今話題の「子ども食堂」に行ってみると、そこには地域のコミュニティーがありました

今話題の「子ども食堂」に行ってみると、そこには地域のコミュニティーがありました

子どもが集まる場所として注目されている「子ども食堂」。どんな子どもたちのための食堂で、何を目的にしている場所なのか? 今回は、東京都内にある、まだできたての子ども食堂におじゃまして、その現場を見てきました。

取材したのは、東京都中野区にある中野友愛ホーム(特養老人ホーム)で月1回開催されている子ども食堂。取材時(8月下旬)が2回目で、まだ名前が決まっていないくらいできたてホヤホヤの子ども食堂です。

みんなで遊んで、食べて、楽しんで!

18時スタートということでしたが、15分以上前に到着。
玄関を入ると、子ども食堂の看板と、スタッフの方、早くから来ている子どもたちの姿がありました。

まずは、受付で参加費(大人300円、子ども無料)を払い、番号札をもらいます。


受付で名前と人数を書き、お金を払います

食堂の横には遊び場ブースがあり、そこで子どもたちは、ゲームをしたり、絵を描いたり、折り紙を折ったり、ボランティアの方にバルーンアートを作ってもらったりして楽しんでいました。
ママたちの明るい話し声も聞こえて、わきあいあいとした雰囲気です。


ゲームやお絵描きなどで遊ぶ子どもたち

楽しく遊ぶ子どもたち。友愛ホームに入所しているお年寄りで、お子さんとふれ合っている方もいました

みんなで考えた食堂の名前は?

受付でもらった番号順に、食堂に入り、好きな席に座ります。メニューは、ソース焼きそば、ポテトのチーズ焼き、中華スープ、あんみつ♪
この日集まったのは、子どもと大人合わせて90人ほど。前回は初回とあって、150人近い人たちが来たそうです。


スタッフの方のやさしさがたっぷり入ったメニュー

食事を楽しむ参加者と、あいさつをする主催者の伊藤由宏(いとうよしひろ)さん

食事が終わった子どもたちは、かき氷へ直行! ボランティアのおねえさんがシロップや練乳をかけてくれます

食後は、子どもたちはかき氷(無料)、大人は地元の喫茶店のコーヒー(200円)を飲みながら、雑談&遊び。ボランティアの方のバルーンアートや手品も大人気でした。

そして、帰る前には「この食堂の名前を考えよう!」というアンケート用紙が配られ、みんなで考えました。


「何にしようかなぁ……」。名無しだった食堂の名前をみんなで考えました

さて、その結果は数日後に発表されたのですが
「にこにこカフェ」に決定!!

小さい子でも覚えやすいいい名前ですね。

20時になり閉店となった食堂。みなさん満足そうに、 “にこにこ”笑顔で帰っていきました。

老人ホームで子ども食堂を始めた理由

この子ども食堂を主催している伊藤由宏さんは、同じ中野区内で「野方みんなの食堂」という子ども食堂も主催しています。ここは2号店ということなのですが、どうして子ども食堂を2カ所で開こうと思ったのでしょうか?
こども食堂が終わったあとに、伊藤さんに話を聞きました。

伊藤由宏(いとうよしひろ)さん
NPO法人ここからプロジェクト代表。日本大学卒業後、障がい者施設職員、養育困難家庭ヘルパー等を経て、現在も一時保護所で働きながら、子ども食堂をはじめ、児童養護施設でのワークショップほか、さまざまな社会活動を行なっている。

――いつから子ども食堂を始めたんですか?
伊藤:実は、野方みんなの食堂より前の2014年に、別の場所で子ども食堂と無料塾をしていました。そこは別の人に任せて、2016年から「野方みんなの食堂」を始めました。ここはその2号店として、同じ中野区の江古田で友愛ホームさん(特養老人ホーム)の場所をお借りして始めることになったんです。

――この2つの食堂の違いは、ありますか?
伊藤:野方みんなの食堂は、小学校の近くにある児童館などに声をかけていることもあって、小中学生が多いです。こちらはそれよりも小さいお子さんが多いですね。時間が経つとまた変わってくるかもしれませんが。
野方は、区民活動センターを借りて運営していますが、ここは特養老人ホームをお借りしているのも大きな違いです。

――どうして、この場所で子ども食堂をすることになったのですか?
伊藤:おじいちゃん、おばあちゃんと子どもたちが触れ合ってくれたらいいな、と思ったんです。まだ始めて2回目なのですが、ここのホームのお年寄りの方たちも何人か参加してくださっているので、じょじょに触れ合う機会が多くなってくれるといいなと思っています。

地域のコミュニティーとしての「子ども食堂」

――伊藤さんが、子ども食堂を始めようと思ったきっかけは何ですか?
伊藤:15年くらい前から、引きこもりや不登校、発達障害の子どもたちなどのボランティアをしていました。でも、子ども食堂を始めた直接のきっかけは、2011年の東日本大震災で、福島の児童養護施設でボランティアをしたことです。
震災で親を亡くした子どもだけではく、なんらかの事情から親もとで生活できない子どもは、世の中にたくさんいます。そんな子どもたちをみていて、「子どもたちのために、何か自分にできることはないか」と考えました。
福島から帰ってきてから、まずは自分が住んでいる地域で、困っている子どもたちの力になりたいと思い、子ども食堂を始めました。

「お母さんたちの息抜きの場にもなってほしい」と話す伊藤さん。

――子どもたちのためという思いが、ここまで広がったんですね。
伊藤:最初は貧困の子どもたちのためだったのですが、今は子どもたちを中心とした、地域のコミュニティーづくりがメインになっています。
実際に、ママ友同士で誘い合って来てくださっている方も多いんです。毎日の子育てに苦労しているお母さんが、月1回でもごはんを作らない日として、息抜きの場になってくれるといいと思っています。

――ボランティアの方も多いですよね。
伊藤:調理は、友愛ホームの方の人脈でこの地域の方たちが担当してくださっています。そのほか、配膳やかき氷などのボランティアは、インターネットで募集を見て、連絡をくれた高校生たちです。今日は高校生だけで10人ほど集まりました。
そのほか、地元の喫茶店の方が、東ティモール産のコーヒーを1杯200円で提供してくださったり、手品やバルーンアートのイベントをしてくださる方もいます。
とてもありがたいですね。

――これからの課題はありますか?
伊藤:まだ、ここは2回目なので、今はすべて試行錯誤している状態です。
初回は参加者70名の想定でしたが、その倍の150名近い人が来てくださったため準備が足りず、みなさんには、ご迷惑をおかけしてしまいました。
今日は、事前に約80名分の食事を用意していると告知していて、実際は90名くらいでした。余分に用意しておいたこともあって、ちょうど良い感じでした。

――食事の際の番号札は、今回から導入したのですか?
伊藤:そうです。今回は受け付けで番号札を配り、食事のスペースには順番に入ってもらいました。配膳もボランティアスタッフと事前に打ち合わせをして、先にテーブルに置くようにしてもらったことで、みなさんにスムーズに食べてもらうことができました。
こうやって、いろいろと試しながら、みなさんに喜んでもらえるように運営を軌道にのせたいと思います。

――地域のコミュニティーづくりをメインとして、お年寄りと子どもが触れ合える場所というコンセプトはとてもいいですね。これからどんな場所になっていくのか楽しみです。
伊藤:そうですね。みんなが楽しんでくれるような内容を、どんどん企画していきたいと思います。

――これからの展開が楽しみですね! 今日はありがとうございました。

ひと口に「子ども食堂」と言っても、運営の形態はさまざまです。伊藤さんのように同じ人が運営していても、場所が違うと、そこに集まって来る人たちの年齢層などが変わってくるということもあります。

今回、実際に子ども食堂を体験して感じたのは、子ども食堂は人々の善意で成り立っているということ。
「みんなに何を食べてもらおうか」というメニュー決めから、低価格で食事を提供するために安くておいしい材料を調達したり、早くから料理の準備をし、配膳の準備をするスタッフたち。子ども食堂が開かれる前、そして開店してからも、どれだけの人々が時間と労力を費やしているのかを感じることができました。地域のコミュニティーとして、これからどう発展するかが楽しみです。

※「にこにこカフェ」は、現在諸事情によりお休みしています。

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)
『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。
学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。
子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。

すくすく伸びる
子どもたちのために