学習指導要領の改訂で学校教育が変わる

第32回 社会の変化に対応して重要性が高まる家庭科

第32回 社会の変化に対応して重要性が高まる家庭科

今回から家庭科(小学校)技術家庭科(中学校)をとり上げます。まずは、小学校家庭科における次期学習指導要領の改訂のポイントを紹介します。

家庭科は生きるために必須の教科

小学5年生から家庭科で学ぶ衣食住などの内容は、生活するために必須であり、子どもたちも関心をもって学んでいます。一方、家庭生活が大きく変化し、親が子どもに家事を教えたり、子どもが家事を手伝ったりする機会が減っています。
家庭科では、家族・家庭生活の多様化、消費生活の変化、少子高齢化、持続可能な社会の構築などの課題に対応することが求められています。

次期学習指導要領では、家庭科で育成をめざす資質・能力について、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱で整理しています。


「家庭科において育成を目指す資質・能力の整理」 (出典:中央教育審議会「答申 別添11-1」をもとに作成)

社会の変化に合わせ内容を改変

次期学習指導要領では、次のような目標がかかげられています。

①実践的・体験的な学習活動を通して、家族・家庭、衣食住、消費や環境等について科学的に理解し、それらにかかわる技能を身につける。

②生活のなかから問題を見出して課題を設定し、課題を解決する力を育成する。

よりよい生活の実現に向けて、生活を工夫し創造しようとする態度等を育成する。

を達成させるために、次期学習指導要領では、内容と構成が変わりました。
小・中・高等学校で学ぶ内容をスムーズに接続できるよう、小・中学校ではA家族・家庭生活」「B衣食住の生活」「C消費生活と環境」の3つの枠組みに整理されました。現行学習指導要領との対比を次に示します。


「現行学習指導要領と次期学習指導要領の対比」 (出典: 文部科学省「小学校学習指導要領解説 家庭編」平成20年、「小学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 家庭編」平成29年9月 をもとに作成)

「A家族・家庭生活」では、少子高齢社会の進展に対応し、幼児や高齢者など異なる世代の人々とのかかわりが新設されました。

「B衣食住の生活」では、社会のグローバル化に対応し、日本の生活文化、日本の伝統的な生活の大切さを気づかせる内容が盛り込まれました。たとえば、和食の基本となるだしの役割、季節に合わせた衣服の着方や手入れのしかた、快適な住環境で暮らすための住まいの整理・整頓や清掃のしかたについて実習を通じて学びます。
また食育を推進するため、食事の役割、栄養を考えた食事、調理の基礎について学び、基礎的な知識、技能を確実に習得することをめざしています。

「C消費生活・環境」では、自立した消費者を育成するために、「買い物の仕組みや消費者の役割」に関する内容を新たに設けています。買う人(消費者)の申し出と売る人の承諾によって売買契約が成立すること、買う人はお金を払い、売る人は商品を渡す義務があることなどの売買契約の基礎にもふれています。

また持続可能な社会の構築に対応し、環境に配慮した生活のしかたに関する内容も充実させています。

生活のなかから課題を発見し、解決する力を養う

の題解解決力の育成については、次の図のような学習のしかたを示しています。生活のなかから課題を発見・設定し、課題を解決するための知識、技能を習得して解決方法を検討し、解決に向けて調理や製作などの実践活動を行ない、実践結果を発表します。そして最終的に家庭や地域で実践するという流れを提言しています。


「家庭科、技術・家庭(家庭分野)の学習過程のイメージ」 (出典:中央教育審議会答申「別添11-5」抜粋)

の生活を工夫し創造する態度の育成については、家族の一員として、生活をよりよくしようと工夫する態度、生活を楽しみ、味わい、豊かさを創造しようとする態度、日本の生活文化を大切にして継承・創造しようとする態度の育成をめざしています。

子どもと学ぶ日本の衣食住

社会の変化のなかで、家庭科の重要性は増しています。

衣食住の「食」を例にとってみると、デパ地下やコンビニでお弁当やそうざいを買い、お皿に盛りつければ、夕食の準備がだれでもできるようになりました。便利な反面、家庭で日本の伝統的な食文化にふれる機会は減ってきているのではないでしょうか。

子どもたちは、家庭科を通じて、だしでとったみそ汁の味を舌で覚えます。「家でもだしをとろう」と実践する子どもたちもいるでしょう。日本の衣食住、日本文化を再発見するためにも、子どもたちが学校で学ぶ内容をいっしょに学び直すのもいいかもしれませんね。

藤田由美子(ふじたゆみこ)
藤田由美子(ふじたゆみこ)
株式会社ユーミックス代表取締役社長。1993年の創業以来、コンピューターリテラシー教育を数多く手がける。
「生きる力」「社会力」の育成をめざして、子ども向けICT教育のカリキュラム作りにも力をいれており、大手携帯電話会社のケータイ安全教室の企画立ち上げ、ネット安全利用推進プログラムの開発など、実績多数。