもの。
多くのお母さんたちは、これがとても苦手です。悪いことならいくらでも書けるのに、良いことはなかなか書けない。ペンが止まってしまいます。

つまりこれは、普段から、子どもの短所ばかりが目についてしまって、本来はたくさんある長所が見えにくくなっているということ。

それは、ある意味、仕方のないことだと思います。なぜなら、人というものは「欠けているもの」に目が向いてしまうものだから。そのワークで苦戦しているお母さんたちに、こんなお話もします。

ホワイトボードに、あと少し描きたせば本当の円になるのですが、ほんの少しだけ欠けている円をわざと描いて、見せるのです。そうしてから、わたしは
「この欠けている円を見て、どう感じますか?」
と質問します。

すると、お母さんたちは、
「なんだか、すっきりしませんね」
「この円の欠けている部分が、とても気になってしまいます」
と口々におっしゃいます。

人は欠けているところに目が向くもの

そうなんです! 人は、完全なものを好むのです。

人の意識は、欠けているところ、足りないところ、ないところに集中するもの。なので、我が子に対しても、欠点や短所ばかりが気になってしまい、それをなくそうとするんですね。

学校で受けるテストでも、できないところをバツにする減点方式で成績をつけます。これは、できてないところに気づかせるという方法です。

こうしてわたしたちはいつの間にか、本来あるもの、持っているもの、良いところ、できているところ、長所を忘れてしまい、だんだん自信がなくなっていくのだと思うのです。

そして、さらに言うと、それは子どもだけではなくわたしたち親自身に対しても同じです。すなわち、自分の子育ては完璧でありたいという気持ちが、きっと頭のどこかにあるのです。

アドラーは、「不完全を受け入れる」ことをすすめています

これまでも何度かお伝えしているように、「完璧な子育て」というものなどは、この世の中に存在しません。わたしたち親が、子どもたちに対してできることは、実はそれほど多くはないのです。

欠けているところより、既にあるところ、持っているものを見ましょう! お子さんの素敵なところをたくさん見つけ、指摘してあげてほしいのです。それが勇気づけなのです。

「うちの子の良いところが見つかりません」
まれにそういうお母さんもいらっしゃるのですが、決してそんなことはありません。

ご飯を食べることや、普通に会話できること、お風呂に入ったり、学校に行ったり・・・。普段、できて当たり前と思っていることは、実はすべて素晴らしいこと。そんなふうに感じたことはありませんか?

「できて当たり前」は、本当ですか?

そもそも、それらのことは本当に「できて当たり前」のことなのでしょうか? 思い出してみて欲しいのです。お子さんを産んだときのことを。あなたはどんな思いでお子さんを産みましたか?

「ただただ無事に生まれてきてくれたらいい」
そう思ったのではないでしょうか?

「這えば立て、立てば歩めの親心」という言葉にもあるように、子どもが大きくなるにつれ、その思いはいつの間にか薄れ、次から次へと子どもへの要求が高まっていくもの。

それは、子どもの成長を願うからこそであり、決して悪いことではありません。

わたしたち親は、我が子が人より優れているから愛するというわけではありません。たとえ欠点があったとしても、できないことがあったとしても愛する気持ちになんら変わりはないと思うのです。

そんなことを思い起こしてみたら、日々の様々なイライラや悩みはとても小さなことに思えてきますし、命を授かった奇跡に感謝の気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。

人と比較しなくても良いのです

子どもの良いところは、他の子どもと比較して見つかるものではありません。
その子がもともと持っているものを見出すということなのです。

「よその子ができているのに、うちの子はできていない」
と、思い悩む必要はありません。

子ども一人ひとり、そして、わたしたちおとなも一人ひとりがだれとも比べようのない尊い存在だから。

今日から「良いところさがし」を始めませんか?

最後に、冒頭にあった「子どもの良いところさがし」のワークをしたあるお母さんの感想を紹介します。

「わたしは、このワークをやってみて、今までの子どもに対する見方が偏っていたことに気づきました。
今までのわたしの子育ては、子どもの欠点を直すことに気を取られていたような気がします。

でも、このワークで、我が子にも既にある良いところ、できていることが自分が今まで思っているより、はるかにたくさんあったことに気づきました。こういったことに目を向けることが、まさに『勇気づけ』なのですね。

また、これは自分自身の子育てについても同じことが言えると思いました。
自分のダメなところばかり見てしまい、今までは自信が持てませんでしたが、これからは、自分の子育ての良いところやできていることをさがそうと思います。」

子どもを勇気づける「子どもの良いところさがし」、そして同時に自分を勇気づける「ご自分の子育ての良いところさがし」を今日からあなたも始めてみませんか?

松井美香(まついみか)
東京音楽大学ピアノ専攻卒業。「勇気づけの音楽家」。大学卒業後約10年間公立中学校に勤務。その頃偶然、教員研修でアドラー心理学に出会い、岩井俊憲氏の元で学び約25年が経過。自身のピアノ教室や子育てにおいてアドラー心理学を実践する中、子どもたちが音楽や部活動を続けながらも有名大学に続々と合格し夢を叶えている。長男(21歳)と双子(18歳)三人の男子の母。現在、保護者や音楽指導者に向け、執筆やセミナーを通して「勇気づけの指導法」を広める活動をしている。

*学研「おんがく通信」にて、コラム「勇気づけのピアノレッスン」連載中

*学研プラス出版「あなたの想いが届く愛のピアノレッスン」にて、手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」を執筆

松井美香公式ホームページ: