アフリカ出身トニーさんが主催する国際色豊かな子ども食堂&寺子屋を体験してきた

アフリカ出身トニーさんが主催する国際色豊かな子ども食堂&寺子屋を体験してきた

ある土曜日、神奈川県相模原市の住宅街に子どもたちが集まる一角がありました。この日は、楽しいプログラムが盛りだくさんで、参加費が無料という、子どもたちに人気の「ノヴィーニェ こども食堂&こども寺子屋」が開かれる日なのです(付き添いの大人も無料)。

食事だけでなく、遊びや学びが体験できる寺子屋もあるこの食堂は、近所の子どもたちを中心に回を重ねるごとに参加者が増えているそう。アフリカの方が主催する子ども食堂にはどんな特徴があるのか、どんな思いで開催しているのかを聞くため、参加してみました。

アフリカの料理も味わえるバイキング形式のランチ

この子ども食堂はアフリカ・ガーナ出身のトニーさんが理事長を務める「NPO法人アフリカンヘリテイジコミティー」が主催しています。
土曜日昼と平日夜、月に1回ずつ、神奈川県内の2カ所で開かれていますが、昼は食堂だけでなく寺子屋が同時開催されるのが特徴。アフリカの文化に触れられるイベントも子どもたちの楽しみのひとつです。

天気にも恵まれた夏らしい日の今回は「ミニなつまつり」がテーマ。友だち同士や親子で季節を感じながら楽しめるプログラムがたくさん用意されています。

※「ミニなつまつり」は8月25日(土)に開かれた昼プログラムです。


たくさんのメニューに迷いながらも、子どもたちがそれぞれ好きなものを取っていきます

スタート時間の11時45分にあいさつと今日のプログラムの説明がありますが、まずは食事タイム。会場入り口にある料理が並んだカウンターから、各自好きなものを取っていくバイキング形式です。「食べられる分だけよそってね(お代わりは自由)」などの注意書きがあったり、自分が使ったお皿を種類ごとに分けて片付けるコーナーもあります。バイキングを楽しみながら自然とマナーも学べる仕組みになっているのです。


ごはんのあとのデザートは、綿あめが人気でした

料理はデザートも含めて8~12品。毎回必ずアフリカの料理も並びます。子どもたちに人気のカレーは本格的ながら辛くない工夫がされていました。

隣り合った参加者同士や、いっしょに来た家族などと楽しく話しながらの食事タイムが終わると「こども寺子屋」の始まりです。

楽しく学び、味わい、異文化を体験する「子ども寺子屋」

今日のプログラムは、トニーさんによる「えいごレッスン」、アフリカの楽器を身近なもので工作する「カリンバ作り」、希望者が実際に演奏を体験できる「アフリカの太鼓体験」「おやつタイム」と盛りだくさんです。

工作の時間はいつもとても盛り上がります。今日は、親指で音を鳴らすアフリカの楽器「カリンバ」を割りばしやヘアピンで作りました。最後に思い思いにシールなどで飾り付けをしたらできあがりです。


これが、アフリカの楽器「カリンバ」です

ヘアピン、ビーズ、割りばし、マスキングテープを使って、カリンバを制作中♪

10歳の女の子はマスキングテープでカラフルにして、「かわいくできた」と満足そう。お母さんと参加した2歳8カ月の女の子は毎回工作が楽しみで、今回で6回目の参加だそうです。慣れた手つきで力作を仕上げていました。

できあがりを見せ合ったり、演奏してみたりするうちに、知らない子ども同士も打ち解けていき、会場のにぎわいは最高潮に。


トニーさんと子どもたちで、アフリカの太鼓セッション!

その後は希望者が舞台に上がり、トニーさんによる本場仕込みの太鼓たたきを真似しながら即興で演奏したり、アフリカのバナナに良く似た野菜「プランテーン」と本物のヤシの実を絞ったジュースを試食するおやつタイムを楽しんだりと、五感を使って学べるプログラムが続きました。

5歳と1歳のお子さん連れで参加しているお母さんは、「去年のハロウィーンパーティのときにはじめて参加しました。以降は2カ月に1回程度通っています。上の子は英会話のレッスン、下の子は楽器を演奏できるのを楽しみにしていますね。食事だけではないので、いろいろな子が集い、参加しやすい雰囲気がうれしいです。勉強がてら親子で楽しみにしています」と話してくれました。

最後にトニーさんから「ここはみんなの居場所です。もっと仲間を増やしていきましょう!」とあいさつ。過ごした時間が楽しかったとわかる最高の笑顔で、みんなで手をふりながら解散になりました。

困っている子どもの居場所をつくりたい

なぜ、子ども食堂と寺子屋を始めようと思ったのか、そのきっかけと子ども食堂に対する思いを主催者のトニー・ジャスティスさんに聞きました。

トニー・ジャスティス
アフリカ・ガーナ出身。20年ほど前に、日本の文化に興味を持ち来日。2015年にNPO法人アフリカヘリテイジコミティを立ち上げ、理事となる。現在、相模原市中央区でレンタルスペース&レストランの「ノヴィーニェ・ホール」を、横浜市青葉台で飲食店「JAYʼs レストラン」を営みながら、青葉台と相模原の2カ所で、子ども食堂と寺子屋を開催している。また、アフリカ文化を紹介する講演会の講師などを積極的につとめている。

