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実践! 国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第3回(全4回)

第3回 家庭で国語辞典を楽しもう


―子どもが国語辞典に親しむようになるために、家庭でどんな使い方をすればいいのでしょうか。

今井:国語辞典は身近に置いておくといいんです。ケースに入れて子ども部屋の本棚に入れるのではなく、ケースから出してリビングに置いておき、なにかあったらすぐ調べられるようにしておく。テレビで聞いてわからない言葉をその場で調べる。スマホでもその言葉をピンポイントで調べることができますが、国語辞典で調べると、オマケとして、同音異義語や反対語、イラストなどもいっしょに書いてありますから、一石二鳥にも三鳥にもなります。

森川:子どもは自分が知っていることを教えたがりますよね。ですから子どもが辞典に慣れてきたら、子どもに「わからないから教えて」と問いかけてみるのもいいかもしれません。きっと、せっせと国語辞典を調べて「こういう意味だよ」と教えてくれることでしょう。辞典を引くきっかけを作ってあげるといいですね。

―国語辞典をうまく使っている事例があれば、ご紹介いただけますか。

森川:近所に住む年長さんの男の子に図鑑と国語辞典をプレゼントしたんです。すると、まずは図鑑にはまって、図鑑を読みまくったそうです。図鑑は写真や絵が中心なので意外と気づかれないんですが、じつはかなり難しい言葉を使っているんです。そこで、わからないと思った言葉ごとに国語辞典を引くというのを繰り返して、図鑑、辞典、図鑑、辞典みたいにしてとにかく引きまくっている、ということを保護者の方から聞いたんですね。国語辞典だけでなく、もうひとつなにかがあると1+1が2どころか3にも4にもなって相乗効果を生んでいくところが、調べもののよさにつながっているいい事例でした。


今井:国語辞典は、必ずなにかとセットになって使うものだと思うんです。
テレビで聞いた知らない言葉、図鑑にのっている知らない言葉、鉄道でも戦隊ヒーローでもなんでもいいので、調べてみるといいですね。忍者とか、手裏剣とかも国語辞典にはのっているので。

―保護者も子どもに言葉の意味を聞かれるとすぐに答えてしまいますが、いっしょに国語辞典を調べればいいんですね。

今井:たとえばスナック菓子の袋に「さくさく」って書いてあったらそれをいっしょに調べてみる。国語辞典だととなりに「ざくざく」がのっていますから、次は「ざくざく」と書かれているお菓子を買ってきて、「さくさく」とどうちがうのかを実際に食べ比べてみる、なんていうふうにどんどん広げていけるといいですね。


森川:体験したものを言葉で確認していくことって、とても大事なんです。よく金田一先生が「子どもは自分の気持ちを言葉にできないから、うわーっと叫んだりしてじたばたする。大人になると自分の気持ちをきちんと話せるようになるから、じたばたしなくなる」とおっしゃるんです。自分の体で感じたことを、辞書で言語化して、世界中のいろんなことを表現していく。ものを言語化していったり、気持ちや感覚を言語化していくツールが国語辞典なのではないかと思っています。


今井:子どもも、あまり知らない人とコミュニケーションしなくてはならないときがありますよね。子どもの頃なら、クラスが変わったときや、進学したとき、もう少し長い目で見ると就職したとき、転職したときもそうですよね。
そうなってくると相手の状況に応じて適切に言葉を選ぶことが大事になってくるわけです。そこで、言葉の意味というところに立ち戻るならば、それを比較的、だれでもわかるように、かつ年齢に応じて書いてあるのが国語辞典ということだと思います。語い力や会話力を育てるのに家庭環境は重要ですから、ご家庭でぜひ国語辞典を活用していただければと思います。

―家庭でうまく国語辞典を活用することが親子のコミュニケーションの一助となり、語い力や会話力の発達へとつながることがわかりました。最終回となる次回は、ICT時代における国語辞典の役割についてお話をうかがいます。

第1回 国語辞典で伸びる力、養われる力とは
第2回 子ども向け国語辞典、どうやって選べばいいの?
第3回 家庭で国語辞典を楽しもう

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梅本真由美(うめもとまゆみ)
サイエンスライター。
長野県出身。NTT勤務を経てNTT系列の広告代理店で編集・マーケティング・企業向けWebページの企画制作などを担当。結婚後は専業主婦となる。2002年、 「天文台マダム日記」の公開がきっかけでライターに転身、朝日新聞・天文雑誌などに執筆多数。現在、月刊星ナビにて「天文台マダムがゆく」、国立天文台の公式サイトにて「天文台マダム VERAに夢中!」を連載中。