学習指導要領の改訂で学校教育が変わる

第37回 社会参画する力や自治的能力をはぐくむ特別活動

第37回 社会参画する力や自治的能力をはぐくむ特別活動

今回は、特別活動における次期学習指導要領の改訂点と、新たに盛り込まれたキャリア教育を紹介します。

特別活動は日本独特の教育課程

特別活動は、学級活動・ホームルーム活動、児童会活動・生徒会活動、クラブ活動、学校行事から構成されます。子どもたちは、クラスやクラブ活動などの集団活動を通して、協調性や連帯感、異質なものを認め合う姿勢などをはぐくんでいます。保護者のみなさんも、運動会や学芸会などの学校行事で、クラスが一致団結した記憶があるでしょう。

特別活動では、課題を発見し解決を図り、よりよい集団づくりをめざしてさまざまな活動が行なわれます。特別活動は、日本の教育課程独特の特徴でもあります。

しかし、各活動において身につけるべき資質・能力は何なのか、どのような学習過程を経ると資質・能力の向上につながるのか明確になっていませんでした。また、各活動の内容や指導のプロセスについてもあまり整理されてきませんでした。そこで、次期学習指導要領では、教育課程全体における特別活動の役割、機能を明らかにしようとしています。

次期学習指導要領では、特別活動において育成をめざす資質・能力を「人間関係形成」、「社会参画」、「自己実現」の3つの視点からとらえ、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱に沿って整理しました。小学校の特別活動で育成をめざす資質・能力を示します。


「小学校特別活動において育成をめざす資質・能力の整理」 (出典:中央教育審議会「答申 別添17-1」をもとに作成)

集団活動を通して社会へ参画する力を育成

次期学習指導要領では、「特別活動における学級活動・ホームルーム活動の学習過程のイメージ」が示されています。


「特別活動における学級活動・ホームルーム活動の学習過程のイメージ」 (出典:中央教育審議会「答申 別添17-3」をもとに作成)

次期学習指導要領では、子どもたちが集団活動のなかでさまざまな役割を経験することを推奨しています。役割を果たすことにより、主体的に考え、判断し、自己有用感をはぐくむことをめざしています。役割を果たす過程を通じて、自治的能力や、主権者として積極的に社会参画する力を育成しようとしています。

小学校から高等学校まで一貫したキャリア教育の実践

次期学習指導要領では、小学校の学級活動に「一人一人のキャリア形成と自己実現」が新たに設けられ、キャリア教育の視点から小・中・高等学校のつながりを明確にしています。

本来キャリア教育は、社会的、職業的に自立するために必要な知識、技能、態度をはぐくむ教育です(たとえばコミュニケーション能力、課題を発見し解決を図る力、自ら目標を立て行動する力など)。しかし中学校・高等学校では、「進路指導」に焦点があてられ、入学試験や就職活動対策に取り組んだり、職業を理解するための職場体験活動を行なったりしてきました。また、小学校では特別活動で進路について指導していなかったため、体系的にキャリア教育が実施されていませんでした。そうした背景からキャリア教育本来の役割を改めて明確にし、社会への接続を考慮し、小学校から特別活動のなかにキャリア教育が組み込まれることになりました。

そして、職業を通じて未来の社会を創り上げていくという視点から、「働くこと」の意義、キャリア形成に必要な資質・能力の育成をめざしています。

小・中学校では、学級活動を中心に、総合的な学習の時間や学校行事、各教科における学習、個別指導としての進路相談などを通じてキャリア教育を展開していきます。

高等学校では、小・中学校の成果を受け継ぎながら、ホームルーム活動を中心に、総合的な探究の時間や学校行事、公民科に新設される科目「公共」をはじめ各教科・科目などにおける学習、個別指導としての進路相談などで実践していきます。
さらに高等学校では、企業などへの就業体験(インターンシップ)だけでなく、大学や研究機関へのアカデミック・インターンシップの機会を充実させます。

未来社会を予測する力が社会を動かす

子どもが社会人として活躍するのは2030年代~2040年代。いま、存在していない職業を子どもたちが自ら創りだしてほしいと思います。また、未来社会がどうなっていくのかを想像し、イマジネーションをふくらませる力もはぐくんでいってほしいものです。

藤田由美子(ふじたゆみこ)
藤田由美子(ふじたゆみこ)
株式会社ユーミックス代表取締役社長。1993年の創業以来、コンピューターリテラシー教育を数多く手がける。
「生きる力」「社会力」の育成をめざして、子ども向けICT教育のカリキュラム作りにも力をいれており、大手携帯電話会社のケータイ安全教室の企画立ち上げ、ネット安全利用推進プログラムの開発など、実績多数。