学習指導要領の改訂で学校教育が変わる

第35回 探究のプロセスを自己の成長につなげる

第35回 探究のプロセスを自己の成長につなげる

今回から教科以外の活動における次期学習指導要領の改訂のポイントを紹介します。はじめは、総合的な学習の時間(以下「総合」という。)です。

探究的な学習による成果

「総合」は、2002年度から小学校、中学校で始まりました(高校は2003年度から)。自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとしています。各学校が地域や学校、児童生徒の実態などに応じて、教科を横断して、創意工夫を凝らした教育活動を行なっています。内容は、国際理解、情報、福祉、各地域の課題など多岐にわたっています。

現行の学習指導要領では、「総合」探究的な学習協同的な学習と位置づけています。探究的な学習とは、1のように問題解決につながる活動が発展的に繰り返されていく学習活動です。


「探究的な学習における生徒の学習の姿」 (出典:「中学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間編」)

探究的な学習を実現するため、「①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現」の探究のプロセスが重視されています。

探究的な学習は、成果を生み出しています。たとえば、「全国学力・学習状況調査(文部科学省)」を分析すると、「総合」で探究のプロセスを意識した学習活動に取り組んでいる児童・生徒ほど各教科の正答率が高い傾向にあることが明らかになっています。また、「総合」での学びがOECD生徒の学習到達度調査(PISA)」における好成績につながり、さらに、児童生徒の学習の姿勢の改善に大きく貢献していると、OECDをはじめ国際的に評価されています。

教科横断的なカリキュラムを編成

次期学習指導要領では、こうした好循環をさらに発展させるため、「総合」を次のように充実させようとしています。

①「総合」を通してどのような資質・能力を育成するかを明らかにする。
各教科で定められた目標をふまえ、「総合」での目標を教科横断的に定め、学校全体で育てたい資質・能力に対応したカリキュラムを編成し、実施・評価し、改善を図る。
そして、教科等の枠に収まらない課題に取り組む学習活動を通して、学習や生活に生かす。

②探究のプロセスのなかでも「整理・分析」「まとめ・表現」に対する取り組みが十分ではないという課題を改め、探究のプロセスを通じた一人ひとりの資質・能力の向上をより一層意識する。

これらをふまえた次期学習指導要領の改善のポイントは、以下の通りです。

改善のポイント1―育成する資質・能力を整理

次期学習指導要領では、「総合」で育成をめざす資質・能力について、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱で整理しています(2)。


「小学校総合的な学習の時間において育成を目指す資質・能力の整理」(出典:中央教育審議会「答申 別添18-1」をもとに作成)

これに基づき「総合」では、「探究的な見方・考え方」を働かせて、課題を解決し、自分自身の生き方を考えることを通して、資質・能力を育成することを目標にかかげています。

改善のポイント2―探究のプロセスを整理

次期学習指導要領では、探究のプロセスは3のように整理されました。


「総合的な学習の時間の学びの過程のイメージ(中学校)」(出典:中央教育審議会「答申 別添18-3」から抜粋)

探究のプロセスの「整理・分析」「まとめ・表現」を充実させるために、学習方法を提示しています。たとえば、「整理・分析」の段階では、複雑な問題についての事実関係を把握し、自分の考えをもつこと、問題解決のために、問題の因果関係を予測したりして考えることをあげています。また「まとめ・表現」の段階では、授業で学んだことを振り返り、生活や自分の学習に生かすことを推奨しています。この点が、次期学習指導要領の改善点です。

次期学習指導要領は、児童生徒が自分のよさを生かしながら探究活動に向き合い、探究的な課題解決の経験を自分自身の成長と結びつけて考えることを促し、達成感や自己アイデンティティをはぐくみ、自分のいいところや可能性に気づくことをめざしています。

また、異なる意見や他者の考えを受け入れながら探究活動に向き合い、互いを理解すること、実社会の課題を多面的・多角的にとらえ、課題解決を通じて社会への参画意識を高めることを重視しています。

子どもたちが、「総合」を通じて地域の課題を知り、解決に取り組み、社会と関わる姿勢をつちかうことは、子どもの将来にとっても深い学びになるにちがいありません。

藤田由美子(ふじたゆみこ)
藤田由美子(ふじたゆみこ)
株式会社ユーミックス代表取締役社長。1993年の創業以来、コンピューターリテラシー教育を数多く手がける。
「生きる力」「社会力」の育成をめざして、子ども向けICT教育のカリキュラム作りにも力をいれており、大手携帯電話会社のケータイ安全教室の企画立ち上げ、ネット安全利用推進プログラムの開発など、実績多数。