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「目がわるくなる」ってどんなこと?

「目がわるくなる」ってどんなこと?

こたえ:視力(しりょく)低下(ていか)は、(ひかり)屈折(くっせつ)をうまく調整(ちょうせい)できなくなることなどが原因(げんいん)()こります。

「ゲームばかりしていたら、()がわるくなるよ」「タブレットに(かお)(ちか)づきすぎると、()がわるくなるよ」――こんなふうに大人(おとな)から注意(ちゅうい)されて、しぶしぶゲームを()()げたり、あわてて画面(がめん)から(かお)(とお)ざけたことはありませんか? けれども、(なか)には『「()がわるくなる」と()われてもピンとこない』という(ひと)もいるはず。()がわるくなるとは、実際(じっさい)はどんな変化(へんか)()きているのでしょうか。

大人(おとな)()どもに「()がわるくなる」と()うとき、たいていは「近視(きんし)」「遠視(えんし)」「乱視(らんし)」のように視力(しりょく)低下(ていか)することを()します。視力(しりょく)は、()のはたらきのうち(もの)をどれだけ(こま)かく見分(みわ)けられるかを(あらわ)尺度(しゃくど)。つまり「視力(しりょく)低下(ていか)する」とは、(もの)見分(みわ)けにくくなるということです。

()は、「眼球(がんきゅう)」を中心(ちゅうしん)に、眼球(がんきゅう)とまぶたをつなぐ「結膜(けつまく)」や、眼球(がんきゅう)がとらえた情報(じょうほう)(のう)(おく)る「視神経(ししんけい)」などからできています1)(ひかり)物体(ぶったい)反射(はんしゃ)して()(はい)ってくると、「角膜(かくまく)」と「水晶体(すいしょうたい)」が(ひかり)屈折(くっせつ)させて網膜(もうまく)(うえ)(ぞう)(うつ)()します。その情報(じょうほう)視神経(ししんけい)(とお)って(のう)(つた)わると、(もの)が「()える」というしくみです(関連(かんれん)記事(きじ)どうして()()えるの?」)。

このしくみの(なか)視力(しりょく)直接(ちょくせつ)かかわるのは、(ひかり)屈折(くっせつ)させる役割(やくわり)をもつ角膜(かくまく)水晶体(すいしょうたい)です。角膜(かくまく)は、直径(ちょっけい)(やく)11mmで中心(ちゅうしん)()(あつ)さが(やく)0.5mmの透明(とうめい)(まく)()での(ひかり)屈折(くっせつ)のうち、70%が角膜(かくまく)によるものです2)一方(いっぽう)水晶体(すいしょうたい)は、直径(ちょっけい)(やく)9mmで(あつ)さが(やく)4mmの(とつ)レンズの(かたち)をしていて、「毛様体筋(もうようたいきん)」とよばれる筋肉(きんにく)収縮(しゅうしゅく)によってふくらんだり、毛様体筋(もうようたいきん)()びによって(うす)くなったりします3)水晶体(すいしょうたい)は、(ちか)くを()るときは(あつ)くなって屈折(くっせつ)(おお)きくすることで、(とお)くを()るときは(うす)くなって屈折(くっせつ)(ちい)さくすることで、網膜(もうまく)(じょう)焦点(しょうてん)()うように調節(ちょうせつ)しているのです。

ところが、角膜(かくまく)水晶体(すいしょうたい)による(ひかり)屈折(くっせつ)がうまくできなくなると、視力(しりょく)低下(ていか)してしまいます。(とお)くの(もの)見分(みわ)けにくくなる近視(きんし)は、屈折(くっせつ)した(ひかり)網膜(もうまく)(とど)(まえ)焦点(しょうてん)()い、網膜(もうまく)では(ぞう)がぼやける状態(じょうたい)眼球(がんきゅう)奥行(おくゆ)き(前後(ぜんご)(なが)さ、「眼軸(がんじく)」)が()びてしまい、水晶体(すいしょうたい)がじゅうぶんに(うす)くなっても焦点(しょうてん)網膜(もうまく)(じょう)()わなくなることや、水晶体(すいしょうたい)による(ひかり)屈折(くっせつ)(おお)きすぎることが原因(げんいん)とされています。

一方(いっぽう)(ちか)くの(もの)見分(みわ)けにくくなる遠視(えんし)場合(ばあい)は、網膜(もうまく)より(うし)ろに焦点(しょうてん)()い、網膜(もうまく)(じょう)では(ぞう)がぼやけてしまいます。眼軸(がんじく)(みじか)くなることや、水晶体(すいしょうたい)による(ひかり)屈折(くっせつ)(ちい)さいことが原因(げんいん)です。

近視(きんし)遠視(えんし)()()わさって()きることが(おお)いのが乱視(らんし)です。角膜(かくまく)水晶体(すいしょうたい)がラグビーボールのような(かたち)にゆがみ、カーブの角度(かくど)方向(ほうこう)によってバラバラになります4)。すると、焦点(しょうてん)網膜(もうまく)(じょう)の1(てん)()いにくく、場所(ばしょ)によってぼやけたり二(じゅう)()えたりします。ゆがみの方向(ほうこう)がたて・(よこ)・ななめの3つのタイプがあります。

