千葉豪雨、30分でマンション1階が「海のように」 都市型水害から身を守るには
14日未明まで降り続いた大雨で道路に水があふれ車が立ち往生=8月14日午前1時44分、千葉市中央区 朝日新聞社
8月13日の夕方、千葉県を突然おそった記録的な大雨。千葉市では1日で、平年の8月1か月分の約3倍にあたる351ミリの雨がふり、観測史上1位となりました。たった数時間でまちの姿が変わってしまう豪雨に対して、私たちはどんな準備をしておくべきなのでしょうか。記者自身の体験から、災害にそなえる大切さを考えます。(篠崎嘉代子)

記者の自宅マンションも浸水
8月13日午後6時30分ごろ。千葉市の自宅で、ドシャーッとたたきつける雨の音と雷に気がつきました。夏によくあるゲリラ豪雨だろうと思いましたが、雨は弱まりません。
午後7時すぎ、外の様子を見に行くと、マンション1階は海のように水が広がり、エレベーターに水が流れこみブザーが鳴りつづけていました。雨が強くなってから、わずか30分ほどのことです。

外に出ると水はひざまであり水の流れが強く前に進めません。車は半分以上が水につかり、動けなくなっていました。歩いていた人が転んで流されそうになり、近くの人に助けられる場面もありました。
スマホのアラートが鳴り「レベル5」の大雨特別警報が出たことに気がつきました。外に出るのは危険な状態でした。
交通機関止まり帰れなくなった家族も
その後、地域では停電が起こり、電車やバスも止まりました。
夏休みでレジャー施設に遊びに行っていた高校生の子どもたちも帰宅できなくなりました。当初、雨は弱くなるだろうと歩いて帰るつもりだったようです。施設の方が「非常事態だから、ここに泊まって」と声をかけてくれました。保護者の了承を得るために電話がかかってきたのは、深夜0時30分ごろでした。

突然、家に帰れなくなることは初めてで、親の私も子どもたちもとまどいました。何度も連絡を取り合いましたが、不安でいっぱいでした。再会できたのは翌日です。何かの事情で家族が帰れなくなったとき、どうするのかを事前に話し合っておけばよかったと思いました。水が引いた後も、水につかった車が道路に残り事故が起きました。わずか数時間でまちの景色は一変しました。
住民らで泥の掃除をし、エレベーターは1週間以上止まりました。水やお米の買い出し、ゴミ出しが本当に大変でした。
今回感じたのは、見慣れたまちがあっという間に水につかってしまう怖さです。危険な場所を知っておくことや家族で避難場所を決めておくことなど、ふだんからの備えが命を守ると実感しました。

防災士がアドバイス 大雨の被害を防ぐには?
千葉県をおそった大雨では、これまでに13人が犠牲となりました。今後、被害にあわないようにするため、私たち一人ひとりは、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。(児玉健太)

水がたまりやすい場所 事前に確認
防災の大切さを伝えているNPO法人日本防災士会の松本康児さんは、今回の災害で学ぶべきこととして、「雨水がたまりやすい場所」をあらかじめ知っておくことが大切になると言います。
千葉豪雨では、短い時間で激しい雨がふりました。そのため、下水道などが雨水を流しきれず、地上にあふれ出してしまう「内水氾濫」が、多くの地域で起きました。
道路は水でおおわれ、たくさんの車が水につかって故障したほか、車の中に閉じ込められて亡くなった人もいます。建物の中に水が流れこんで被害を受けた家は、4千棟をこえました。その後、福井県から富山県にかけても大雨の被害が出ました。
松本さんは、こうした大雨がふった時、被害にあわないようにするため、ふだんからよく通る道や、住んでいる地域の特徴を知ることが大切になると言います。
具体的には、坂の下や水路、周辺よりも低い道路や土地など、雨水がたまりやすい場所を知っておきましょう。鉄道の線路や、ほかの道路の下をくぐる「アンダーパス」という道路も当てはまります。
実際に歩いて、こうした危険な場所があるかどうか自分で確かめることも対策につながります。
松本さんは、「車で移動する場合でも、アンダーパスなど水がたまりやすい場所を避けて通るルートを知っておくことが重要」と話しています。
千葉市では新たな対策をすることになりました。犠牲者が出た市内のアンダーパスについて、防災気象情報の「レベル4大雨危険警報」が発表された時点で、事前に通れないようにするといいます。

警報の段階に応じ行動を
近年は、まち中が水につかってしまうような大雨がふる回数が増えています。松本さんは、これまで危険と思われていなかった地域も、今回の豪雨と同じような被害が起きる可能性があるとみています。避難するかどうかもふくめて、「『この警報や防災情報が出たら、私はこういう行動をする』と事前に決めておくことも大切です」と話しました。
(朝日小学生新聞2026年9月2日付)