――なぜ日本で子ども食堂と寺子屋を始めたのですか

トニー:アフリカに帰ったときに、学校に通えない子やごはんが食べられない子どもをたくさん見かけました。そんな子を保護して助けたい。でも物をあげるのではなく、自立して生活できるように教育を授けたいと思ったんです。それで「学校を作ろうプロジェクト」を立ち上げました。

しかし、そのプロジェクトを進めるなかで、日本でも十分に食事ができない、何を食べているのか親も知らない孤食の子どもが増えていると聞きました。そこでアフリカの子どもたちも大事だけど、今、目の前にいる日本の子どもたちも助けたい、子どもの居場所をつくりたいと思ったのがスタートです。

一方で、日本の子どもたちにアフリカ文化をもっと広めたいという気持ちが、ずっとありました。まだまだ日本ではアフリカがどんな国なのか知られていません。たとえば「どんなものを食べているのか」「どんな暮らしをしているか」そんなことから知ってもらいたいと思ったので、寺子屋も始めました。

「ノヴィーニェ」とは、わたしの出身である西アフリカのエヴェという部族の言葉で「兄弟・仲間」という意味です。地域のこどもたちが、家族のように集まって食べたり学んだりできる場所にしたいという思いをこめて食堂の名前にしました。

――子ども食堂は毎回どんな内容で開催していますか

トニー:昼、夕方各月1回ずつ、神奈川県内の2カ所で計4回行なっています。ランチは今回のようにバイキング形式で8~12品ほど。アフリカの料理も2~3種類あります。そのあと寺子屋で、英会話や工作、楽器演奏などを体験してもらいます。子どもだけで来る子、親子で参加といろいろですが毎回45~60人ほど来ています。
夕方の部は子ども食堂のみです。予約なしで自由に参加できます。

――どんな子どもが参加していますか

トニー:いろいろな子どもたちが来ています。近所に住んでいる子もいれば、遠くから来てくれる親子、体が不自由な子、シングルマザーでがんばっているお母さんと子どもなど、本当にさまざまです。こちらでは参加者を選んでいないので、どんな子でも、誰でも来ていい、楽しい時間を過ごせる子どもの居場所なんです。
毎日、忙しくしているお母さんたちが、子どもとゆっくりごはんが食べられる場所としても利用してもらえればと思っています。

――いろいろな子が楽しく過ごせるように、どんな工夫をしていますか

トニー:寺子屋の英会話レッスンでいうと、最初にたとえば車のイラストを見せたら日本語で言ってもらう。そこで「日本語上手だね!」とほめます。次に英語で言ってもらい、できたらまたほめる。という流れで行なっています。ここは日本語の方が得意な子ばかりじゃない。小さいときから国際感覚が身について、国境を超えたコミュニケーションができる子に育つといいなと思っています。それにまだ言葉(日本語)がうまく話せない年齢の子もスムーズに参加できますよね。


英語のレッスンは、小さい子でも参加できるようにイラストを見せながら

トニーさんがイラストを見せて「これわかる人!」と聞くと、子どもたちの手があがります

――子ども食堂を始めるにあたり、苦労はありましたか

トニー:最初は、わたしが外国人ということもあったのか、なかなか参加者が集まらなかったですね。チラシを置いてもらうお願いをしに行っても「アフリカの人には日本のことは関係ないのでは?」と、なかなか理解が得られないこともありました。そこでまずは新聞に広告をのせたりして、認知度を上げていきました。その後、相模原市の後援名義を取ったりして、今はだいぶ周囲の理解が深まってきたと感じています。
大変でしたが、わたしをここまで育ててくれた日本に恩返しをしたいとがんばりましたね。

――子ども食堂について、今後の展望を教えてください

トニー:3年目になり、以前より参加者もだいぶ増えました。毎回ボランティアも3~4人に参加してもらっています。まだまだボランティアも資金も足りませんが、さまざまな境遇の子どもの居場所、がんばっているお母さんのストレスを解消して、楽しく過ごせる場所になれば良いなと、みんなでがんばっています。

今後は、ボランティアや食材提供や寄付など、うまく地域のみなさまと協力して、将来的にもこの活動を続けていけるような仕組みづくりに取り組んでいくつもりです。
ここはみんなの居場所です。来ないのはもったいない。県内だけでなく日本中から、いろいろな子どもに参加してもらいたいですね(笑)。

 

――アフリカでの活動がきっかけで日本の子どもたちの現状にも心を痛めて活動を始めたトニーさん。「どんな子でも、誰でも来ていい」「日本中のいろいろな子どもに参加してもらいたい」という言葉に、トニーさんの大きな愛情を感じました。
なかなか知ることのできないアフリカの文化を体験できる場としても貴重な「ノヴィーニェ食堂」に、またぜひ訪れてみたいと思います!

(まとめ 内藤真左子)

DATA

ノヴィーニェこども食堂&こども寺子屋

相模原:神奈川県相模原市中央区5-11-3きめたハウジング第5ビル(ノヴィーニェ・ホール1/2F)
横浜:神奈川県横浜市青葉区青葉台1丁目15番地3号高橋青葉ビル B1F(ジェイズレストラン)

<昼の部>
時間:こども食堂は11:45~13:15
こども寺子屋は13:30~15:00
対象:幼児~高校生 (シルバーの方もOK!)
※未就学児は保護者の方が同伴してください。
参加費:無料 (付き添いの大人の方も無料)

<夕方の部>
時間:こども食堂 16:00~18:00
対象:幼児~高校生
※未就学児は保護者の方が同伴してください。
参加費:無料(付き添いの大人の方も無料)

「ノヴィーニェ こども食堂&こども寺子屋」活動報告ブログ

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