子どもが伸びる親力

仕事でもプライベートでも、主体的に生きられる人にするには?

仕事でもプライベートでも、主体的に生きられる人にするには?

今の子どもたちの生活、以前と何が一番変わった?

ある雑誌の取材を受けたときのことです。

ひととおり主なテーマの取材が終わって雑談になったとき、編集者が「親野先生が子どものときと今の子どもたちの生活を比べて、何が一番変わりましたか?」と質問してきました。

それで、私は「う~ん…」と考え込んでしまいました。
というのも、変わったことがあまりにも多いからです。
そして、その中から一番を決めるというのはさらに難しいことだと感じました。

私が考え込んでいると、別の編集者が「やっぱり、ネットとかスマホじゃない」と答えて、話はその方向に進んで盛り上がりました。

今の子どもたちは「やらされる」ことが多い

取材が終わってから私はあらためて考えてみました。
たしかに、ネットやスマホのことは大きいですが、もう一つ大きな違いに気づきました。

それは、私たちが子どもの頃には、子どもは自分がやりたいと思うことをやっていたということです。

たしかに中学生くらいになると、授業時間も増え部活動や塾などもあったりして、やりたいことばかりというわけにはいきませんでしたが、小学生のときには放課後はほとんど毎日、遊びも含めて自分がやりたいことをやっていました。

それに比べて、今の子どもたちは、自分がやりたいことより「やらされる」ことが多いようです。

そして、それが子どもの鬱病や鬱的な症状が増えている原因の一つと言われています。

特に女の子脳の度合いが高い子の場合は注意が必要です。
というのも、空気を読む力があるので、親の願いを忖度し過ぎてしまう可能性があるからです。

女の子脳の場合、親の願いを忖度することがある

そういう子は、例えば、「お母さんは、私に○○を習わせたいと思っているな」「□□中学を受験して欲しいと思っているな」などと感じ取ることができます。

そして、その親の願いを自分の願いに置き換えてしまい、自分から「お母さん、私○○を習いたい」「□□中学を受けたい」と言い出すことがあります。
というのも、子どもはみんな親を喜ばせたいという気持ちを持っているからです。

本当はとくにやりたいと思っていたわけでもないのに、言い出すことがあるのです。
その場合、もともと自分がやりたかったのか、それとも親の気持ちを忖度して言っているのか本人にもよくわかりません。

さらに、女の子脳の場合、自己管理力も強いので、弱音を吐いたりすることなくがんばり続けてしまうことがあります。
その結果、ストレスをため込んで、あるとき急に大爆発してしまうということがあります。

これからは、主体的に生きる力、つまり自己実現力が大事

小学生段階で、「やらされることが多くて、自分がやりたいことができない」という状態が当たり前になってしまうことを私は憂います。

というのも、自分がやりたいことを自分で決めて自分でどんどんやっていく力が育たないからです。
つまり、主体的に生きる力、自己実現力が育たないのです。

学歴も高く能力的に優れていても、自己実現力がないと、大人になってからの伸びが止まります。

人に言われたことはやれる、しかも能率的かつ上手にやれる、でも自分がやりたいことは特にない…。
こういう大人では、仕事の面でもプライベートの面でも今ひとつ充実した人生を送ることはできません。

仕事の面では、優秀な歯車にはなれますが、イノベーターにはなれません。
人が思いつかない斬新な企画を発案して、熱い思いでプレゼンし、自ら先頭を切ってどんどん実行していく、などということは難しいでしょう。

当然、起業などできるはずがありません。
日本の経済が一向に回復しない理由の一つがここにあるのです。

プライベートの面でも、周囲に流されることなく自分の価値観で自分らしい人生をつくっていくことは難しいでしょう。

2020年に大学入試が変わる理由

これからの世の中では、主体的に生きる力が本当に必要になります。
それは各方面で盛んにいわれていて、そのひとつのあらわれとして2020年に大学入試がかわります。

「なぜ、どのようにかわるのか」という主旨は、『高大接続システム改革会議「最終報告」』の冒頭に、次のように書かれています。

『新たな時代に向けて国内外に大きな社会変動が起こっている中、多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要であり、知識の量だけでなく、混とんとした状況の中に問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質・能力が一層重要になる。』

私なりに平たく要約すると次のようになります。

『これからの時代、もちろん知識も大事だけど、主体性を持って人生を切り開いていく力が非常に重要だ。つまり、問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための力だ。』

その大きな流れのもとで、小・中・高の学習指導要領もかわります。
そして、新学習指導要領の一番のキーワードが「主体的・対話的で深い学び」です。
中でも一番大事なのがトップに来ている「主体的」という言葉であり、つまり、アクティブラーニングです。

子どもの主体性を大切にすることから始めよう

ということで、まずは、次のことから始めてください。

遊ぶ時間やぼうっとする時間も含めて、もっと子どもたちに自由時間を保障してあげましょう。

おもちゃ、服装、食べ物など、日常生活の中の選択において、子どもの主体性を大切にしましょう。

習い事、スポーツ、塾、教材、学校などを選ぶときも、親の一方的な押しつけはやめて、子どもの主体性を大切にしましょう。

親野智可等(おやのちから)
教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/