スーパーマーケットで日本の産業事情を学ぶ

スーパーマーケットで日本の産業事情を学ぶ

ある日、娘が社会科の資料集を手に「ねぇママ、〈なす〉の生産量1位の都道府県、どこだかわかる?」と聞いてきました。わたしがちょっと考えてから「高知かな?」と答えると、娘は「なんで知ってるの!?」と、とてもびっくりしたようす。

でも、スーパーマーケットでの日々の買い物をしている主婦(夫)なら、肌感覚で農産物の産地を把握しているのではないでしょうか? 「スーパーマーケットには、日本の産業事情を知るヒントがある!」そう気づいたわたしは、さっそく娘を連れて、スーパーマーケットへ買い物に出かけました。

陳列棚から日本の食糧事情が見えてくる

スーパーマーケットの店内に入って、まず立ちよったのは野菜売り場です。さっそく娘が〈なす〉を見つけると、ナスの袋には高知産を示すシールが貼ってあり、「ほんとだー!」と目を見張っていました。

そして、カレーに入れる根菜は、だいたい北海道が生産量1位と習った娘。玉ねぎ、にんじん、じゃがいもの陳列棚にいって産地をチェックすると、いずれも北海道産であるという表示がありました。「スーパーで売っている野菜の産地は、ほぼ統計通りなんだね」と、娘は感心したようです。


北海道産の玉ねぎを発見!

さらに、砂糖のコーナーでは、沖縄産の〈サトウキビ〉からできている砂糖と、北海道産の〈てんさい〉から作られている砂糖があることを知りました。また『てんさいオリゴ』という商品のパッケージには、〈てんさい〉が〈さとう大根〉とも呼ばれていることが書かれており、「何気なく使っている製品も、よく見てみるといろんな説明が書かれていておもしろいね」と、だんだん興味深く陳列棚を見るようになりました。


てんさいから作られた甘味料には北海道産であることが大々的に記されていました

納豆に学ぶ農産物の輸入問題

続いて娘が着目したのは納豆コーナー。「納豆は茨城県が生産量1位でしょう! 知ってるよ」と得意気に、パッケージに書かれている原材料名を見たのですが、たまたま娘が手にした納豆製品は、丸大豆(アメリカまたはカナダ産)のものでした。「あれ? 納豆は茨城県が第1位のはずなのに」と娘はいぶかしんでいたのですが、しばらくして「あー、大豆はアメリカからいちばん多く輸入されているって、言ってたかも」と、授業の記憶がよみがえったのです。


納豆のパッケージには、大豆がアメリカまたはカナダ産であると書かれていました

一方で、国産大豆100%使用と書かれている納豆も発見。輸入大豆から作られた納豆より国産大豆から作られた納豆のほうが値段が高いということに気づくことができ、安い農産物が外国から輸入されることによって国内の農家が苦しんでいるという、輸入に関する貿易問題も実感できました。


水戸産の納豆は、水戸光圀公を彷彿させるパッケージになっていました

ちなみに、いっしょに来ていたパパが、娘に向かって熱心に産地について説明していたのはお酒コーナーでした。

「これも立派な勉強だ!」と胸を張るパパに、娘は苦笑い……。


くまもんのラベルがはってある焼酎は、もちろん熊本産

社会の成り立ちについて考える

娘をスーパーマーケットに連れ出してみて、社会科の授業はその名の通り、社会がどのように成り立っているのかを学んでいるのだなと、親のわたしも勉強になりました。スーパーマーケットでの買い物を通して、日本の産業や貿易問題は、決して他人事ではなく、自分たちの暮らしに密接にかかわり合いがあることを、親子ともども学ぶことができました。

なお、統計については『日本のすがた2017』(矢野恒太記念会刊行)のデータを参照しました。

中森かなめ(なかもりかなめ)
東京都在住・40代
夫と娘(中1)と3人暮らし。
大学卒業後、出版社勤務を経て、渡仏。1年弱遊学した後、フリーランスライターとなる。結婚して出産後、しばらく休業するも、娘が5歳のときに復帰。現在も細々と執筆業に励む。