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ISSにいる大西宇宙飛行士(うちゅうひこうし)と
地球の子どもたちを結ぶ、リアルタイム交信!

「How do you hear me?」とたずねる司会の宇宙兄さんズ。

少しの間無音。1、2、3……10秒

ズズ…ズズ…
「I can hear you loud and clear.
よく聞こえます。よろしくお願いします。」
と大西卓哉(おおにしたくや)宇宙飛行士の声。

日本からの問いかけのあと、大西宇宙飛行士の声がとどくのは7~10秒後。国際宇宙(こくさいうちゅう)ステーション(ISS)にいる大西宇宙飛行士とのリアルタイム交信は、わくわくとドキドキの中、こうして始まった。

地上から約400km上空を飛行している宇宙ステーションの中にある日本の実験棟(じっけんとう)「きぼう」 から手をふる大西宇宙飛行士

2016年8月30日、東京都銀座(とうきょうとぎんざ)にある「METoA Ginza(めとあぎんざ)」で行われたYAC(やっく)のイベント「JAXA大西卓哉宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在(たいざい)におけるリアルタイム交信」。東京会場だけでなく、長野県上田会場、石川県小松会場、宮崎県(みやざきけん)宮崎会場にも子どもたちが集まって、大西宇宙飛行士との交信を楽しんだんだ。

大西宇宙飛行士は、2016年7月からISSに滞在していて、10月30日ごろまでの約4カ月間いろいろな実験を行っている。宇宙はどんなところなんだろう、大西さんはどんな毎日を送っているんだろう。子どもたちには知りたいことがたくさん!

大西宇宙飛行士はみんなの質問(しつもん)にどう答えてくれたのか、ドキドキの20分間の一部を紹介(しょうかい)するよ。

Q:宇宙はどんな音がしていますか? ざわざわしていますか? しーんとしていますか?
(東京会場 小学2年生 男子)

みんなで宇宙の音を聞いたあと、音の正体について説明する大西宇宙飛行士

A:宇宙の音ですね。ちょっと静かにして聞いてみましょうか。マイクオンにしてみますので。
-----ぎゅるぎゅる-----

どんな音が聞こえましたか? 宇宙ステーションの中はけっこう大きな音がしています。どういう音かというとほとんど機械の音ですね。
地上にいると空気がぐるぐるぐるぐる回っているんですけど、宇宙ステーションでは空気の流れも人工的に作り出さないといけないので、そのために扇風機(せんぷうき)のようなものが常(つね)に24時間1日中回っています。そういう音とか、あとはいろんな機械が動いている音というのがすごくうるさいです。ただわたしがいる「きぼう」というモジュールは、宇宙ステーションの中でもとても静かだと言われていて、今はとても静かです。みなさんもたぶんほとんど聞こえなかったんじゃないかなと思うんですけど、他の国の宇宙飛行士たちにもとても人気があって、たとえば家族との交信イベントを行うときにもこの「きぼう」がよく使われたりします。
Q:いつも大西宇宙飛行士の宇宙レポートを楽しみに読んでいます。その中でISSではだれかが何かをするととても揺(ゆ)れるとあったのですが、実験中以外でも行動を制限(せいげん)されることはありますか?
(小松会場 中学3年 男子)
A:一番揺れやすいのは宇宙飛行士が大きく動いたときですね。こうやってかべを押(お)したり。あとは、運動しなければいけないんですけど、走ったり筋(きん)トレで物を持ち上げたりする動作をするときによく揺れやすいです。実験中はそういった運動は禁止(きんし)されます。
それ以外にもいろんな宇宙船が国際宇宙ステーションにドッキングするときや、あとはさっき言った、「こうのとり」という宇宙船をロボットアームでつかまえるときとかに、宇宙ステーションが細かく揺れていると、つなぎ目のところをいためてしまうおそれがあるので、そういうときも運動しないようにという制限がかかることがあります。
Q:他の国の宇宙飛行士とのコミュニケーションをうまくとるために心がけていることはなんですか?
(宮崎会場 中学1年 男子)
A:今この宇宙ステーションには、アメリカ人、ロシア人とわたし日本人の3カ国の宇宙飛行士が住んでいます。それ以外にも国際宇宙ステーションは世界15カ国の国が参加していて、そのいろんな国に訓練に行ったりしました。その中で感じたのは、うまく他の国の人たちとコミュニケーションをとるためには、その国の文化や考え方、価値観(かちかん)というのをしっかり理解(りかい)して自分の国とはちがうということを尊重(そんちょう)するのがとても大事かなと思います。
コミュニケーションだけが取れていても仕事がちゃんとできないと信用はされないんですよね。やっぱり一生けんめい仕事をすることによって信頼(しんらい)を得て、それがさらにコミュニケーション自体をなめらかにしてくれるような、いいサイクルを生んでくれるので、コミュニケーションももちろん大事ですが仕事をしっかりして、約束もしっかり守ることが大事なのかなと思います。
Q:ISSではげんかつぎや面白いルールはありますか?(東京会場 小学4年 女子)

