(1927〜 )第265代ローマ法王。本名ヨーゼフ=ラツィンガー。ドイツ・バイエルン州の警察官の子に生まれる。14歳でヒトラーユーゲントに加入し,戦争補助活動に動員される。第二次世界大戦終戦後,兄とともに神学校に入学,1951年に司祭に叙任される。神学研究の道を歩み,53年に神学博士号取得,57年から63年までドイツの各大学で神学教授をつとめる。77年,ミュンヘン・フライジングの大司教に任命され,枢機卿就任。81年,ローマ法王庁教理省長官,2002年に首席枢機卿。2005年4月,ヨハネ・パウロ2世の死去にともない法王に選出され,ベネディクト16世を名のる。11世紀以来950年ぶりのドイツ人の法王である。就任時は78歳。在任8年間中にはイスラム圏との摩擦,16世紀以来のイギリス公式訪問などがあったほか,各国聖職者の性的虐待,バチカンの機密文書漏洩,バチカン銀行のマネーロンダリングなど多くの難題をかかえることにもなった。2013年2月,高齢と健康問題を理由に退位。存命中の法王退位は約600年ぶりのことである。ローマ法王