子どもが伸びる親力

子どもを比べるのをやめよう。比較こそ不幸の源

子どもを比べるのをやめよう。比較こそ不幸の源

比較によって不幸になった子ども

5年生の花江さんは日曜日に新しい洋服を買ってもらいました。
それは、両肩にフリルの付いたかわいいTシャツです。
とっても気に入ったのでさっそく月曜日にそれを着て学校に行きました。
お気に入りのTシャツを着て過ごす一日はとても楽しい一日でした。

次の日は別の服を着ていきましたが、また水曜日にそのTシャツを着て行きました。
そして、また一日おいて金曜日にも着て行きました。
土曜日と日曜日には別の服を着て過ごしましたが、また月曜日にそのTシャツを着て行きました。

ところが、ここでちょっとした事件が起こりました。
なんと、クラスメートの亜紀さんがフリルの付いたTシャツを着てきたのです。
しかも、花江さんのフリルよりも大きくてカラフルで、より一層かわいらしいものです。
それを見た花江さんは、急に気持ちが沈んでしまいました。
なんだか、自分のTシャツがみすぼらしいものに見えてきたのです。

比較によって生じた嫉妬心が、花江さんを不幸にしてしまったのです。

比較によって不幸になった大人

四十才になったばかりの能美健一さんは、とうとう念願叶ってマイホームを手に入れました。
住宅会社と何度も打ち合わせをして、妻や子どもとも相談をしながら、十分満足のいく一戸建てを建てることができたのです。

妻や子どもも喜んでくれましたし、何よりも自分がうれしくてたまりませんでした。
会社の仕事が終わると、どこにも寄り道しないでわが家に帰ってくるようになりました。
いまや、わが家のリビングやベランダで大好きなコーヒーを飲むのが、至福の時間になったのです。

ところが、3ヶ月後にちょっとした事件が起こりました。
なんと隣の敷地に新しい家が建ったのです。
しかも、能美さんの家より一回り大きくて、デザインもおしゃれです。
能美さんは一気に気持ちが沈んでしまいました。
なんだか、自分の家がみすぼらしいものに見えてきたのです。

比較によって生じた嫉妬心が、能美さんを不幸にしてしまったのです。

比較によって生じた嫉妬心が人を不幸にする

この2人に起きたようなことは、誰の人生においても起こります。
しかも、頻繁に。
というのも、人間はみんな比べる病という宿痾(しゅくあ)にかかっているからです。

そして、これは親という立場の人もよくかかる病気です。
親はよくわが子を他の子と比べます。
兄弟で比べることもありますし、自分が子どものころと比べることもあります。

比べると常に隣の芝生は青く見えます。
つまり、わが子がみすぼらしく見えてしまうのです。
そのストレスに耐えられなくなって、親は子どもを叱ってしまいます。

比較によって生じた嫉妬心が、親も子も不幸にしてしまうのです。

成長したと思っていたのに…

松本さんは、小学6年生の長女・花音さんがこの頃手伝いをよくするようになったので喜んでいました。
以前は親に言われて渋々だったのですが、この頃は自分で洗濯物を取り込んでくれます。また、食後の食器洗いもよくやってくれるようになりました。

こういったことで喜んでいたのですが、ある日ママ友との会話で、その家の小学5年生の美春さんがもっと多くのお手伝いをしていることを知りました。
洗濯物もただ取り込むだけでなく、ちゃんとたたんでくれるそうです。

それで、松本さんは、急に花音さんの働きぶりが物足りなく感じられるようになってしまいました。
そして、次の日、花音さんに「洗濯物を取り込むだけでなく、たたんでくれてもいいのに」と嫌みを言ってしまいました。

比較によって生じた嫉妬心が、親も子も不幸にしてしまったのです。

比べ始めるとわが子の短所や不十分なところばかりが気になる

近所にも親戚にもいろいろな子どもたちがいます。
クラスにも塾にも習い事教室にも、実にいろいろな子どもたちがいます。

ある子はわが子より勉強ができます。
また別の子はわが子より運動ができます。
また別の子はわが子よりよくお手伝いをします。
さらに、また別の子はわが子より身体が大きい…。

本当に、子どもを比べ始めるとろくなことはありません。
わが子の短所や不十分なところばかりが気になるようになってしまいます。

わが子は○○君より勉強ができない。
○○さんより走るのが遅い。
○○君よりお手伝いが少ない。
○○さんより身体が小さい。

その結果、比較によって生じた嫉妬心が、親も子も不幸にしてしまうのです。

子どものよい部分に目を向けよう

こんなことを続けていては、決して幸せになることはできません。
もう比べる病から抜け出して、比較によって生じた嫉妬心に飲み込まれないにしましょう。
比較こそが不幸の源なのです。

そのための方法を2つ紹介します。
1つめとして、これからは、比べ始めたらすぐそれに気づくようにしましょう。

そして、「あ、自分は今比べてる。やめよう。子どものよい部分に目を向けよう」と言い聞かせましょう。

そうです、比べる病から抜け出すには、その子のよい部分に目を向けることが大切なのです。

例えば、わが子は隣の子のようにテキパキ行動できないけど、ママの重い荷物を持ってくれる優しさがあるかもしれません。

また、わが子は消極的で挨拶もできないけど、絵を描くことが好きで得意かもしれません。
長男は妹よりマイペースでだらしがないけど、ユニークな創造力があるかもしれません。

比べるなら、以前のその子自身と比べる

もう一つの方法です。
他の子と比べていることに気づいたら、すぐそれをやめて、以前のその子自身と比べるといいでしょう。

先ほどの、松本さんの長女・花音さんにしても、美春さんよりはお手伝いが少ないかもしれませんが、以前の花音さんに比べたら成長しているわけです。

それは当たり前のことではなく、実はとてもありがたいことなのです。
そのありがたみをかみしめるようにしましょう。

この2つの方法で、比較によって生じる嫉妬心に飲み込まれないようにしましょう。

親野智可等(おやのちから)
教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/