質問者は、大西宇宙飛行士を64面もある大きなモニターで見ながら質問する。会場に集まった人たちも、じっとモニターを見つめていたよ。

A:この国際宇宙ステーションでは昔アメリカのスペースシャトルという宇宙船が来たときと、その宇宙船がISSからはなれていくときに、ここにあるようなベルを鳴らす習慣がありました。その習慣(しゅうかん)を引きついで今でも新しいクルーが到着(とうちゃく)するときやクルーが帰るときにこのベルを鳴らします。ふだんはこのベルはアメリカのモジュールにあるんですが、今お借りしてきました。

かんかんかん。

こんな感じでベルを鳴らして、新しいクルーをむかえたりクルーにお別れするのが国際宇宙ステーションの中のならわしになっています。
Q:宇宙で見える太陽や星は地球で見える太陽や星とちがいますか? ちがったらどういうふうに見えますか?(上田会場 小学3年 女子)
A:宇宙から見える太陽は地球から見えるのとほとんど変わらないんですが、でも地上では空気が太陽からの紫外線(しがいせん)とかを防(ふせ)いでくれているんですけど、宇宙ではそれがないのでとてもまぶしいです。ぎらぎらまぶしい太陽というのが宇宙からみた太陽です。でもその太陽の力を太陽電池でずっと吸収(きゅうしゅう)してその電気でこの国際宇宙ステーションは毎日動いています。ですので、太陽は地上と同じように宇宙でもとってもありがたい大切な存在(そんざい)です。
Q:宇宙に行く前と宇宙に行ったあとでは地球に対する思いはどんなふうに変わりましたか?
(小松会場 小学4年 男子)
A:宇宙に来て地球を見るとほんとにきれいです。とっても美しいなと思います。それにとても大きいですね。自分の視界(しかい)いっぱいに地球がひろがっているので、ほんとにわたしたちの世界も大きいなと思いました。地上にいるときはずっと宇宙に行きたかったんですけど、宇宙に来てはじめて気づく地球の良さというのもたくさんあります。たとえば空気のにおいだったり、風がふいたときの気持ちよさなどはここ国際宇宙ステーションでは感じられません。そういった地球にいるときの自分にとっては当たり前だったことが、実はとてもありがたいことなんだなというのを宇宙に来てから学びました。
Q:船外活動で、国際宇宙ステーションから外に出るとき、船内の酸素(さんそ)は外に出てしまったりしないんですか?(宮崎会場 小学2年 男子)
A:そうですね、ふつうにドアを開けて外に出て行こうとすると宇宙ステーションの中の空気全部ぬけてしまいますので、そのためにここにあるようなエアロックという施設があります。これは物を出し入れする用なので、もっと大きい、人が出入りする用の大きいエアロックがあるんですね。その中の空気をいったん全部ぬいてからドアを開けるので、空気が外に出て行くといったことはありませんのでだいじょうぶです。

エアロックについて説明する大西宇宙飛行士。大西宇宙飛行士が指ししめしているのがエアロックだ。

Q:大西さんが今いる宇宙ステーションではどんなものを食べているんですか?(上田会場 小学3年 男子)
A:今日は実際(じっさい)に物をお見せしたほうがいいと思って用意しておきました。宇宙食は、だいたいレトルトだったりフリーズドライのようなものなんですけど、こういった缶づめもあります。これはさばのみそ煮(に)ですね、あとはカレーだったりそれからごはんもありますよ。これお湯を入れるとふつうのご飯にもどります。とってもおいしいです。日本の宇宙食は他の国の宇宙飛行士たちにもとっても人気があって、みんなで集まるときにわたしもよく持って行くんですが、気がつくと全部なくなっていたり。特にロシアの人たちに人気があります。

もっともっと聞きたいことがあったけれど、交信できる時間には限りがあり、20分もなかったんだ。YACの松本零士(まつもとれいじ)会長の質問もとちゅうになっちゃったしね。

あと2カ月くらいのISS滞在の間に、たんぱく質(しつ)の結晶(けっしょう)を育てる実験や、いろいろな興味(きょうみ)深い宇宙実験があるそうだよ。その報告(ほうこく)がいっそう楽しみになったね!