このように(ひかり)屈折(くっせつ)がうまくできなくなる理由(りゆう)はさまざまで、()まれつきのもの(遺伝的(いでんてき)要因(よういん))もあれば、生活(せいかつ)する環境(かんきょう)影響(えいきょう)するもの(環境(かんきょう)要因(よういん))もあります。ですから、完全(かんぜん)近視(きんし)遠視(えんし)乱視(らんし)(ふせ)方法(ほうほう)はありませんが、環境(かんきょう)要因(よういん)()るように()(くば)ることはできます。

たとえば、読書(どくしょ)やゲームに熱中(ねっちゅう)したら30(ふん)ごとに(とお)くを()ること。読書(どくしょ)やゲームなどで長時間(ちょうじかん)にわたって(ちか)くを()(つづ)けると、毛様体筋(もうようたいきん)緊張(きんちょう)して(つね)水晶体(すいしょうたい)(あつ)状態(じょうたい)になるので、近視(きんし)のリスクが(たか)くなります。(とお)くを()()(やす)ませる習慣(しゅうかん)をつければ、毛様体筋(もうようたいきん)緊張(きんちょう)()けて近視(きんし)のリスクを()げられます。

わたしたちは、()からたくさんの情報(じょうほう)()()って生活(せいかつ)しています。生活(せいかつ)(しつ)(たも)つためにも、()をいたわる生活(せいかつ)(こころ)がけたいですね。

記事(きじ)公開(こうかい):2022(ねん)6(がつ)

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小学生(しょうがくせい)視力(しりょく)低下(ていか)については、『学研(がっけん)キッズネット』の以下(いか)記事(きじ)にもくわしく()かれています。

特集(とくしゅう)】STOP 小学生(しょうがくせい)視力(しりょく)低下(ていか)

眼科医(がんかい)()いた近視(きんし)にまつわるウソ・ホント:https://kids.gakken.co.jp/parents/parenting/0225/

②タブレット・スマホとの上手(じょうず)なつきあい(かた)https://kids.gakken.co.jp/parents/parenting/220316/

近視(きんし)遠視(えんし)(ちが)い・眼科(がんか)受診(じゅしん)のタイミングって?:https://kids.gakken.co.jp/parents/parenting/220414/

参考(さんこう)資料(しりょう)

1)挟間(はざま)章博(あきひろ)『なぜからはじまる(からだ)科学(かがく)()る」(へん)』.2020(ねん).保育社(ほいくしゃ)

2)参天(さんてん)製薬(せいやく)「アイケア情報(じょうほう) 角膜(かくまく)のはたらき」:https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/products/otc/sante_medical/eyecare/kakumaku.jsp

3)参天(さんてん)製薬(せいやく)現代人(げんだいじん)()(つか)れ・かすみ ()のピント調節(ちょうせつ)のしくみ」:https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/products/otc/sante_medical/cause/cause_01.jsp

4)ビジョンケアカンパニー『「()(わる)い」とはどういうこと? 近視(きんし)遠視(えんし)乱視(らんし)はどうやって()こる?』:https://acuvuevision.jp/article/135

監修者(かんしゅうしゃ)大山(おおやま)光晴(みつはる)

1957(ねん)東京都(とうきょうと)()まれ。東京(とうきょう)工業(こうぎょう)大学(だいがく)大学院(だいがくいん)修士(しゅうし)課程(かてい)修了(しゅうりょう)高等(こうとう)学校(がっこう)物理(ぶつり)教諭(きょうゆ)千葉県(ちばけん)教育(きょういく)委員会(いいんかい)指導(しどう)主事(しゅじ)千葉(ちば)県立(けんりつ)長生(ちょうせい)高等(こうとう)学校(がっこう)校長(こうちょう)(など)()て、現在(げんざい)秀明大学(しゅうめいだいがく)学校(がっこう)教師(きょうし)学部(がくぶ)教授(きょうじゅ)として「理数(りすう)探究(たんきゅう)」や「総合的(そうごうてき)学習(がくしゅう)時間(じかん)」の指導(しどう)方法(ほうほう)について講義(こうぎ)演習(えんしゅう)担当(たんとう)している。科学(かがく)実験(じっけん)教室(きょうしつ)やテレビの実験(じっけん)番組等(ばんぐみなど)への出演(しゅつえん)多数(たすう)千葉市(ちばし)科学館(かがくかん)プロジェクト・アドバイザー、日本(にほん)物理(ぶつり)教育(きょういく)学会(がっかい)常務(じょうむ)理事(りじ)日本(にほん)科学(かがく)教育(きょういく)学会(がっかい)(およ)日本(にほん)理科(りか)教育(きょういく)学会(がっかい)会員(かいいん)月刊(げっかん)理科(りか)教育(きょういく)編集(へんしゅう)委員(いいん)(など)(つと)める。

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