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入道雲はどうしてできるの?

入道雲はどうしてできるの?

こたえ:(あたた)かくしめった空気(くうき)(おお)きなエネルギーで(たか)()()げられるためです。

(なつ)(そら)でよく()られる入道雲(にゅうどうぐも)は、30(ぷん)から1時間(じかん)ていどの(みじか)時間(じかん)で、せまいはん()(はげ)しい(あめ)()らせる(くも)です1)力持(ちからも)ちの(からだ)(おお)きなお(ぼう)さんを「入道(にゅうどう)」といい、(くも)(かたち)(ちから)こぶのある入道(にゅうどう)()ていることから、入道雲(にゅうどうぐも)という名前(なまえ)がつけられました。気象(きしょう)用語(ようご)で「積乱雲(せきらんうん)」と()ばれる(くも)の1つです。

積乱雲(せきらんうん)(ひろ)がりは(すう)kmから十数(じゅうすう)kmで、(たか)さは10kmを()えます。こんなに(おお)きな積乱雲(せきらんうん)はどのようにつくられるのでしょうか。まず、(くも)がどのようにできるのかを確認(かくにん)しましょう(関連(かんれん)記事(きじ)(くも)(なに)からどのようにできるの」、「(くも)はどうしていろいろと(かたち)をかえるの」)。(くも)は、上空(じょうくう)へとのぼっていく空気(くうき)(なが)れ「上昇気流(じょうしょうきりゅう)」によって発生(はっせい)します。上昇気流(じょうしょうきりゅう)()きる理由(りゆう)の1つは、地上(ちじょう)付近(ふきん)空気(くうき)(あたた)められること。空気(くうき)のかたまりが(あたた)まると、体積(たいせき)(おお)きくなって(まわ)りの空気(くうき)より(かる)くなり、上昇(じょうしょう)するのです。

上空(じょうくう)気圧(きあつ)(ひく)いため、上昇(じょうしょう)した空気(くうき)のかたまりはさらに膨張(ぼうちょう)します。空気(くうき)には体積(たいせき)()えると温度(おんど)()がる性質(せいしつ)があるので、上昇(じょうしょう)するにつれ、今度(こんど)空気(くうき)のかたまりの温度(おんど)低下(ていか)していきます。すると、空気(くうき)がふくむことのできる水蒸気(すいじょうき)最大(さいだい)(りょう)飽和(ほうわ)水蒸気(すいじょうき)(りょう)〕に(たっ)し、(すい)てきや(こおり)のつぶができます。これが上空(じょうくう)空気(くうき)()かび、(くも)となります。

積乱雲(せきらんうん)発生(はっせい)発達(はったつ)しやすい条件(じょうけん)は[1]大気(たいき)状態(じょうたい)不安定(ふあんてい)なこと、[2](あたた)かくしめった空気(くうき)があること、[3]空気(くうき)(たか)()()げるエネルギーがあることの3つです。

[1]の「大気(たいき)状態(じょうたい)不安定(ふあんてい)」とは、上空(じょうくう)寒気(かんき)が、地上(ちじょう)暖気(だんき)(そう)があり、その気温差(きおんさ)(おお)きく、(つよ)上昇気流(じょうしょうきりゅう)()きやすい状態(じょうたい)()します。[2]の(あたた)かくしめった空気(くうき)は、(くも)の“もと”となります。[3]の「()()げるエネルギー」とは、(くも)ができるとき、水蒸気(すいじょうき)(みず)になると発生(はっせい)する「凝結熱(ぎょうこねつ)」という(ねつ)のことです。この(ねつ)(くも)膨張(ぼうちょう)し,()()がる(ちから)浮力(ふりょく)〕が()まれて(くも)がより(たか)上昇(じょうしょう)します。

こうして、上空(じょうくう)(つよ)寒気(かんき)(はい)っていたり、(つよ)()ざしによって地上(ちじょう)付近(ふきん)空気(くうき)(あたた)められていたり、(あたた)かくしめった空気(くうき)があったり、といった条件(じょうけん)がそろうと、(くも)自分(じぶん)(ちから)垂直(すいちょく)方向(ほうこう)にモクモクと成長(せいちょう)し、地上(ちじょう)付近(ふきん)から10km以上(いじょう)(たか)さまで(たっ)する積乱雲(せきらんうん)がつくられるのです。

(はげ)しい(あめ)()らせた積乱雲(せきらんうん)はだんだん上昇気流(じょうしょうきりゅう)(よわ)まり、30(ぷん)から1時間(じかん)ほどで()えます2)。けれども、上空(じょうくう)地上(ちじょう)気温差(きおんさ)(おお)きく、地上(ちじょう)付近(ふきん)(あたた)かくしめった空気(くうき)次々(つぎつぎ)流入(りゅうにゅう)してくる場合(ばあい)は、エネルギーが(よわ)まりにくい構造(こうぞう)積乱雲(せきらんうん)発生(はっせい)し、(すう)時間(じかん)にもわたって(はげ)しい(あめ)()らせ(つづ)けることがあります。このタイプの積乱雲(せきらんうん)を「スーパーセル(がた)積乱雲(せきらんうん)」(スーパーセル)といいます。スーパーセルは、ゲリラ豪雨(ごうう)竜巻(たつまき)、ダウンバーストの原因(げんいん)の1つだとされています。

参考(さんこう)資料(しりょう)

1)国土交通省(こくどこうつうしょう) 気象庁(きしょうちょう)積乱雲(せきらんうん)ってどんな(くも)?」:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tenki_chuui/tenki_chuui_p2.html

2)北海道(ほっかいどう)(ちょう)「ゲリラ豪雨(ごうう)について」『地球(ちきゅう)温暖化(おんだんか)対策(たいさく)検討(けんとう)部会(ぶかい)だより』.2013(ねん)3(がつ)28(にち),(だい)21(ごう)http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nkk/grp/ondanka_21.pdf

監修者(かんしゅうしゃ)大山(おおやま)光晴(みつはる)

1957(ねん)東京都(とうきょうと)()まれ。東京(とうきょう)工業(こうぎょう)大学(だいがく)大学院(だいがくいん)修士(しゅうし)課程(かてい)修了(しゅうりょう)高等(こうとう)学校(がっこう)物理(ぶつり)教諭(きょうゆ)千葉県(ちばけん)教育(きょういく)委員会(いいんかい)指導(しどう)主事(しゅじ)千葉(ちば)県立(けんりつ)長生(ちょうせい)高等(こうとう)学校(がっこう)校長(こうちょう)(など)()て、現在(げんざい)秀明大学(しゅうめいだいがく)学校(がっこう)教師(きょうし)学部(がくぶ)教授(きょうじゅ)として「理数(りすう)探究(たんきゅう)」や「総合的(そうごうてき)学習(がくしゅう)時間(じかん)」の指導(しどう)方法(ほうほう)について講義(こうぎ)演習(えんしゅう)担当(たんとう)している。科学(かがく)実験(じっけん)教室(きょうしつ)やテレビの実験(じっけん)番組等(ばんぐみなど)への出演(しゅつえん)多数(たすう)千葉市(ちばし)科学館(かがくかん)プロジェクト・アドバイザー、日本(にほん)物理(ぶつり)教育(きょういく)学会(がっかい)常務(じょうむ)理事(りじ)日本(にほん)科学(かがく)教育(きょういく)学会(がっかい)(およ)日本(にほん)理科(りか)教育(きょういく)学会(がっかい)会員(かいいん)月刊(げっかん)理科(りか)教育(きょういく)編集(へんしゅう)委員(いいん)(など)(つと)める。

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