ハンタウイルスってどんな病気? 感染症の専門家が子ども向けに解説
ゴールデンウィーク中、南アメリカ(南米)発のクルーズ船で、ハンタウイルスによる集団感染が発生しました。致死率が高いとされ、乗客の3人が亡くなりました。新型コロナウイルスのような大流行になるのではと心配する人がいます。感染症にくわしい川崎市健康安全研究所参与の岡部信彦さんに、ハンタウイルスについて聞きました。(関田友衣)
ネズミが保有 腎臓や肺に症状が
ハンタウイルスは、ネズミが保有するウイルス。ふんなどが乾燥し、粉やホコリになったものを吸いこむことで人にも感染します。症状が出ない潜伏期間は1~6週間ほど。症状には二つのタイプがあります。
①出血をともない腎臓が悪くなるタイプ。ユーラシア大陸(アジア・ヨーロッパ)に多い
②肺が急速に悪くなるタイプ。南北米大陸でみられる
クルーズ船で感染が広がったのは②です。
「ハンタウイルスは人から人にはうつらないとされます。しかし肺に症状が出るタイプの中には、濃厚接触でうつることがまれにあるといわれています」と岡部さん。
新型コロナウイルスが日本で流行しだした2020年2月、神奈川県・横浜港に停泊したクルーズ船内で集団感染が発生。そのことを思い出し、ハンタウイルスの感染拡大を不安に思う人もいるでしょう。
新型コロナのときとちがい、未知ではない
「新型コロナは未知のウイルスでしたが、ハンタウイルスはそうではありません。あまり多くないウイルスなので、治療法や予防法が進歩しているわけではないですが、すでに検査もできます。そこが新型コロナとのちがい」
ウイルスは変異するので、感染力や症状の重さに変化が出るかもしれませんが、「少なくともいま、新型コロナのように社会で広がるとは考えにくいです」。
急増中のはしかを注意
海外でネズミがたくさん集まるような場所には近づかないようにしたほうがいいですが、ハンタウイルスを心配しすぎる必要はないそうです。
「いま、はしかが急増しています。かかっている人が少ないハンタウイルスを心配するより、ワクチンを2回接種すれば防げるはしかを、きちんと防ぐことが大切です」
ハンタウイルスの歴史は?
第2次世界大戦中や1950年に起きた朝鮮戦争中、軍の間で出血をともなう腎臓の病気が流行。1976年に韓国の研究者が、漢灘江流域でつかまえたネズミから、この病気の原因となったウイルスを分離・発見し、ハンタウイルスと名づけました。これまで日本でも、実験動物としてネズミをあつかう人や、港湾で働く人の感染が報告されています。
ウイルスを運ぶシカネズミ 米疾病対策センター(CDC)提供一方で肺に症状が出るタイプは1990年代前半、米国の先住民の間で症状をうったえる人が急増。ハンタウイルスによるものとわかりました。
(朝日小学生新聞2026年5月16日付)









