思春期の中学生の夏休み

思春期の中学生の夏休み

学校という枠がなくなって自分の時間が増え、そして新しい刺激に触れることの多い夏休み。さまざまな経験を経て心身ともにひとまわり大きくなるお子さんもいれば、少し心配な方向に変わっていくお子さんもいます。親としてどんなことに留意して見守ってあげるとよいでしょうか。

「悪いもの」に惹かれるこころ

夏休みは、中学生の喫煙、万引き、夜の徘徊などの問題行動が起きやすい時期です。ふだんはそういう心配がないと思っていたお子さんでも、ちょっとした交友関係の広がりで巻き込まれる場合もあります。

小学校までは親の言うことを聞いていた子も、思春期になると「親はずるい。」「言っていることとやっていることが違う。」「偉そうなこと言っているだけ。」など、親や大人の矛盾に敏感に反応します。また、大人が決めたルールに反発し、自由へのあこがれや背伸びしたくなる気持ちが大きくなる時期でもあります。

大人の価値観を否定すること自体は悪いことではなく、自立のためにはむしろ必要なプロセスですが、こういった反抗心が強くなっているときに、いわゆる非行と呼ばれる行動を「自由」「かっこいい」と、はきちがえてしまうことがあります。

また「ストレスの発散」や「スリルを求める気持ち」が含まれている場合も。反抗心ではなくても、「友だちに誘われて断れなかった」など、友だちづきあいの難しさがからんでいることもあります。「親はわかってくれない」と思っているときに優しくしてくれる人がいると、よくない集団であってもそこに引っ張られてしまうこともあります。

最近はネットやSNS上でやり取りが進む場合も多く、中学生になるとなかなか子どもの交友関係に目が行き届かなくなります。

でも夏休みはとくに、少し注意して見守り、実際に心配な行動がみられたときは、もちろん悪いことは悪いということも大事ですが、なぜ、そういう行動をしたのか、子どもの気持ちになって考えてみてください

子どもはどこかで「こんなことしたらまずい」という気持ちも持っています。親がわかろうとしている、ということが伝わることが大切です。

思いつめてしまうこころ

もうひとつ、夏休みの変化で心配なことがあります。学校がある間は気も張っているので、落ち込むようなことがあっても深く考えないようにしてやり過ごしていたお子さんが、夏休みになって学校もなくひとりの時間が増えると、うまくいっていないことを思い出してどんどんネガティブな方向に考えすぎてしまうことがあります

大人から見たらささいなことでも、この年頃の子は思いつめてしまう傾向があります。自分を省みる力があることは大人になってきている証でもありますが、まだまだ物事を一面的にしかとらえられないことも多く、思いつめて極端な行動を起こしてしまったら心配です。

お子さんの1学期のようすを振り返ってみてください。勉強、部活、友だち関係、異性関係など、うまくいっていないことがもし複数重なっているようであれば、夏休みはやはり少し注意して見守ってください。特別なことをしなくても、普段の親子の会話を大事にして気にかけていることを伝えたり、学校と関係のない世界で本人がリラックスできる時間を作ってあげることなども役に立つと思います

よく子育ての心構えとして、未就学児は「手も離さない、目も離さない」、小学生は「手は離しても目は離すな」、思春期は「手、目を離しても心は離すな」と言われます。

子どもがどんな気持ちでいるのか想像し、子どもにとって何がいいのか、と考えるなど、「心を離さない」ことはもちろんなのですが、わたしは思春期の学年の変わり目や夏休みなど変化が起こる節目の時期には、まだまだ「目」も離さないことも大事だと思っています

干渉しすぎることもよくありませんが、お子さんのようすを見て心配なことがあるときは、目も心も離さず、そして、心配している、ということを口にも出して伝えてくださいね。

かくらいゆき(かくらいゆき)
臨床心理士。中学生から大学生までの思春期、青年期の子どもたちとその保護者の方のカウンセリングを中心に活動中。2児の母。