学習指導要領の改訂で学校教育が変わる

第33回 技術・家庭科技術分野で日本の将来を支える技術を学ぶ

第33回 技術・家庭科技術分野で日本の将来を支える技術を学ぶ

中学校の技術・家庭科は、生活に必要な基礎的な知識と技能の習得を通して生活と技術とのかかわりについて理解を深めるための教科で、技術分野と家庭分野に分かれています。今回は、技術・家庭科技術分野(以下、「技術分野」という)における次期学習指導要領の改訂のポイントを紹介します。

社会の劇的な変化に対応した技術教育の必要性

日本が科学技術のイノベーションを推し進め、持続可能な社会を発展させるためには、技術教育はとても重要です。

しかし、次のような課題が指摘されています。

  • 社会、環境、経済などの側面から技術を評価し、具体的な活用方法を考え出す力を育成する必要がある。
  • 目的や条件に応じて設計したり、効率的な情報処理の手順を工夫したりする力を育成する必要がある。
  • 技術と社会や環境とのかかわりやプログラミング、情報セキュリティなどについて理解する力を育成する必要がある。

社会の劇的な変化に対応するため、技術分野の指導内容の変革が求められています。

技術の基礎をきちんと学ぶ

そうした背景を考慮し、技術分野では次期学習指導要領で、次のような目標がかかげられています。

  •  ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して、材料と加工、エネルギー変換、生物育成および情報に関する基礎的・基本的な知識および技能を習得する。
  • 技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め、技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。

次期学習指導要領では、技術分野で育成をめざす資質・能力について、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱で整理しています(図1)。


図1 「中学校技術・家庭科技術分野において育成を目指す資質・能力の整理」 (出典:中央教育審議会「答申」および「答申 別添11-2」をもとに作成)

技術と社会とのつながりを学ぶ

次期学習指導要領で、内容の構成は、現行の「材料と加工」「エネルギー変換」「生物育成」「情報」の4領域のままですが(2)、課題解決の方法や、技術が社会の発展にどのようにつながるかが新たに盛り込まれました。

図2 「中学校技術家庭科(技術分野)の4つの領域」 (出典:中央教育審議会答申をもとに作成)

学習過程は、以下のように整理されました。

①既存の技術を理解し、課題を設定する。
②技術に関し科学的に理解したうえで設計・計画する。
③課題解決に向けて製作・制作・育成する。
④成果を評価し、次の問題の解決のための視点を定める。


図3 「技術・家庭科技術分野の学習過程のイメージ」 (出典:中央教育審議会 答申別紙11-6より抜粋)

さらに、3に示したような学習過程と関連づけ、学習内容を4のように構造化しました。


図4 「技術・家庭科技術分野の学習内容」 (出典:中央教育審議会答申をもとに作成)

プログラミングを通じて論理的な思考を学ぶ

「情報に関する技術」では、計測・制御のためのプログラムの作成を通して、次のような目標を定めています。

  • コンピュータを用いた計測・制御の基本的なしくみを知る。
  • 簡単なプログラムの作成ができるようにする。
  • 情報処理の手順を工夫する能力を育成する。

なお、「情報に関する技術」の学習内容は、社会のニーズに沿って見直されました。
たとえば小学校におけるプログラミング教育の成果をさらに発展させ、双方向のコンテンツ*1のプログラミングやネットワークやデータを活用して処理するプログラミングも題材として扱います。

(注1)
双方向とは、利用者が情報を入力したり、ボタンなどをクリック(タップ)したりして操作する形態のこと。送り手が一方向で情報を送るのではなく、受け手も対話するように応答します。

プログラミングの授業の取組みは、学校によってまちまちですが、たとえば、HTML、CSS (Cascading Style Sheet)でWebページを制作している学校もあります。生徒は、部活を紹介するページや趣味のページなどを制作する実習を通じて、Webページの特徴や利用方法を学びます。

また、プログラミングでロボットの動きや自動ドアを制御したり、LED電球を発光させたりする実習を行なう学校もあります。プログラミングを通じて、生徒は論理的な考え方や課題解決の方法を学んでいきます。実習を経験したあと、社会の課題や自分が困っていることを解決するための独自のアプリを作成できるようになれば、大きな進歩です。地域の企業やNPO法人なども、ユニークな授業案を提案しています。

情報技術は、未来の情報社会を支える基盤です。中学校で技術をきちんと学び、社会的な課題の解決に関心をもってほしいと思います。みなさんも、お子さんがアプリを開発するのをサポートしてみませんか。

藤田由美子(ふじたゆみこ)
藤田由美子(ふじたゆみこ)
株式会社ユーミックス代表取締役社長。1993年の創業以来、コンピューターリテラシー教育を数多く手がける。
「生きる力」「社会力」の育成をめざして、子ども向けICT教育のカリキュラム作りにも力をいれており、大手携帯電話会社のケータイ安全教室の企画立ち上げ、ネット安全利用推進プログラムの開発など、実績多数。