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科学教育で子どもの創造性と社会性をはぐくむ サイエンス倶楽部(全4回)

科学教育で子どもの創造性と社会性をはぐくむ サイエンス倶楽部(全4回)

サイエンス倶楽部は、1992年に設立された科学実験教室のパイオニアです。幼児・小学生・中学生を対象に、首都圏と関西圏の21教室で実験に特化した科学教育を展開しています。

自然科学を体験的に学ぶことによってどのような力が身につくのか、株式会社サイエンス倶楽部 専務取締役の広永雅史さん、同社自由が丘教室長 兼 広報担当の鈴木里美さんにお話をうかがいます。


株式会社サイエンス倶楽部 専務取締役 広永雅史さん

自由が丘教室長 兼 広報担当の鈴木里美さん

インタビュアー 梅本真由美(サイエンスライター)

第1回 実験に特化した科学教育でどんな子どもに育って欲しいのか

−−サイエンス倶楽部には幼児から高校生まで、たくさんのコースがありますが、まずはコースのラインナップ、実習時間、クラスの定員などの概要を教えてください。


鈴木:サイエンス倶楽部の教室で毎月実習を行なうのがレギュラーコースです。

年中・年長の幼児クラス、小学部、中学部を設置しています。月1回または2回コースでカリキュラムをつくっていますが、オプションの実習を加えることもできます。

また、学校の休みに合わせて季節ごとにさまざまな特別講習も用意しています。

レギュラーコースの実習時間は、年中クラスの90分からはじまり、大きくなるにつれて時間が長くなり、小学校高学年だと180分です。

オプションのコースにも参加して5、6時間、あるいはもっと過ごしていく子どもも大勢いるんですよ。

ひとクラスの人数は平均10名くらいで、メインの先生が1人、アシスタントの先生が1人、という体制で実習を行なっています。

−−どんな内容の実験をするのでしょうか。

鈴木:実験では物理、化学、生物、地学を横断的に扱います。身近に存在するさまざまな現象のなかから、そのタイミングできちんと吸収できるもの、興味の持てるものをセレクトして、学齢に応じたカリキュラムをつくっています。


小学校3年生のカリキュラム (サイエンス倶楽部ホームページより)

−−資料を拝見すると、圧力で雲をつくったり、酸化還元反応、解剖、望遠鏡づくりとかなり本格的な内容で驚きました。そうしたカリキュラムを通じて子どもたちに学んで欲しいことはどのようなことでしょうか。


広永:サイエンス倶楽部が創立以来大切にしてきた教育理念は、

「科学教育を通して未来を担う子どもたちの創造性、社会性を育み、社会的価値を最大限に発揮できる人材を輩出することをもって社会に貢献する」というものです。

理科の成績を上げたい、理系の大学に行きたい、ということを目的にした養成コースではありません。

結果としてそうなっている場合もありますが、あくまでも、子どもたちに自立したひとりの人間として、力強く生きていくための総合的な力を身につけて欲しいと願っています。

−−総合的な力とは、具体的にはどんな力なのでしょうか。

広永:脳をつくっていくのに一番大切なものは「センス」です。つまり五感ですね。

サイエンス倶楽部は、わかりやすくするため科学実験教室という言い方をしていますが、どちらかというと自然科学の教室です。

いかに体感的に自然科学の経験値を積めるか、五感・センスをシャープにして、自分の経験値を足して脳をつくっていくかを大切にしています。

科学実験を通じてスキルは自然に身についていきます。知識もスキルとともに経験値として脳に入っていくでしょう。そうした経験値を次にどう使うか、となったときに一番大切なのは「考え方」です。

科学の手法ははじめに仮説をたてます。「仮説、目的、方法、実験、結果、考察」という、ひとつの思考プロセスがあるんですよ。

これは別に科学でなくても、大人であれば仕事でPDCAなどといって同じ思考でやっていますよね。

そういう思考が子どものときから頭の中で自然に動いていくよう醸成させるには、自然科学という学問が最適なんです。なぜなら、自然科学はわれわれのまわりに24時間365日ずっと存在し、そこに数多くの驚きや発見や感動が満ちているからです。


小学校高学年クラスの実習風景

まずは子どもの心を動かすことが大事です。

「でかい」でも「くさい」でもなんでもいいですよ。最初に「現象」があり、そこから「えっ、なんで?」につながり、そうしたら「不思議だろう? 解き明かそうよ」とさらにつながります。

先に現象ありき。それを解明していこう。そうすると公式が出てくるはずという、帰納的なメソッドにしているんです。
※帰納とは、個々の事例から一般的な法則を導きだす論理展開の方法。

−−まさに科学の手法ですね。

広永:そのとおりです。

子どもが経験値を積みながら科学的思考が身につくカリキュラムは、保護者として大変魅力を感じます。次回は子どもの力を伸ばす教育効果について、さらにくわしくうかがっていきます。

第1回 実験に特化した科学教育でどんな子どもに育って欲しいのか
第2回 子どもの力を伸ばす、科学実験の教育効果
第3回 プログラミング「で」なにを学ぶのか
第4回 家庭で「科学する力」を育てるために

梅本真由美(うめもとまゆみ)
サイエンスライター。
長野県出身。NTT勤務を経てNTT系列の広告代理店で編集・マーケティング・企業向けWebページの企画制作などを担当。結婚後は専業主婦となる。2002年、 「天文台マダム日記」の公開がきっかけでライターに転身、朝日新聞・天文雑誌などに執筆多数。現在、月刊星ナビにて「天文台マダムがゆく」、国立天文台の公式サイトにて「天文台マダム VERAに夢中!」を連載中。