子どもが伸びる親力

「親の願い」が子どもを苦しめる。親としての初心にかえろう

「親の願い」が子どもを苦しめる。親としての初心にかえろう

親ならみんな「親の願い」を持っている

親はみんな「親の願い」を持っています。
「わが子にこうなってほしい」という願いです。

やるべきことをしっかりできる子になってほしい。
何度も同じことを言われないで自分でできる子になってほしい。
片づけができる、お手伝いもできる、挨拶もできる。
朝は自分で起きられる、脱いだ服はたためる、時間も守れる。
弟や妹にも優しい。
勉強も自ら進んでがんばれる。

このような願いを、親ならみんな持っています。
自分ではっきり意識していなくても、無意識のうちにもっているのです。

わが子は「親の願い」のはるか下にいる

でも、現実のわが子はこの願いよりもはるか下の方を低空飛行です。
あるいは潜水艦のように海の底を徘徊しています。
一向に浮かび上がってくる気配がありません。

親はみんな焦っています。
子どものうちに何とかしたいという思いがあるからです。
それで、結局、子どもを叱り続けることになります。

「また○○してない。○○しなきゃダメでしょ。何度言ったらできるの?」
「なにやってるの。そんなことじゃダメでしょ。なんでちゃんとやらないの!」
こういう否定的な言葉が増えるのです。

叱られている子は愛情不足を感じるようになる

こういう言葉を毎日浴びていると、子どもは自分に自信が持てなくなり、ますますできなくなります。

親に対しても、ちょっとした疑問が出きてきて、「お母さんはぼくのことをダメな子だと思ってるみたいだ。あまり大切にされていないかも。愛されていないのかも」と感じるようになります。
これが愛情不足感といわれるものです。

親は愛があるからこそ言っているのです。
一番大事なわが子のことを思って言っているのです。

でも、それが否定語表現なので、子どもは正反対のものを受け取ることになります。
愛情が実感できないのです。

児童心理学によると、親に対する愛情不足を感じている子はかなりの割合でいるそうです。
そういう子は不安でたまりません。
それはそうです。
一番頼りにするべき親から、あまり愛されていないかもしれないのですから。

これはその子の存在基盤にかかわる根源的な不安といっていいほどのものです。

愛情が実感できていない子は愛情確認行動に突っ走る

不安でたまらないので、子どもは不安を解消したいという強い衝動に駆り立てられます。
そして、何をするかというと、愛情確認行動に突っ走ることになります。

まず、危険なことをします。
危ないとわかっていてわざとやったりなどするので、ケガをすることが増えます。

もう一つは反社会的な行動が増えます。
お店の物をとる、物を壊す、落書きをする、火遊び、弟や妹をいじめる、クラスの弱い子をいじめるなどです。

思春期以降になると、夜の町で徘徊する、スマホの出会い系サイトにはまってしまうなどです。

こういうことをすると、親が心配します。
困ってうろたえたり、涙を流してパニックになったりするかもしれません。

そういう姿を見て、「ほら、こんなに心配してくれている。愛されている証拠だ。よかった」と安心したいのです。

親が自分のことで困る姿を見て愛情を実感するわけです。

「親の願い」が親子を苦しませる。親としての初心にかえることが大切

冒頭で書いた「親の願い」が曲者です。
これが親子を苦しませる諸悪の根源です。
これがなければ、親も子ももっと楽になれて、毎日楽しく生きられるのです。

「願い」といえば美しいですが、実は「親の欲」なのです。
欲というものをまったくゼロにすることは、悟りを開いた人でないと無理だと思います。
でも、1日1回でいいので、この欲を脇に寄せて、わが子のありのままを楽しんでみてください。

わが子の寝顔を見るのが一番いいと思います。
中学3年生の男子といえども寝顔はまるで子どもです。
ひげが生えてすね毛もボウボウですが、眠っているときの顔はあどけないです。

わが子の寝顔を見ながら親としての初心にかえってほしいと思います。
わが子が生まれたとき、そんなに多くは望まなかったはずです。

「生まれてくれてありがとう。ようこそ私のもとに…。これから一緒に生きていこうね。ホントかわいいなあ。あ、手を握った、かわいいなあ」

このように、ありのままのわが子を受け入れていたはずです。
それがいつの間にかありのままを受け入れられなくなって、叱ることが増えてしまいました。

切ないですね。

親子の写真を見ているうちに、親は初心にかえり、子どもは親の愛情を実感する

親としての初心にかえるためには、親子のこれまでの来し方を写した写真を見るのもいいですね。

データとして残してはあっても、実際には今まで一度も見たことのない写真もあるかもしれません。

これをきっかけにプリントアウトしてリビングに貼るとか、アルバムをつくるなどするといいと思います。

そうすれば、日頃から見ることができます
子ども自身も見ることができ、それによって親の愛情を実感できるようになります。

名曲「童神」を聴いてみよう

もう一つお薦めなのが、「童神」(古謝美佐子作詞・佐原一哉作曲)という曲を聴くことです。

これは、わが子を思う親の気持ちが切々と歌い上げられている名曲中の名曲です。
本当に感動します。

ぜひ、ネットで検索してみてください。

親野智可等(おやのちから)
教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/